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テーマ:中国&台湾(3301)
カテゴリ:人生
◇軍国主義は時代錯誤
まず断っておくが、私は戦略理論研究者であり、軍国主義者ではない。 なぜなら現代戦争はテロ・民族紛争・国境問題の戦いであり、テクノロジーの戦争である。 徴兵制を社会の統制装置として利用する独裁体制は確かに存在したし、大日本帝国もそうだった。 しかし、現に徴兵制を完全に実施している韓国では政権交代が起きた。 韓国は軍国主義国家なのか。 愚問は切り上げよう。 軍国主義とは何か。 テロの指導者はプチ・ミリタリズムで理論武装し、民衆を扇動する。 そして女や子どもにも武器や地雷を持たせ、生命を捨て、戦車や検問所で自爆させる。 日本でも、こうしたことを敗戦直前まで訓練していた。 そして、勢いがあまって外国人を差別し、迫害した。 ◇靖国神社は「反省と慰霊の場」 その意味では、現在の靖国神社は「軍国主義の反省と慰霊の場」である。 軍国主義の狂気の時代を賛美したり、追懐する場所ではないのだ。 むしろ、敗戦に血迷った事実をそのまま保存し、戦争の犠牲者たちの手記などを展示する。 靖国神社に政治的な主張はない。「このように読め」という解釈もつけない。 事実を展示し、その意味は見学者に問いかける。 大日本帝国軍が勝ち続けた無敗の神話に包まれた戦前の時代は、確かに軍神・英霊の存在は、兵力の増強や軍備拡大を思想的に支える間接的な機能を持っていたことは否定できない。 そして、一部の靖国神社支持者には、そのような過激な右翼思想を信奉する者がいる。これも事実である。 しかし、それはごく少数である。 小泉総理が靖国神社に参拝する最も大きな理由は、特攻作戦で殉難・戦死した青年たちの慰霊である。 中国政府の関係者は、その理由はよく知っている。 日本政府は何度も何度も詳細に解説を繰り返しているからだ。 それを中国人民には伝えようとしないだけなのだ。 ◇小泉純一郎総理の主張 小泉総理の父、小泉純也・元防衛庁長官は、自分も青年時代、つまり昭和10年代に郷里の鹿児島県加世田市の近郊で、「お国の防衛ために、わが村に飛行場をつくろう」というアイデアを思いつき、熱心に海軍省に陳情した。 飛行場は実現した。 しかし、その一番機は特攻機だった。 数百人の青年たちがアメリカの艦船の攻撃のために大型爆弾を抱いて飛び立ち、帰還しなかった。 父・純也の悔恨はひどく大きかった。 彼も特攻機の兵士たちと同世代であった。 小泉純也は衆議院議員となり、国務大臣・防衛庁長官となった。 その時、たまたま自衛隊法を改正して、もっと時代に合わせたものにしようという構想が防衛庁内にあった。 その事実が漏洩し、反自衛隊を激烈に運動していた社会党・共産党の手にわたった。 小泉防衛庁長官は、この事実を把握していなかったが、責任者として国会で厳しく糾弾された。 その直後のことである。 小泉長官は過労で倒れ、急死した。 父の秘書をしていた小泉純一郎は、この一連の経緯をすべて見ていた。 「何が父を殺したか」 そのことはすべてわかっていた。 そして父の死後、小泉純一郎は選挙に出馬し、初当選した。 政治家となり、小泉議員は父の郷里に完成した「特攻兵士記念館」の完成記念式に出席した。 最初は笑顔をつくっていた小泉さんだったが、しだいに堪えられなくなり、涙を流し、多くの人前で嗚咽し、特攻兵士の遺品の前に泣き崩れた。 総理になった小泉さんは、さっそく同じ記念館をおとずれ、再び特攻兵士たちの写真の前で対話し、誓った。 それは彼ら戦争の犠牲者たちが、戦後の過激な反戦主義的主張の犠牲になり、二重の犠牲として、不当に非難され、偏見にゆがめられてきたことに対する懺悔であった。 それは自分の父親を「糾弾死」させた異常な「反戦狂」に対する対抗心でもあり、彼自身が政治家として立った初志でもあるのである。 だから、靖国神社に参拝する小泉総理の祈りに、何の解釈も必要はない。 彼は戦争を否定し、戦争の犠牲者となった人々の魂を追悼しているのであり、軍国主義の復活を祈念しているのではない。 それは彼個人の特殊な事情に由来するものであり、決して中国政府や中国人民の非難の嵐があっても、彼は屈服しないであろう。 彼が日本遺族会と総理選挙前に「靖国参拝」の公約をしたことは確かで、彼にとっては遺族会を裏切ることは、父母を裏切ることに等しい。 このことを中国政府と中国人民は正確に理解してもらいたい。 こうした個人の事情、肉親の経緯、そして政治家としての初志について攻撃し、干渉することは、誤解と偏見にもとづくものであると言わねばならない。 ◇日本の「軍国主義」幻想 中国の人々は「皇民党事件」を記憶しているだろうか。 「皇民党」と名のる団体が、竹下登総理(当時)の郷里で「誉め殺し」といわれる無用の顕彰宣伝活動をやった。 これは明白な嫌がらせ目的だが、名誉毀損にはならない。 しかし、竹下総理の家族や近隣の人々は非常に迷惑した。 彼らは竹下総理のスキャンダルの事実(実は虚偽)をつかんだと錯覚し、総理を脅迫しようとしていたのである。 そこで中国大使館の友人から、私に問い合わせがあった。 「皇民党とは何か。新聞にたくさん掲載されているが」 「ああ。あれはね、構成員はたった三人。一人は党首、一人は在日韓国人、もう一人はその愛人。宣伝車一台。ただのヤクザですよ」 友人は驚愕していた。 中国で「党」といえば、相当巨大な組織を普通に想像してしまうのだ。 日本では三人集まれば「党」という。 中国語では「小組」だ。それも誤解の原因だ。 日本国憲法は結社の自由があり、政治結社「党」は非課税団体だ。 だから日本には無数の政党・政治団体がある。議会政党所属の国会議員も政党の選挙区支部と、自分の政治団体を複数設立して政治資金を管理している。 昔、「福祉民主正義党」という政治団体があったが、代表以外は全て本人不承知の書類で偽装した偽装団体であった。 彼らは「福祉」と「正義」を看板にして、実は高齢者の年金を搾取して、非課税会計で浪費していたのである。 右翼団体の多くは暴力団組織の資金管理をする「脱税機関」でもある。暴力団は左翼はやらない。 実際に、日本の右翼運動には在日外国人がすごく多い。 それは暴力団の下層構成員に在日外国人が多いからである。 右翼団体が暴力事件などで逮捕されると、彼らの本名、呉◇や李□などの本姓が新聞に掲載される。 私は公安関係者に依頼し、中国大使館に右翼団体の調査資料(もちろん公開された白書類の抜粋)を提供した。 だから、「日本に有力な軍国主義は存在しない」ということは、中国政府にも正確な情報と資料があるのだ。 それをどのように使うか。 それは中国政府の方針であり、党中央の決定で処理されていることだ。 私は知らない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 18, 2005 01:25:35 AM
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