カテゴリ:森田理論の基本的な考え方
「スピードはマイナスエネルギーを遠ざけるパワーがある」という人がいます。
前に向かって進んでいるときは、マイナス思考が前面に出てこない。 変化流転しているときは、前向きな気持ちになるということだと思います。 これは森田理論の「運動観」につながる考え方だと思います。 そんな理論があったのかと思われる方がおられるかもしれません。 私の手元にある「森田の6原則」の中に、この「運動観」が入っています。 1、健康な生活をする 2、他の為に尽くす 3、事実唯真の立場 4、実践の立場 5、運動観 6、両面観 神経症で悩んでいる人は、同じ場所に留まる傾向があります。 誰にもある不安にとらわれて、それらをその都度取り除いてしまわないと、次のことには手が出せないと思っています。几帳面で、一見合理的な考え方のように見えます。 しかし現実は、精神交互作用で神経症という蟻地獄の底に落ちていくのです。 神経症として固着してしまうと、仕事や日常生活が悪循環を始め、どうすることもできなくなります。普通の人は、心に引っ掛かる不安があっても、しっかりと目標や目的に照準を合わせています。不安があっても、目の前の目標や目的の達成に向かって行動しているのです。 常にスピード感を持って仕事や日常生活を処理しているのです。 これは自然界の摂理です。 地球は太陽の周りを猛烈なスピードで1年かけて一周しています。 その太陽系は銀河系の中心の周りを2億年かけて1周しています。 銀河系の隣にはアンドロメダ星雲があって、両者はお互いの引力で急接近しているそうです。 この二つの銀河は、いずれ将来は合体する運命にあるそうです。 2つの銀河の中心にあるブラックホールが一つになるということです。 動きを中止してしまうと、宇宙そのものが成り立たないということだと思います。 城の堀の水は入れ替えないと藻が生えて汚く淀んできます。 雑菌が繁殖してきます。蚊などが増えてきます。 川から水を引き入れて、どんどん入れ替えている場合はそのようなことは起きません。 谷間の小川は常に流れていますので、雑菌が近寄ろうと企てても、どうにもなりません。 自転車やバイクでも、前進することを中止した途端に、自前では立つことはできなくなります。 前に向かって動くエネルギーがバランスの維持に役立っているということです。 キャッチセールスでも足早にさっそうと歩いている人には、声をかけにくいそうです。 ぶらぶらと退屈そうに歩いている人に狙いを定めて声をかけているのです。 変なキャッチセールスにつかまりたくなかったら、スピード感を持って歩くことです。 自然の摂理に従って、常に運動観を意識した行動をとっていれば、問題は発生しないようになっています。ですから、この運動観の学習が大事になってくるのです。 特に神経質者の場合は、気分本位になり、面倒なことにはかかわりたくない。 しんどいことはパスしたい。予期不安が発生すると、すぐに撤退を考える。 エネルギーの無駄遣いは極力抑えたい。 うっかりして動くことを控えるようになるのです。 一見合理的な考え方のようですが、観念優勢の世界にどっぶりと漬かり、手持ち無沙汰になる。 その時注意や意識は自己内省的に働く。自己嫌悪、自己否定感でやりきれない気持ちになる。 こういう悪循環体質が習慣になると、生きていくこと自体がむなしくなります。 自然の摂理である「運動観」を基本的な方針として、その行動が暴走しないように、理智で調整して、バランスの維持を図りながら生活していくというのが、森田理論の目指している方向となります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.10.20 06:20:05
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