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カテゴリ:草花・多年草・宿根草
3月終わりから5月にかけて、ブログの世界ではイチハツの開花報告が多いのだが、どうもジャーマンアイリスやその仲間のニオイイリスをイチハツと誤って紹介される方が非常に多い。私はそういったブログを見つけると、間違いを指摘して差し上げたこともあるのだが、あまり人様のブログに茶々を入れるのもおこがましいので、自分のブログで見分け方を紹介することにした。なお、イチハツとニオイイリスの見分け方については2007年5月17日の日記を参照。
まず、こちらが本物のイチハツ。中国原産で基本的に花の色は青紫。まれに白花もある。アヤメ類の花はそれぞれ3枚の内花被片と外花被片から成り立っており、イチハツの内花被片は斜め上にピンと伸びる傾向がある。そして、下側に垂れる外花被片の付け根には、白いとさか状の突起があるのが大きな特徴。 そして、こちらがイチハツと誤って紹介されることの多いジャーマンアイリス。イチハツが中国原産なのに対して、ジャーマンアイリスはヨーロッパ原産のイリス・ゲルマニカ(Iris germanica)などを中心として品種改良されたもの。別名「虹の花」とも呼ばれ、花の色はほとんどの色があると言っていいぐらいに実にバラエティーに富んでいるが、この画像の青紫色の品種がよくイチハツと混同されている。品種名は不詳だが、民家の庭先で咲いているのをよく見かける。 3枚の内花被片が上に湾曲しながら伸びて、お互いに抱え込むような形になっている。そして、外花被片はイヌのビーグルの耳のようにべろ~んと垂れ下がり、その付け根にはブラシ状の「ひげ」があるのが大きな特徴。これにちなんで英語ではビアデッド・アイリス(Bearded Iris ひげのアイリス)と呼ばれ、あまりジャーマンアイリスという名前は使われないらしい。 こちらはそれぞれの花を真上から撮影したもの。上がイチハツで下がジャーマンアイリス。こうして真上から見ると、内花被片の形の違いがよく分かる。イチハツは、真上から見るとシャガやヒメシャガに似ているように思う。 そして、両者には葉の形態の違いもある。イチハツの葉の色は黄緑色に近く、根元から斜め上に葉が伸びて、その先端が垂れ下がる傾向にある。葉の形に限って言うと、シャガやヒメシャガの葉の形に似ている。 ジャーマンアイリスの場合、葉はイチハツよりは濃い緑色で、根元から直立する傾向にある。また、葉全体が白いろう質のようなもので覆われていることが多い。 というわけで、これで少しでも世間の誤解が解ければと思っている。そっくりで見分けが付かないことのたとえに、「いずれアヤメかカキツバタ」という言葉があるが、今回の場合は、「いずれイチハツかジャーマンアイリス」と言ったところか(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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