親の収入減、深刻
私立高生に不況影響 退学・学費滞納770人自動車関連業 親の収入減、深刻 経済的な理由で学費が払えず退学した生徒や、滞納している生徒の実態を愛知県私立学校教職員組合連合が調査した結果、親が会社経営に行き詰まり、交通費を工面できずに徒歩で長距離通学したり、推薦入試には合格したが授業料を払う見通しが立たず、入学を辞退したりするケースが出ていることが分かった。不況が私立高校生を直撃した形だ。調査は景気の急激な悪化を受けて、同連合が県内の48校を対象に実施し半数の24校から回答を得た。その結果、学費が払えずに退学した生徒は30人、3か月以上学費を滞納している生徒は全体の2・6%に当たる740人にのぼった。深刻だったのは親が自動車関連産業に従事する家庭だ。回答によると、名古屋市内の高校に通う1年生の男子生徒の父親は自動車部品工場を経営していたが、昨年11月以降仕事がなくなった。父親が教科書以外、自転車を含めてすべて売却したため、交通費も捻出(ねんしゅつ)できず、1時間かけて歩いて登下校している。ユニホームも買えず、部活動をやめざるをえなかったという。東三河の高校に通う1年生男子生徒は、両親が日系ブラジル人で、母親が勤め先を解雇され、自動車関連企業に勤める父親の収入も大幅に減った。母国語の読み書きができないので、本人は「日本に永住したい」と希望していたが、両親と帰国するため、1月31日付で退学した。推薦入試で合格しながら授業料が払える見込みが立たず、辞退した生徒も3人いた。「受験料を返してほしい」との申し出もあるという。一方、県私学振興事業財団によると、財団が行っている入学金貸し付けの申込者(推薦入学分)は、昨年の約230人から約260人に増加している。愛知私学奨学資金財団の奨学金申し込みも、昨年の2倍以上のペースという。 同連合の花井広幸・書記次長は「結果は氷山の一角で、把握し切れていないケースも多い」と話している。 (2009年3月6日 読売新聞)