黒柳徹子さんの軌跡を描いたテレビ朝日の昼のドラマ「トットちゃん!」。第10週目を終え、ストーリーも佳境に入っています。
10週は、脚本家の向田邦子さん,そして高名ピアニストとの出会いを中心に展開しました。
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病気療養から復帰し、テレビにラジオにと大活躍する徹子(トットちゃん,清野菜名)。そんななか、とあるラジオドラマに出演したときに脚本家の向田邦子(山田真歩)と出会います。邦子は筆が遅いことで知られ、生本番終了間際に最後のストーリーが完成してその場で演じさせたほど。なおかつ悪筆もあって、トンチンカンな台詞回しになることもあったのです。1964年10月10日,東京五輪開幕の日に邦子は実家を離れ、港区霞町(現在の西麻布あたり)のマンションに引っ越します。以後、トットちゃんは邦子の部屋をちょくちょく訪れることになります。
邦子の引越しの手伝いをしたトットちゃんは、邦子とともに乃木坂にあるシイナさん(小沢征悦)のカレー屋へ行きました。ナンのついたカレーが食べたかったのですが品切れ。近くのテーブルの外国人がナンを残していたので譲ってもらおうと身振り手振りで交渉しますが、同席した紳士に「恥ずかしいからやめなさい」と一喝されます。
その紳士に一目ぼれしたトットちゃん。あとから彼が日本公演で来日したパリ在住の世界的ピアニスト,カール・祐介・ケルナー(城田優)であることを知り、「はしたないことをした」と自責の念にかられます。トットちゃんはケルナーに謝罪したいとしてコッソリ公演先のホールの楽屋で出待ちをしました。東京と名古屋では空振り、大阪で、当地に転勤して公演のプロデュースをしていた久松ディレクター(三宅健)に事情を話して会うことができました。そのときケルナーは「明日の夕方に出発する、夕方5時に羽田空港に来てほしい」とトットちゃんに告げました。しかし、ドラマの収録が長引いて、羽田へ行くことは叶いませんでした。
やがてトットちゃんはNHKを離れ、活躍の幅をさらに広げます。そして1971年、演技力を高め新たなる自分を見つけるため、ニューヨークへ武者修業に出ました。ある日セントラルパークでホットドッグを買おうとしたら、偶然にケルナーと再会します。ケルナーは市内のピアノバーでトtットちゃんのためにピアノを弾き、求婚を受けます。ですがトットちゃんは断りました。
その後別の日に、同じセントラルパークで、行方不明になっていたダニー(新納慎也)と再会します。ダニーはミュージカル俳優として米国各地を巡っていました。しかしトットちゃんは、ダンスの相方であるエミー(鳳稀かなめ)がシイナさんと結婚している事実を、言うことができませんでした。
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トットちゃんと向田さんのエピソードは、留守番電話の話を取り上げています。向田さんは早くから留守番電話を導入していました。ただし、一度に吹き込める時間は15秒。トットちゃんはその時間内に話しきれないため、9回に分けて話を吹き込んだほど。結局9回目の通話で「やっぱり用件は直に話すわ」と締めくくっています。この「留守電連続9通話」は通して聞くと面白かったことから、部屋を訪れた来客に聞かせていた由。このエピソードは向田さんのエッセイ集「父の詫び状」に収められています。
「齢を取ったトットちゃんを主役にしたドラマを書きたい」と夢見ていた向田さんでしたが、1981年8月、旅行先の台湾で事故にあい、世を去りました。
そのときトットちゃんは米国へ旅に出る直前で、向田さんの部屋に電話をかけていました。つながると留守電モードに切り替わり、本人の肉声で「台湾へ旅行しています」というアナウンスが流れ、「帰国したらお互いに土産話をしよう」とメッセージを吹き込みました。その時間が事故にあった瞬間だったと知るよしもなく。
明日からは、トレードマークである「たまねぎ頭」の誕生秘話や、「徹子の部屋」開始直後のエピソードが出てくるかも知れません。
また、ドラマ完結後2018年1月からの新シリーズは、「越路吹雪物語」と決まりました。開始日は1月8日。越路吹雪役は、瀧本美織さんと大地真央さん。越路吹雪は名前しか知らないので、同作も録画して楽しみます。