カテゴリ:観念重視から事実重視への転換
西洋のものの見方は心身二元論と言われています。
たとえば他人が自分のことを非難、否定、無視することにとらわれて仕事になりませんというクライアントに対して、精神科医はそれでは抗不安薬を出しておきますので様子を見てください。 不眠の症状もあれば、睡眠導入剤も一緒に処方しておきましょう。 一週間後にまた来てください。そのときに経過を教えてください。 改善できていなければ別の薬を処方しましょうということになります。 またストレスが蓄積して胃潰瘍や十二指腸潰瘍の症状がある場合、別途内科医の診療を受けてくださいということになります。心と体は別物という考え方です。 これはそれぞれの医者が症状だけを見ているということになります。 その人の考え方や生き方に問題があって心身の病気になっているのですが、そこには踏み込んでいない。 対症療法では根本的な問題解決にはつながらないと思われます。 これに対して森田理論は心身一元論の立場です。 心と身体の病気はコインの裏表の関係にある。 原因は一つでそれが心と身体の両方に病気を引き起こしている。 心と身体の両方をいっしょに治療をしないと根本的な治療にはならないという立場です。 心身一元論は物事を両面観で見ていかないと物を見たことにはならないという考え方です。 良いか悪いか。正しいか間違いか、快か不快か、0か100か、白か黒かというような二分法的なものの見方はものを正確に見たことにならないという意味です。 私たちは先入観、早合点、決めつけ、思い込みで一方的、短絡的に自分勝手に間違った判断しやすいという特徴があります。 そして性急に対策を立てて行動に移してしまう。 後から「我慢して耐えた方がよかった」と思うことがあります。 この両面観の考え方は私たちの生活のなかに大いに取り入れる必要があります。 両面観というのは、ある考えが浮かんだ場合、それとは正反対の考え方も検討対象につけ加えましょうという考え方です。 たとえば神経質性格です。 心配性で細かいことにとらわれて、すべてをマイナスに捉える損な性格というのは一面的なとらえ方になります。 さらにマイナス面を鍛え直そうとすると多大なエネルギーを消費することにもなります。 森田理論を学習すると、神経質性格は、感受性が強く、真面目で責任感があり、粘り強く、生の欲望が強い素晴らしい性格であることが分かります。 性格にプラス面とマイナス面があるということが分かると、プラス面に光を当てて伸ばしていこうと考えることもできます。 「人間万事塞翁が馬」という中国の故事がありますが、両面観を身に着けている人は、積極的、生産的、建設的、創造的な生き方ができるようになります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.02.07 06:20:08
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