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河川堤防36%が強度不足、国の6割調査で判明
国土交通省は、国が管理する河川堤防の安全性について初の全国調査を進めているが、今年3月末時点で調査済みの5922キロ(133河川)のうち、36%にあたる2113キロ(117河川)で、粗い砂が多く水がしみ込みやすいなど、「浸透破堤(はてい)」に対する同省の安全基準を満たしていないことが、読売新聞の情報公開請求でわかった。 長年にわたり、築造・改修が続けられてきた堤防の安全性の実態が明らかになったのは、これが初めて。 堤防の「強さ」がこれまで定量的に調査されたことはなかったが、2004年、新潟・福島豪雨や台風23号で堤防決壊が相次いだことから国交省が調査に着手。全国の国直轄138河川を対象に、2キロ~200メートル間隔でボーリングし、堤防内部の材質などを調査。100年に1度の大雨などにも耐えるかどうかを基準に、「耐浸透性」を計算した。 その結果、今年3月末現在の各地方整備局などのまとめでは、対象1万204キロのうち約6割の5922キロで調査を終了。このうち2113キロで粗い砂が多いなど、国交省の河川堤防設計指針に基づく基準を満たしていなかった。 首都圏を流れる荒川では、212キロのうち123キロ(58%)で安全性が不足。東海豪雨で大きな被害が出た庄内川(名古屋市など)では72キロ中51キロ(71%)が不足。近畿の淀川に合流する木津川下流部では、53キロのうち9割の48キロが不足区間だった。 これに対し、補強は予算不足などで進んでいない。例えば水害被害が相次いだ九州地方整備局では、不足区間131キロのうち、2河川約2キロの補強工事にようやく着手したばかりだ。 国交省による調査も完全なものではない。水が堤防を越えてあふれて決壊する「越流(えつりゅう)破堤」は、1985年以降の全国の直轄河川の主な決壊21件中、8割の17を占めるが、「メカニズムが技術的に解明されていない」として検査されていない。今年の7月豪雨で決壊した長野県の天竜川で起きたような、強い流れで堤防が少しずつ削れていく「洗掘(せんくつ)破堤」の安全性も、今回のチェック対象外だ。 元建設省河川局長で日本水フォーラム相談役の尾田栄章さんは「特に、戦後のモノのない時期に大急ぎで造られた堤防は、がれきが混じっているなど中身が全く分かっていないのが実態。点検結果を十分に分析し、危険性の高いものから対策を急ぐべきだ」と話す。 (2006年9月25日3時0分 読売新聞) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.09.25 10:41:55
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