私はユーモア小話の収集の趣味がある。
この収集と自分で作ったもので1冊の本ができるくらいだ。
精神的に苦しくなると、この本が精神安定剤代わりになるから不思議である。
今回面白いものが見つかったので紹介したい。
(笑芸人しょの世界 プロでも使えるネタノート 高田文夫 双葉新書より引用)
春風亭昇太さんのところへ、東大卒の新人がやってきた。
これが世間知らずのヨタロー。
学校の勉強と社会での常識は比例しないようだ。
先日も楽屋で、持病持ちながら高座に上がっていた故桂歌丸師匠から、 「ちょっとタクシーを呼んでおいて」と頼まれた。
「師匠、タクシーが来ました」と言えばいいところを、 「師匠、お迎えがまいりました」と大声で言っちゃった。
天国お迎えレース第一位とまで言われている歌丸師匠に、このセリフ。楽屋中が凍りついたそうだ。
せんだみつをはミスター長島茂雄氏と案外親しくて、先日も会ったので、聞いたそうだ。
「ミスター、もう今まで散々色々な賞とかもらってきて、次に欲しいものはなんですか。人間国宝ですか」するとミスター、しばし考えて、
「ウーン、どうでしょう? やっぱり今だったら世界遺産ですか」と答えたという。
あるイベントのサイン会でアントニオ猪木と一緒になった林家木久扇師匠。
サイン会となり、色紙に座右の銘を書いてくれと頼まれた。
「入魂」と書いていくアントニオ猪木さん。
その横で我らが木久扇師匠、 「入金」と書いていた。
「向こうへ行ってくれ」と、猪木さんから怒鳴られたらしい。
いつも寄席で爆笑をとっているのか、三遊亭歌之助さん。
韓国語の覚え方というのがあって、 「サンドイッチ」はこういう。
「パンニハムハサムニダ」確かにパンにハムがはさんである。
ハサミを見たら、 「ヨーチョンギレルハサミダ」
よく切れるハサミだというわけ。そう聞こえるからおかしい。
天才芸人、立川談志、北野武、太田光。
3人を見ていると、よい芸人というものは躁と鬱がたっぷりとある。
この両方を併せ持っていないと、表現者として、あれだけの仕事はできないのだろう。
その点、根っから明るい天才が明石家さんま。
島田紳助は聞いていた。
「さんまはええなあ、落ち込むことがないから」
すると、 「何いうてんの、オレかて、鬱があるがな。あれは確か・ ・ ・ 18歳の時に15分だけ鬱になった」
生涯で落ち込んだのは、この15分間だけだったのだ。
なんでも自由な我らはミスター、長嶋茂雄。
学生時代に受けた英語の問題。
「 I live in Tokyo 」を過去形にしろという出題にしばし考えてこう書いた。
「 I live in edo 」
確かに東京の過去は江戸ではあるが。発想が面白い。
正解は、 「 I lived in Tokyo 」である。
いつも言ってることの9割はウソ。
楽屋では「ホラ吹き勢朝」と呼ばれている春風亭勢朝。
ある日、勢朝が歩いていると、 80歳くらいのおばあちゃんは元気よくゲートボールをやっていた。
「バシッ」とものすごい力でボールを叩いている。
その球を見ると「ひろこ」と書いてある。
球をなくさないようにちゃんと書いてあるのだなと思い、おばあちゃんに声をかけた。
「おばあちゃん、いい球打ちますね。ひろこさんていうんですか」
「いや、違いますよ」 「それじゃ、このひろこっていうのは」 「嫁の名前」