カテゴリ:森田理論の基本的な考え方
三重野悌次郎氏のお話です。
宇宙の現象は、常に流動変化であり、一瞬の間も停止固定することはない。 これは、仏教でいうと「諸行無常」ということです。 いくら自分の都合のよいようにしようと思っても、周囲の事情でどう変化するか分かりません。 どう変化していくか分からない人生に、絶対的な安楽を期待して、安らかな気分を求めようとするのが神経質者です。(森田理論という人間学 三重野悌次郎 春萌社 148ページ) この世の中は猛スピードで動いている。同じところに固定しようと思っても無駄である。 できることは、その変化という流れにうまく乗って疾走することだ。 精神現象も、常に変化流動している。不安があっても、それを一つ一つ解決してから次に進むという考え方では、変化にはついていけない。とり残されてしまう。 非安心行動(不安を抱えたまま行動に取り組む)という心構えで、日常茶飯事や仕事に取り組むことが大切である。 人間は、変化流動の生活の中で、欲求や欲望が発生する。 欲求や欲望が発生すると、それを制御する不安や心配事も同時に発生するようになっている。 森田理論でいう「精神拮抗作用」のことである。これは人間に標準装備されている。 普通の人は、不安や心配事に細心の注意を払い、欲求や欲望の達成を目指していく。 神経症の人は、欲求や欲望の達成のためには、まず不安や心配事を片づけないと、次のステップには進めないと考える。森田理論では「手段の自己目的化」が起きているという。 解決のめどが立たない不安や心配事に関わっているうちに、本来の欲求や欲望を完全に見失ってしまう。そして悶々とした生活に甘んじることになる。 たとえば結婚したいと思うような人が現れた。 なんとか声をかけてお近づきになりたい。 でも、もしも相手に結婚を前提に付き合っている人がいたとしたらどうしょう。 すぐに断られてしまう。それを面白おかしく周囲の人に吹聴されたりすると、自分の立場がなくなる。そのことを考えると、気軽に「付き合ってくれませんか」と声をかけることができない。 そして、付き合うチャンスを逃して、いつの間にか二人は疎遠になっていく。 それを思い出すたびに、後悔でやるせなくなる。 精神拮抗作用に対しては、目的物から目を離さないことが大切になる。 紙に書いて机の前に貼りつけて置く。 つぎに、欲求や欲望が発生すると、必ず不安や心配事、乗り越えなければならない障害物が発生することを忘れてはならない。 それは軽率なことだけはするなよと警告してくれているのだ。 それに学んで慎重に行動していけばよいということです。 それをクリアして初めて果実を手に入れることができるのです。 そのためには達成可能な目標を設定する。数が多ければ多いほどよい。 先の例では、まず挨拶をする。世間話をする。相手の趣味などを知る。友だち関係を知る。グループ交際をする。友だちに協力を取り付ける。お茶をする。飲み会やカラオケを企画する。メールやライン、携帯番号を聞く。プレゼントをする。等々。 脈があると思えば、さらに課題や目標を増やしていく。 どうも相手にその気がない。自分もどうも合いそうにないと思えば、その時点で撤退する。 うまくいかなかったときでも、失敗の経験は次の成功のための力になります。 成功のためのノウハウを一つ身につけたと思えばよいと思います。 不安や心配事に取りつかれて、具体的な行動を起こさないというのは、精神衛生上もっとも悪いパターンとなります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.09.06 06:20:04
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