レビュー#443 KILA 《LEMONADE & BUNS》 2000年アイルランド
The Compledgegationist: O’Callaghan’s Flights Of Fancy (Colm O Snodaigh/Brian Hogan)/The Compledgegationist (Eoin Dillon)Tine Lasta (Ronan O Snodaigh/Lance Hogan)Turlough’s (Eoin Dillon)Andy’s Bar: Ar An Imeall (Colm O Snodaigh)/On The Bog (Dee Armstrong)/Talamh Slan? (Colm O Snodaigh)An Tiomanai (Ronan O Snodaigh/Eoin Dillon/Lance Hogan)Where Did Ya Hide That Train, Joe? (Eoin Dillon/Brian Hogan/Dee Armstrong/Ronan O Snodaigh)The Listerine Waltz: Star Of The Sea (Eoin Dillon)/The Listerine Waltz (Dee Armstrong)Rachel’s Reel (Eoin Dillon)Epicy (Rossa O Snodaigh)Lemonade And Buns: Juillet A Brest (Colm O Snodaigh)/127, Bothar Na Tra (Colm O Snodaigh)/Lemonade And Buns (Eoin Dillon)Ce Tu Fein (Colm O Snodaigh)B’FheidirCathain Colm O Snodaighvo, flute, sax, tin whistle, transverse flute, T. V. flute, harmonica, backing-voEoin Dillonuilleann pipes, low whistle, tin whistle, fhuistleRonan O Snodaighvo, maracas, rainmaker, bodhran, ds, cymbals, bell, shakerBrian Hoganb, g, biscuit horn, backing-voDee Armstrongfiddle, viola, vibes, accordionLance Hogana-g, g, cowbell, shaker, ds, darabuka, dumbeg, conga, backing-voRossa O Snodaighlow whistle, djembe, mandolin, per, concussion, bouzouki, banjolin, ds, clarinet, g, cymbals, darabukaKen Samsonjun junRobbie Perryharp, banjoJeff LangdobroLiam O MaonlaipHugh O’Neill, Eamon NolantrumpetHank Wedelslide-gSteve Cooneyclassical-g だいたい、まったく聴いたことのないミュージシャンのコンサートなんてそう簡単に行く気にはならないですよ。とくに来日ライブってチケットも安いものではないし。 「アイルランド音楽ライヴ」という副題と値段(3000円ポッキリ)で鑑賞を決めてしまった私はチャレンジャーなのか単なる無鉄砲なのか、とにかく2004年2月のオ・スノディ三兄弟によるライブの予習にと某中古屋で前から目をつけていたキーラの3作目「レモネード&バンズ」を購入したのでした。 そのライブは、まあなんというか好き放題し放題なもので、とりわけ次男ローナンのマイペースぶりと長男カラムの美声が観客のハートをわしづかみにした素敵な一夜。 だって演奏中によっこらせとステージ中央に座り込み、バウロンにマイクをくっつけ直してるんだよローナンって人は。それも使い終わったガムテープを袖に向けてゴロゴロゴロと転がしてて。で、終演後にお客が「サイン会行かなくていいの?」と聞くと「大丈夫大丈夫~♪」といつまでもステージをうろうろ。三人兄弟の真ん中は概してマイペースというのは、どこの国でも一緒なのだろうか…。 音楽も「アイルランド」と言い切るのはどうなんだろ?って状態でしたね。とにかくパーカッシブ。月並みな表現だけどアフリカ色がものすごく濃い。この人たち本当にアイルランド人なのかなあ…と訝る人が現れてもおかしくないと思います。 では、そのオ・スノディ兄弟が重要なファクターとなっているキーラのサウンドはというと…。 87年に結成され、本作の時点でのメンバーはオ・スノディ三兄弟、ブライアンとランスのホーガン兄弟、オーウェン・ディロン、紅一点ディー・アームストロングの7人。 フィドラーやパイパーを擁していながらも伝統音楽の枠は素直に収まらないのがキーラの最大の特徴で、ゲール語の歌唱も神秘性とか幽玄とかそういう類のものとはちょっと違う位置にいます。 ローナンの早口まくし立ては密林の奥で大猟節を踊っているようで、小汚いルックスと歌声が見事なまでにマッチしています。前歯も1本抜けてるしいかにも野生児といった風貌なんだけど、実はインテリ。カラムとロッサも理学療法士の資格を持っていたり俳優としての顔も持っていたりと、一筋縄では済まないです。 そうそう、もう1人のリードシンガー、カラムは高音が非常に美しい声をしています。弟はあんなダミてるのにこの美声はなんなんでせうか。 でも全曲がジャングルなのではなく、アイルランドの伝統音楽が持つ郷愁感もばっちり醸し出しています。 フルートやパイプが響き始めれば、そりゃあ多かれ少なかれ懐かしさはこみ上げてくるものですが、担当クレジットに打楽器が多いことからも想像できるようにボトムはかなり濃密。といっても低音の引きずるような重さではなく、たくさんの音を重ねることによってボリュームを出している感じかな。 うーん、キーラの持つアフリカンな雰囲気ってローナンが持ち込んだものなのかも。彼が関わっている曲になると俄然、ジャングル度が上がるんだよね。 アイルランドでもありアフロでもあり、ラテンでもあって歌い出すとラッパーに変身…これは一種のミクスチャー音楽ってやつですか? 現代音楽ではあるけれどデジタル加工とは無縁のナチュラルな響きが新鮮です。公式サイトはここだーい人気blogランキングへ