FCフォース

肝臓の手術に臨んだ僚友、アビダルを激励するＴシャツを身にまとい、遠く日本の被災者に捧げる黙祷。
そんな温かい想いで満たされたスタジアムで、ゲームは始まった。

うれしいね。


負傷のペドロに代わってボージャン。ボランチにマスチェラーノ。センターバックはピケとミリート。
一時期のレアルのように、満身創痍の様相を呈してきたバルサ。

前節の後半、セビージャを相手に、目を疑うような波状攻撃をくらい、
およそらしからぬバタつきを見せたバルサ。

このゲームでしっかりとその底力を見せてくれるのか？


勝つには勝ったのだが・・・、
残念ながらやはり不安要素の多いゲームになってしまった

まずは前半から、おや？と思うシーンが・・。

１４分にバルサ陣内、ミリートのヘディングクリアーをバイタル後方で拾ったのはヘタフェ。
シャビのプレッシングに自陣までバックパス。
ここからが「おや？」。

いつもなら、下げる相手に対しここぞとばかりにプレスをかけ、最も嫌なところでボールを奪取、
ゴールへ！とたたみかけるシーン。
しかし、あの「弱い者イジメ」の様なプレスは影をひそめる。

シャビの後方、セカンドラインの押し上げが遅い為、パスの受け手が多数存在し、
ヘタフェのディフェンス陣、落ち着いてポゼッション。
何と１１本ものパスを通し、バルサ・ペナルティエリアまで侵入、シュートまで行ってしまった


何故そうなるか・・。
まずは運動量の低下。そしてそのスピード、質（動き出しのタイミングや、コースの限定の仕方）
も明らかに落ちているのだ。


チェイシング（プレス）というのは、ある意味センスの差が顕著に表れるプレーといえる。
適確な洞察力（読み）にスピードが伴った時、チェイシングは恐ろしい武器となる。

今シーズンのバルサ躍進の原動力として挙げていたペドロ。その不在は、予想以上に
大きな影を落としているように見える。

もう一つ気になるのがビジャ。

以前、ストライカーについて述べた時に触れた二つのポイント。
良いタイミングで打てているか？
しっかりミートできているか？

この２点さえ出来ていれば、あとは「時の運」と・・。
その２点がどうも怪しくなっているのだ。

２０分のシュートは枠の外、３１分の決定的チャンスは、僅かなコントロールミスから
ステップ数が２歩程増え、ディフェンスに弾かれる。

後半１０分には、フリーの抜け出しから何とメッシへのパスを選択

１３分にはゴール正面のシュートをミスヒット、等々ちょっとらしくない。

何よりその表情がちょっと気になっている・・。




開始７分
ヘタフェのチャンスを潰したバルサ、左のビジャからバイタル中央シャビ。
いつものドンピシャ連動で裏に走りこむメッシにシャビからループパス。
胸トラップからオーバーヘッド。キーパー飛び出してナイスセーブ

１６分、バルサのコーナーキックは流れて反対サイドのピケへ。ビジャへのパスをカットした
ボールは中央へ。後方から突っ込むアウベス迷わずハーフボレー、右足を振りぬく
弾丸シュートはゴール右に突き刺さる　　１－０。

２０分、ヘタフェ陣内クリアーを奪ったイニエスタから右のメッシへエクセレントなパス。
ライナーの折り返しはファーサイドのビジャへ。シュートはバーの上。


３１分バルサにビッグチャンス。アウベス、バイタル中央に向かってドリブル、右外のメッシへ。
メッシ中に向かってドリブル、ペナ中央に入ってくるイニエスタへ強めのパス。
イニエスタ、ディフェンスを目一杯ひきつけて超お洒落なスルー左にドフリーのビジャ。
ほんの僅かなコントロールミスからシュートが遅れ、サンチェスの足に阻まれる。

３２分ヘタフェのビッグチャンス。左サイドのデルモラル、ドリブルで抜け出し折り返しのクロス。
ニアーのピケ逆を取られるも何とかさわってコースを変えバレホのシュートを阻む。
しかしその後ろ、ゴール正面にはカスケロ　決定的シュート！バルテス左足で弾き出す

後半４分　バルサに追加点。
ペナ外でアドリアーノから受けたメッシ、ディフェンス４人を引きつけ右サイドのボージャンへ。
中へ切り返し左足のシュート！　ディフェンスの足に当たってコースが変わりゴールイン！２－０。

この後、２点差に少しテンションの下がったヘタフェ。
しかしチャンスは作りながらも、息の根を止める３点目がどうしても奪えないバルサ。

ボージャン、イニエスタを次々に下げ、手堅く終わらせるというシナリオ・・・。
だが大方の予想に反し、残り５分でゲームは俄然ヒートアップする。

後半４２分、ヘタフェ陣内最も深い位置からなんとまたもや１１本ものパスを繋がれ、
最後のクロスはかろうじてヘッドで逃れるが、拾われたボールを落としからダイレクトの
アーリクロス。これが中央のデル・モラルにドンピシャリ！！
ジャンピングボレーでゴール左隅に叩き込む　２－１。

前節につづいて、カウンターではなく完全に崩されての失点。
さらに怒涛の反撃は続く。

ロスタイム１分には、シャビが遅延行為でイエロー
上手くいかない苛立ちから、次節の出場停止を招いてしまった・・。

ロスタイム２分、最後の最後、バルサ陣内左奥、スローインからピケがヘッドのクリアー。
これをダイレクトで浮き玉を放り込む！　中央ヘッドでそらしたボールはゴール前フリーのアルビン
肩のトラップで微妙にバランスを崩しシュート打てず！　頭を抱えるアルビン。

だが、さらに波状攻撃は続き、右サイドからゴールラインまで切り込んで高速のクロス
合えば同点　しかし詰めていた５枚には合わず試合終了。


冷や汗たらたらの勝利。
レアルと比較して「隔世の感あり」と書いた、バルサの終盤のゲーム運び、
相次ぐ脱落者により、どうやら怪しくなってきました。