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ニッポンとアメリカの「隙間」で、もがく。

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2012.01.30
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カテゴリ:エンタメ_映画
映画「ザ・タウン」は1年ほど前に公開されて以来、ずっと観たいと思っていた映画だった。
ボストンが舞台になる映画はニューヨークやロサンゼルスなどに比べるとずっと少ないが、この映画の監督で指揮を執ったベン・アフレックはボストン出身で、前作の監督デビュー作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」で舞台となったボストンの別の地区の描き方があまりにリアルで上手かったので、今回も期待していたのである。

今回は、ボストンの北東部にあるチャールズタウンという地区が舞台になっている。ここは全米でも銀行強盗の発生率の高い町だそうで、その町に銀行強盗の一家の中で生まれ育ったベン・アフレック扮する主人公のダグが、まるで家業を受け継ぐかのように強盗一味のリーダーとなり、完全犯罪とも言える銀行・現金輸送車の襲撃を繰り返すのだが、その中で、ある事件をきっかけに、そんな自分の境遇に疑問を持ち始め、新しい人生を模索し始めるのだが。。。という、お話。腐れ縁とも言える幼馴染の仲間との葛藤や、恋愛、父子の確執などなど、話の題材としては特に目新しいところはなく、ダグを追うFBI側のかなりのお間抜け感もちょっと気になったし、巷が絶賛するほどの出来ではなかったと思うが、私はストーリーそのものより登場人物やディテールの描き方に興味があるので、そういう意味では大いに満足できた。

映画の中でもチャールズタウンを手前にした、ボストンの町全体を俯瞰するシーンが何度か出てくるのだが、それからも分かるように、チャールズタウンは、ボストンの中心から橋を隔ててちょっと隔離されたところにある。それだからこそ犯罪の温床となったのだと思うが、実際のところ、私の持っている印象では、一部の地域を除けば、それほど危ないところではない。こんな形で全世界に「危ないところ」というイメージを持たれたらちょっと気の毒に感じるほどである。ボストンにはもっと危ないところもあって、前作の舞台となったところの方がずっとずっと危ないと思う。特に、チャールズタウンのメインストリートのあたりは、おしゃれなカフェやレストランが立ち並び、子供がいないか子供がまだ小さい若い家族が移り住み始めたところでもある。ただ、一方で、昔からの、コテコテのアイルランド系やイタリア系が代々住んでいる町でもあり、それが、この町の、地理的な条件とあいまって、保守的でよそ者をなかなか受け入れない土地柄を形成しているのだろう。

私はここにある知り合いの花屋に時々手伝いに行っているのでこの町にはなじみがあって、映画の中で自分の知っている通りや場所の名前が出てくるのがとても嬉しかった。この映画の中で、この強盗一味の元締めが花屋のオーナー(今は亡きピート・ポスルスウェイトが怪演)なのだが、ここで出てきたアレンジメントを、この知り合いの花屋が作ったそうだ。その話を聞いたときは、具体的にどんなアレンジメントかは聞かなかったのだが、「実際には日をおいて撮影があったのだが、シーンとしてはつながっているので、同じアレンジメントを2度作った」みたいなことを言っていて、恐らくこれだろうな、というアレンジメントがシーンの中に出てきた時は、これも嬉しかった。そのほかにも、警察や救急車、MBTA(公共交通機関)の制服や乗り物、すべて馴染みのあるもので、一人で勝手に盛り上がる。

町の描き方に関しては、前作の方が上手かったと思う。前作の時は、その町の、しかも特定の地区の荒んだ感じがあまりにリアルで、そこに多くの夫側の親戚を持つ私としては観た後にどよよーんとするほどだったのだが。ただ、これはむしろ、チャールズタウンの町そのものが、前作の町と比較すると描き甲斐がなかったせいだろう。でも、ボーナス特典によると、この映画では、実際そこに住んでいる住民をオーディションによってキャストとして起用したとのことで、その脇役陣が、もうまさに「あー、こういう人いるよね」みたいなボストンの下町の雰囲気を匂うほど醸し出していた。ベン・アフレックは、ボストニアンとしてはハンサムすぎるというか(笑)、風貌にしてもボストン訛りにしても、それほどリアルに感じられないのだが、この現役「ザ・タウン」市民たちは、その体格と言い、声と言い、その訛りと言い、当然ながら正真正銘のホンモノ。しかし、オーディションで選ばれたとはいえ、素人でこれだけ大物の俳優陣に混じってぜんぜんヒケをとらないって、すごいよなあ。

映画はチャールズタウンだけでなく、観光地としても有名で、ハーバードやMITのあるボストンの郊外ケンブリッジをはじめ、イタリア人街のノース・エンド、そしてレッド・ソックスの本拠地フェンウェイ球場も舞台となり、ボストンの魅力を余すところなく見せてくれる。それだけでも観る価値はあると思う。





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最終更新日  2012.01.30 12:06:36
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