夢中になれるものを見つける
篠田桃紅さんは次のように語られています。なにか夢中になっているときは、ほかのことを忘れられますし、言い換えれば、一つなにか自分が夢中になれるものを持つと、生きていて、人は救われるのだろうと思います。仕事に夢中になったり、趣味に夢中になったり。宗教などに夢中になるのもそうだろうと思います。(103歳になって分かったこと 篠田桃紅 幻冬舎 69ページ)篠田さんは墨絵による抽象画の第一人者です。現在107歳だそうである。その人の言われていることは、経験に基づいていて味わい深い。篠田さんの指摘されていることは、森田理論でもその通りだと思います。夢中になるものを持っていることは、生きがいを持っているということになろうかと思います。でも歳をとると、夢中になって取り組むものをやめてしまう人がいます。また若い人でも、仕事や勉強には夢中になれない。趣味などに取り組む余裕がないという人もいます。これらは、夢中になれるものは、そこらに転がっているものではないと考えているのではないでしょうか。何か壮大な夢を想定されているのかもしれません。あるいは、エネルギーが枯渇して、生命を維持している状態で満足されているのかもしれません。残念なことです。作家の宇野千代さんは、「幸福のかけらは身近なところにいくらでも転がっている。ただそれを見つめることが上手な人とそうでない人がいる」と言いました。普段の生活の中で小さな夢や楽しみを数多く見つけることが大切なのではないでしょうか。生活の発見会の集談会などの自己紹介では、小さな楽しみをみんなにおすそ分けするという気持ちで発言している人がいます。とても好感が持てます。役に立ちます。・生活の発見誌で見つけた素敵な記事の紹介。例えば、12月号でいえば、「雑草は踏まれても何をされても種を残すという最終ゴールを決して見失わない」・最近挑戦した男の料理の紹介。カボチャマフィンの作り方。・家庭菜園で会得した野菜つくりのコツ。・犬のしつけで心掛けていること。・暑さや寒さをやわらげる方法。・音痴の人のカラオケ上達法。・安くておいしい酒のつまみ。大きな夢や目標というのは元々あるものではありません。日々の生活に懸命に取り組んでいく中で、問題点、改善点、課題などに気づくことから始まります。それらを何とかしたいと思って、頭で考え、実際に行動することでしだいに膨らんでくるものです。夢や目標を持つに至るには、いくつかの段階があるということです。規則正しい生活、凡事徹底の当たり前の生活の中から、夢や目標を育てていきたいものです。そして人生を大いに楽しみたいものです。