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ヒロタカズマ

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September 22, 2007
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●「人間とはなにか?」との質問に対し、どのように答えるかは人によって様々であろう。社会学的な答え、宗教的な答え、心理学的な答え、或いは哲学的な答えが返ってくるかもしれない。
●しかし、人間はなによりもまず生物であることから、進化論的に人間とはどのような種であるかについて述べるのが妥当ではないかと思う。
●そして、人と人との関係、社会のあるべき姿を考える上でも、進化論的な意味での人間の特徴がその土台にあるべきではなかろうか?

●ということで、以前解説した『暴力の起源』に引き続いて同じ著者の『ネオテニー』も読んでみた。

ネオテニー
ネオテニー ―新しい人間進化論―
A.モンターギュ(著)
尾本恵市&越智典子 (訳)


●私は、A.モンターギュの述べるような人類愛に満ちたヒトの特性の全てが進化論的に説明できるものと思っているわけではない。しかし思想的にはおそらく彼と大筋で異なることはないと推察できる。

●以下で、『ネオテニー』の要点を抜粋するとともに、私の考える未来社会と対比してみた。

■ネオテニーとは
幼い形のまま成長する過程をネオテニー(幼形成熟)、または幼形成熟とよぶ。…その意味するところは、要するに、幼児や胎児(さらには私たちの原始的な祖先のこどもや胎児)にみられる特徴が、成人にも保存されている、ということである。

…ヒトは、その身体、精神、感情、行動のいずれにおいても、幼児的特徴を減少させるどころか、逆に、強調するような方向で成長し、発育する動物なのだということこそ、真実なのである。つまり、私たちは多くの点で幼児の性質のままでいるように設計されているのであり、けして私たちの大多数がそうなってしまったような大人に育つべく、つくられてはいなかった。


●ゴリラ、チンパンジー、オランウータンなどの類人猿とヒトの胎児や幼児は驚くほど類似している。このうちヒトのみが、類人猿が幼児期に必要とされた特徴を成人にまで引き継いで成熟させる。
●本能に基づく行動とは、反射的な自動的な行動で、脳に予めプログラミングされたものである。大多数の生物の行動はこの本能的行動といえよう。しかし、霊長類のような動物は少なからず経験や学習に基づいて行動する。
●環境条件の変化に対応して、遺伝子を変化させることによって適応を図ることよりも、頭脳を用いた学習による適応の方が、飛躍的に効率的である。
●ヒトは、幼児の時に、特に必要であった未知に対する適応力のための白地キャンバス(前頭葉)を幼児期を過ぎても成長させ、反対に融通のきかない本能をかなぐり捨てることによって、環境対応力を身につけたといえる。ヒトは教育されることを前提とした生き物である。

●ヒトは幼児期の行動上の特性の多くを成人期まで残存するように仕組まれた動物であることは間違いない。ヒトの場合、胎児から幼児、子供から大人への発育の速度が、他の霊長類のどの種とくらべても遅く、また、ヒトの成人の特徴のなかに胎児の特徴であるものが多いというのも事実であろう。

■ネオテニーの特徴
偏見をもたず、新しい考えをうけいれ、順応性をもち、探求し、努力し、疑問を発し、追求し、批判的にためし、古い考えと同時に新しい考えも検討すること、つまり偏見のない好奇心と、新しい経験を享受することにたいして興奮すること、完全に理解しようと進んで努力すること、くわえてユーモアと笑いのセンス--これらは、すべてネオテニー的特徴である。じっさい、これらは、ヒトが成長発達する機会を充足するうえでかかせない。そしてその機会を与えることこそが、すべての社会の基本的な目的でなければならない。

■人種や民族の相違
他の動物のように反応を遺伝的に固定するかわりに、ヒトは、自分の反応を発明する種“ホモ・サピエンス”に属している。発明し、とっさに判断し、“反射”ではなく“反応”をし、“選択する”という、独特な能力のおかげで、人類のじつに多様な文化がうまれたのである。したがって、すべての人類集団や民族集団に遺伝される能力の幅や平均値は、かなり似たりよったりである、ということがわかるだろう。

●人種や民族に対する拘りや差別、国などといったものが作為的なものであるとの私の主張にも合致する。

■婚姻制度
ほかの霊長類の雌たちでは、発情周期によって、性行動は短期間のくりかえしにとどまっている。しかし、女性は、そのような生理的隷属から解放され、同時に、男にとって女性は常時、“入手可能”となった。そして、そのことが一夫一婦制の起源となった。ひらけた平原に生きる場所をもとめた人類にとって、この新しい“家族単位”は、自然選択上、かなり有利にはたらいたことだろう。
というのは、この“母”と“父”からなる安定した社会単位は、それぞれのやりかたで、こどもの生存と発達に寄与しながら、長期間、こどもの世話をおこなうからだ。


