テーマ:家電よもやま(9435)
カテゴリ:地球に優しい
exciteニュースに「失敗知識データベース」は知識の宝庫!? という記事が出ていた。
科学技術振興機構が今年3月から「失敗知識データベース」を無料で一般公開しているとのこと。 失敗知識データベースのサイトはこちら→失敗知識データベース 2006年6月時点で1135件の失敗事例が掲載されている。 この中で、富士通ハード・ディスク・ドライブ不良問題の事例は身につまされた。 これは毎日使っているパソコンで起きた問題で、環境問題や部品供給という自分の仕事にも 関係が深く、他人事ではない。 【富士通HDDトラブルの概要】 高温高湿下でHDDを使用しているとHDDのコントローラLSIの端子が短絡し、 動作不良になる。原因は住友ベークライト製の封止材。 無償交換などで100億円規模の損失が発生した。 【環境対応が発端】 この住友ベークライト製の封止材は環境対応のため、燃えると毒性の強い化合物が生成される 物質の代替として赤リンを使ったという。 この赤リンが高温高湿下でリン酸となり、ピンの材料のAgが溶けて短絡に至った。 環境対応ではない従来の普通の難燃剤を使っていれば起こらなかった不具合である。 こういう不具合が起きないよう、十分にチェックした上で環境対応製品を世の中に送り出す べきであるが、新製品のサイクルが速く、分業が進んだ時代では、十分な品質チェックが できないのもまた、事実。 【不具合発生までの時間】 住友ベークライトのこの封止材は1995年に開発完了し、1996年6月からユーザーへの製品供給 を開始した。そして、このパッケージに起因する不具合は2000年夏頃から起き始めた。 後の調査で不具合は使用開始から半年から1年で起き、不良率は通常より2桁以上高い0.8%。 1996年に発売を開始して、不具合の報告は4年後の2000年である。 不具合は半年から1年で起きるのに、何故最初の不具合報告まで4年も時間が空いているのか? 途中で、材料が変わったのか? 最初は出荷量が少なくて表面化しなかっただけなのか? この点に関しては、失敗データベースには記述がない。ちょっと、なぞ。 しかし、時間が空くと、開発担当が異動で変わっていたりして問題解決に時間がかかる。 【信頼性の確認は誰がする?】 不良率0.8%というのは、確かに高いが、半年から1年先に起きる0.8%の不良を製品開発時に 予想するのはなかなか難しい。 どういう、加速条件で評価すれば、事象を再現できるのか? 評価ノウハウが重要な技術である。 富士通のHDDの場合 富士通は米国のLSI製造委託会社から問題のLSIを購入しており、 米国のLSI製造委託会社は韓国のLSIパッケージ組立業者に製造を外注しており 住友ベークライトはこの韓国の業者に封止材を納入していた。 さて、封止材が問題ないことを評価するのは誰でしょうか? 富士通? 米国のLSI製造委託会社? 韓国のLSIパッケージ組立業者? 住友ベークライト? 分業が進んでいるので、誰が責任をとるのかわからない。 そして、評価する技術をそれぞれの会社が、もっているだろうか?はなはだ、心許ない。 さて、原因はわかったけれど、再発防止策がとれているんだろうか? 富士通と住友ベークライトだけの問題ではなく、業界全体としての問題だ。 う~ん、残念ながら、これからも同じような不具合の問題は起き続けるような気がするな.... 失敗データベースが役に立ってくれたらいいんだけど...... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 30, 2006 09:47:31 AM
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