赤の広場でコサックダンス~すれ違い編~
朝7時のモーニングコールで目覚めて窓の外を見ると、あたりはまだ真っ暗で通りにも人通りはほとんどありません。昨夜は12時過ぎに眠ったのですが、その頃はたくさんの人が歩いていました。ロシア人は夜型なのか、それとも今日が日曜日だからなのか・・・この時期のサンクトペテルブルクと日本の時差は-6時間。日本は今頃昼の1時過ぎか、などとぼんやり考えながら着替えて朝食をとりに行きました。朝食後ホテルを出てもまだ外は明るくなっていません。朝9時の街の様子今日はバスに乗ってサンクトペテルブルクの街の観光です。車窓から日本とは明らかに異なる街並みをぼんやりと眺めているうちに少しづつ外が明るくなってきました。それでは“サンクトペテルブルク歴史地区と関連建造物群”として世界遺産に登録されている街や建物をご覧ください。巡洋艦オーロラ日露戦争にも参戦し、ロシア革命の火ぶたを切る大砲を放った船です。オーロラ前の露店こういうのは見てるだけで楽しくなりますね。血の上の救世主教会“血の上”なんて、なんともおどろおどろしい名前です。1881年にロシア皇帝アレクサンドル2世が暗殺された場所の上に建っているためこんな名前になっているようです。タマネギ型の屋根がいかにもロシアな感じです。イサク聖堂高さ101.5m、幅97.6m、奥行き111.3mあり、世界最大級の教会建築のひとつです。ピョートル大帝の守護聖人、聖イサクという人に由来するらしいのですが、どうしても日本人としては“いさく”といわれると“伊作”とかの字をあてたくなります。領主の圧政に耐えかねて一揆でも起こしてしまいそうです。クリスマス用のモミの木「わたしも撮るで~す」物売りさんバスをおりる時にガイドさんが“物売りさんに気をつけてくださ~い”と言ってました。物売りさんいわく“ボウシ5,000エンネ~”どうやらここでは日本円が使えるようです・・・いずれにしても寒い中ご苦労様です。ここで昼食です。ロシア料理と言われて思いつくのはピロシキ、ボルシチ、ビーフストロガノフ・・・といったところではないでしょうか。そのうちボルシチとビーフストロガノフ、いきなりふたつも出ました。 ボルシチ(左)とビーフストロガノフどちらも日本人の口に合い、おいしかったです。ロシアのツアーに参加した人にアンケートをとると、食事に関しては常に評価が高いそうです。ちなみに個人的には、ビーフストロガノフの横にのっているご飯が日本のものより少し丸みがあって、少し芯が残る位の炊き方をしていたのですが、食感がプチプチでおいしかったです。食後は世界屈指の大美術館、エルミタージュ美術館です。1764年にエカテリーナ2世がドイツから225店の美術品を購入したのがコレクションの始りで、今では収蔵美術品数は300万点にのぼります。ちゃんと見ようと思うと一日がかりでも足りなさそうです。“エルミタージュ”とは“隠れ家”を意味するらしく、エカテリーナさんはこの隠れ家で自分の趣味の時間を楽しんだのでしょう・・・でもこんな大きな隠れ家、目立って目立って仕方ありません。エルミタージュ美術館外観ちなみに美術館の前は大きな広場になっていて色々な人がいました。コスプレ?結婚式もやってました。とりあえず寒くないのかなと思ってしまいます・・・「わたしたちの愛は雪をもとかすのよ!お~ほっほ!!」・・・とりあえず中にはいりますか。飛行機に乗るときと同じようなセキュリティチェックを受けて美術館の中へ。美術館内はフラッシュの利用はできませんが、写真撮影はOKです。与えられた時間は2時間半。かなりかけ足になりますが気の向くままにに撮ってみた美術館内と作品を紹介します。あ、この人は絵ではありません。見張りの人です。ポーズがなんとなく絵画っぽいです。これだけたくさんの作品を見続けていると、徐々に絵や彫刻の声が聞こえてくる気がします・・・「あ~へたこいたぁ~」メタボ検査に行きましょうさて、芸術を堪能したところでこの日は早めの夕食です。今夜の夕食会場はこんな感じ・・・広い部屋の片側に、我々のためのテーブルがぽつり。なんとなく落ち着きません。しかも我々のためだけにピアノの生演奏つきです。このピアニストのおばあちゃんが、演奏しながら我々にちらちらと目配せをしてくるのです。誘われているのでしょうか・・・「かも~ん」おばあちゃんの熱い視線を感じながらの夕食が終わったのが6時半頃。今日のプログラムはこれで終了です。まだ早い時間なので、希望者はオペラ鑑賞や、夕食会場と同じ建物にある劇場で歌とダンスのショーを見に行きました。自分はというと・・・どちらにも参加せず、個人的至福の時を過ごしにいくことにしました。ちょっと大げさに書きましたが、何かと言うと街歩きです。沢木耕太郎が深夜特急の中で「自分が一種の透明人間になっていくような快感」という表現をしておりますが、異国の街を気の向くままに歩く、だんだん自分の身体が街に溶け込んでゆくように無心になって行く・・・最高に幸せな時間です。もうひとつ、個人的旅のこだわりと喜びがタクシーを極力使わず、電車、バス、地下鉄等の公共交通機関を乗りこなす事。その国、街で初めてバスなどを利用する時のドキドキ感、たまりません。ちゃんと目的地に着けるのか、乗り過ごしてしまわないか、小心者の癖に、その不安感も含めて楽しいのです。SかMでいうとドMなので仕方ないです。そしてちゃんと乗りこなせるようになった時の達成感も最高です。自分が何かひとつ新しい事が出来るようになる喜び、もうひとつ深夜特急から引用させていただくと「またひとつ自分が自由になれたような気がした」という表現がまさにぴったりです。海外を旅すると自分が自由になって行く瞬間に数多く出合えると思います。拙い英語で初めてコミュニケーションが取れた時。インドでカレーを手で食べられるようになった時。「こうしておじいちゃんは立派な大人になったのだよ」「うん、僕らもがんばる」ということで、みなさんもスキあらば旅に出ましょう。さて、前置きが非常に長くなりましたがサンクトペテルブルクの街歩きです。 ・ ・ ・ ・ ・と、思ったのですが、脱線しすぎて長くなったので今回はこの辺で・・・えっ?どういう事?そもそも“すれ違い編”って何だったの?という声が聞こえて来そうですが、書いている本人も予想外です。まだ何もすれ違っていません。計画のない性格をさらしてしまております。ということで謎が謎を呼ぶ?~まさかのすれ違い編PART2~へ続きます。