●歴史的には一夫多妻制、一妻多夫制、複合婚とかプナルア家族のような婚姻制度もある。しかし、例えば全ての男が一夫多妻では女の数が不足する。複合婚の場合にも実質的にはカップルができていることが多かったのかもしれない。

■女性の魅力はネオテニー性
…若い女性が男性にとって魅力的であるのは、声が割れていない、子供のような外観をしている、体毛が少ない、身体が丸みをおびている、また少女じみた行動をとるといった、幼形特徴の組み合わせによるものだ。

■人間の特徴はネオテニーに由来
…もっとも深い意味において、子供の精神こそ人間らしい精神であり、もっとも高い生物学的価値をもった適応的特徴だということである。

…私たちは、こどもにこうあるべきだという先入観を押しつけ、そして彼らの手に負えない本性と考えられるものを罰するのである。そのような偏見のもとで、私たちは、こどもが本来なにになろうと努力しているのか、そのことを理解しそこなってしまう。こどもは、人と、深く愛情によるかかわりをもとうとしており、そして与えられたすばらしい特性のすべてを発達させようと努力しているのである。


●『未来からの伝言』より
「ホウ、ホホーウ! 誘拐される資格というのは、『子供であること、素直な性格であること、凝(こ)り固まった価値観のようなものを持っていないこと、柔軟な頭の持ち主であること、世の中のおかしなことはだれが何といおうと『おかしいんじゃない』と思えること、自分の意見をはっきりいえること、ちょっとませていて捻(ひね)くれたところがあること』なんだ」
「そんな、ありきたりのことが資格なの? 誰でもよさそうな資格に思えるな。それにちょっと気になるんだけど、『素直なこと』と『捻くれたところがあること』って、矛盾するんじゃないの?」
「ホーウ! 先生や親のいうことならば、間違っていそうなことでも『はい』と言うようなYESマンではないということさ。自分なりに判断して納得しないと、『はい』とは言わないような性格で、普通の人は捻くれていると思うからね。ところが、こういう条件の整った子供というのは、意外にいそうでいないんだ」

■年齢区分の不自然性
…胚・胎児・赤ん坊・幼児・こども・青年・成人・老齢者といった用語は、すべて生物学的にも発達上の観点からも、いわゆる現実には対応していない、かなり恣意的なものである。

すでにのべたように私たちは、習慣として発達の各“時期”に恣意的な境界をもうけ、そして、それらを“段階”と名づけているのである。こうして私たちは、ふたつのことを把握しそこなってしまった。ひとつは、“発達”とはいつも、それが起きている状況こそ問題なのであるということ。ふたつめは、それが連続的なプロセスであって、それぞれが独立分離していて、おのおの異なる服従や義務、地位、役割などを必要とする不連続な期間のつながりではけしてないということ。

…こどもたちを年齢によって学年にわけるのは、機能上の誤りである。彼らは、本来、要求される作業をこなす能力に応じてわけられるべきなのである。こどもは、ふつう、ある科目の学習について、またその適性について、それぞれ発達する速度が違うし、その熟達の速さにおいてもそれぞれちがう。これは、よく認識されなければならない。すべての科目を同時に、ひとしくうまくこなすように子供に期待するのは、非現実的であり、有害である。

胎児から老齢にいたる、“人生の諸段階”という考え方は、なんとしてもあらためる必要がある。そして、とりわけ幼児期の意義と、それがもつ個人と社会と人間性の発達にかかわる重要性については、もっともよく理解されねばならない。


●『未来社会の構造』より
未来社会における未成年、成人と老人の境界は、現代のような不連続なものではない。成人、定年などについて決められた年齢のようなものはなく、連続的なものである。教育を受ける権利、選挙権、法の裁きなども年齢による差があるわけではない。

人類を偉大にしたのは考えることである、とパスカルはいった。しかし、私たちの何と多くが本当には考えていないことか。私たちは、それと気づかないまま考えることをやめ、そして決まり文句や常套句、偏見などに、ほとんどふりまわされている。

●法律、儀礼、因習、社会制度、社会規範のいかに多くがこれらに類するものであろうことか。





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最終更新日  September 28, 2007 04:59:31 PM
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