戦争が終わった・戦争は終わった…二学期が始まった…自分史エッセイより抜粋
空襲や灯火管制が無くなり、ノホホンとした気持ちで登校した。が、学校の雰囲気は一変した二学期の始まりだ。真っ先にさせられたことは、教科書を墨で消すことだった。今まで、正しいと教えられてきたことは間違っていたと…不適切と思われる部分を、先生の指示で墨汁で塗りつぶした。先生は、これからは“民主主義”の時代だから、当然なのだと言う態度。戦争が終わって、まだ二週間しか経っていない。その間に何が変ってしまったのか。「今まで教わってきたことは、何だったのか」“皇民教育”から百八十度の転換。一学期までの教育を、否定する先生たち。報道の姿勢も一変した。国営放送でさえ、敗戦翌年の2月から、ラジオで『英語会話教室』をCome, come, everybody.How do you do, and how are you?Won't you have some candy,One and two and three, four, five?Let's all sing a happy song,Sing tra-la la la la(証城寺の狸囃子のメロディで。今も暗記している) 放送するなど、新聞もラジオも手のひらを返した報道に終始した。新聞に「自戒を胸に報じる」との記事があり、戦争を煽るような報道への悔恨と自戒に接することが出来、いくらかホッとした。四年生、10才の少女は混乱した。「今度は、アメリカ一辺倒だ。国家や、政府や、大人が言うことは、信用できない」との思いは、消し去ることは出来ず、『何事も、自分で考えることが出来るようにならなければ』と思った。この考えを、私の人生の原点と位置づけ、その後を生きてきたつもり???次回からは、何を食べ、どんな服を着ていたか?・・・もう暫くお付き合いください。