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日本人に取って、災害と対になる言葉は復興。
しかしアメリカを始めとして、殆どの国では災害と言えば略奪なのですね。 ニューヨークをハリケーンサンディが襲い、最も古い近代都市であるニューヨークは大打撃を受けました。 世界最高峰の大都市としてのステイタスを誇るニューヨーク、史上最も早く国際都市へと変貌し、近代都市としての体を成した素晴らしい場所であります。しかしその歴史は、同時にニューヨーク最大の弱点でもあるのです。 ニューヨークがここまでの発展を遂げたのは、極めて災害が少ないと言う点でありました。その為、日本のように壊滅と復興を経て基盤を強化して言ったわけではありません。その歴史の古さと比例して、ニューヨークの都市としての基盤は脆弱になっていったのです。 いわば、砂上の城であるのです。 世界最大規模の株式市場を持つウォールストリート、大富豪であればどんな贅沢でも叶う資本主義の象徴のような場所でありますから、金融帝国の媒体としてエネルギーがあり、豪奢であり、何よりも刺激的な場所です。しかしそのしわ寄せは、中流階級以下に向かっていくのです。 マンハッタンダウンタウンの浸水は酷いとは言いますが、しかしそのエリアに居住をかまえる大金持ちたちには何の問題もないでしょう。そもそも日ごろから地下鉄など使いません。渋滞に巻き込まれることもあるでしょうが、大抵の超高級アパート・コンドミニアムには住人専用のレストランなどもあります。いざとなればニューヨークを脱出して、別邸に一時避難も出来るわけです。 しかし中流階級以下は別です。 マンハッタンの辺りは、元々物資の流通事情があまりよくありません。それはスーパーマーケットを見れば分かることです。高級なスーパーではなく、普通のスーパーなどでは生鮮食材を見掛けることが殆どないのです。 ニューヨーク市内の中心、マンハッタンには陸続きの大規模な港があるわけではなく、交通は今現在は渋滞の酷い橋のみ。列車などが通れるトンネルは全て水没しています。 つまり、救援物資などは細々と届くでしょうが、一般層が居住するエリアの食料品状態が元に戻るまでには、暫くかかると思われます。 これが、東京であれば二日もあれば元通りとなるでしょう。 しかしそれはまず、東京はマンハッタンのように、四方を大きな川に囲まれた限定された都市と言う訳ではないからです。そして水害に対しての備えが、ニューヨークよりも出来ています。台風も毎年のようにやって来ますからね。 東京は一見、大都市と呼ばれる幾多の都市、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、香港などと比べれば、地味に思われるかもしれません。しかし東京の真の底力は、インフラと災害対策です。台風が来ても、網の目のように張り巡らされた地下鉄が浸水しない理由がそこにあります。東京は都市型水害対策にかけては世界最高峰でしょう。 方やニューヨーク。 ニューヨークには、実は都市型水害対策がありません。 水が引くのを待つことしか出来ないんです。 潮位が上昇した場合、溜まった水を排水する場所がないのです。つまりベネチアと同じことです。ベネチアは古都ですから別としても、ニューヨークのような大都市が海抜の低い地域にある場合、地下に排水できるようにしなくてはならないのですが、ニューヨークには排水するための地下施設が全く存在しないのです。 ですから、地下鉄の水没も、人の手で排水し、水が引くのを待つのみなのです。しかも、今回の水害は雨水ではなく、満潮と重なったための海水による水害です。ニューヨークの古い地下鉄の電気設備は壊滅したと思います。 ハドソン川下を通るトンネルの排水には数週間、そしてダウンタウン地域の地下鉄が再開するのは、数ヶ月先になるのではないかと思っております。クリスマスまでに再開出来たらラッキーなのではないだろうかと思います。 さらに停電。 この停電が起きたのも、ニューヨークの設備が古いからなのですね。 大金持ちのための建築物やサービスは極めて充実しているニューヨークですが、中産階級以下の人々の生活はずっとおざなりにされて来ましたから。 なぜなら、先ほども書きましたが、ニューヨークは資本主義の象徴だからです。一部の大金持ちさえ楽しければよい、と言うのが基盤にある場所なのですよ。 都市機能停止、停電。そして食料品不足。 当然のように、略奪が始まったそうです。それも、略奪している様をツイッターで報告する始末。悪いとは思っていないのでしょう。犯罪行為をしているという、自覚すらないのは極めて悪質です。 しかも、略奪されているのは今回ニューヨーク市内で被害が酷かった地域。それはそれは酷い有様です。 > http://www.dailymail.co.uk/news/article-2225663/Superstom-Sandy-looters-brag-Twitter-Even-momma-got-outta-house-loot-new-shirt.html Tシャツを盗んでいる母親の画像をアップロードして「俺のママも俺のためにTシャツ盗ってきたよ!」だの「誰かの家から猫をさらってきた」だの、この非常事態の中で他人の不幸を喜んでいる有様です。 このニュースが流れると、中には去年の東日本大震災のことをあげて 「なぜわれわれは未だ日本人から学ぶことが出来ないのか」 「日本人は全てを失ったけれど助け合った。しかし彼らは、家が流されたわけでもないのに平気で暴れて略奪をしている」 と言う方々は少なくありません。 しかしわたくしは、今回被害にあわれた多くの方々の中には、日本での災害のあとの対応を覚えている方々もいると思います。なぜなら、今までは(ハリケーンカトリーナの時など) 「災害には略奪はあるものだ」 「略奪しないといられないのなら仕方がない」 と言った諦めの論調が多かったと思うのですが、そうではなく今回は 「災害だからと言って略奪の理由にはならない」 という論調だからです。 東日本大震災の際、あれほど甚大な被害を受けた日本の津波被害者達の姿を覚えている人々が多いからこそ 「人間は辛い状況の中でも、誇り高くいられるのだ。」 という概念が浸透したのではないかな、と思いました。 さてさて。話が反れてしまいましたが。 未だ発展を続けるニューヨークではありますが、この大都市の歪さを浮き立たせる災害であったと感じました。以前から、ニューヨークと言う街の脆弱さは、建築物やインフラ設備の築年数を考えると不安を感じておりましたが、しかし今後も改善されることはないのだろうなぁと思います。 なぜなら、大金持ちのための場所なので、大金持ちたちに不便がないことは改善されないのです。資本主義ですから。資本(金持ち)主義なのですよ。 最低年収2000万ないと、そこそこ安定した生活が出来ないといわれるニューヨークですからね。 中産階級がのんびり過ごせる東京は、ニューヨークに比べてダイナミックさや刺激は少ないかも知れませんが、環境的には恵まれているんだろうと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年11月02日 15時36分38秒
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