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山口小夜の不思議遊戯

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2005年11月26日
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 神祀(かみまつり)の行事が一段落すると、一時は英雄じみていた綾一郎も、傍目には相変わらず人間臭い大将に戻ってしまった。

 国は平穏無事な日が続いた。
 しかし、綾一郎は綾一郎なりにこの平和な時期を利用して、すべきことにとりかかっていたのである。

 すなわち、懸案の臥竜の件であった。もはや綾一郎は臥竜を探す段階は脱していた。

 相生の臥竜──この大将はそれを豊と目していた。

 そして、このところの傘踊りの敷板作りをきっかけに、綾一郎は豊にずっと近づきやすくなっていた。考えてみれば、このふたりはおのことしては相生で唯一の同い年同士であった。

 大将決めのときにはすったもんだしたが、綾一郎は武人が言わんとしていたことが、今や完全に理解していた。それは、その当人には察しようもない信号であった。すなわち、大将として子供たちの人材をそろえる上で、豊は見逃すな、ということである。
 綾一郎が察するに、武人こそが豊が‘あてにならない’どころか、大変な掘り出しものであることを最初に見破った人間であるらしかった。

 綾一郎は謙虚に武人の意志を受けとめ、豊についてアンテナを張り巡らした。彼の直観によると、豊には並ならぬ知性が培われている感じがした。もしかしたら、それは豊自身でさえも気づいてはいないかもしれなかった。そして、それを裏づける証拠は、最近になっていくらもあがっていた。しかし、どれも具体化はしてこなかった。
 
 綾一郎はさらに豊の身辺に目を配りはじめた。

 ───

 その休日は、梅雨(つゆ)の一日だった。

 仲間で集まって遊ぶ必要もなかったので、綾一郎はつれづれに豊の家を訪ねた。さすがの豊も篠つく雨に足止めされて、その日は屋敷にとどまっていた。
 お話しすることとてなにもなく、ふたりでのらくらしていたとき、綾一郎はふと部屋の片隅に置いてある二十世紀梨のダンボール箱に目をとめた。

 ──あのダンボール、何?
 綾一郎はすかさず訊ねた。

 ──ああ、あれな・・・机にしよるのに。
 豊は答えた。

 机?
 綾一郎はその言葉を受けて、部屋のなかを見回した。
 たしかに、子供机が見えない。

 ──なんしてだ。兄(あに)さの誰ぞから、もらい受けたらええのに。
 ──机っちゃなんが、いらんわ。
 ──なんして。
 ──部屋が狭くなるわして。

 そんなもんかい、とは思ったが、相手は豊なのでそういうこともあろうと綾一郎は納得した。だが、「机にしているもの」に気遣わしげに視線をやる豊の、そのらしからぬ様子になにかひらめくものを感じ取った。

 次の瞬間、まったく反射的に伸ばされた腕が、ためらいもなくダンボールの中に突っ込まれていた。そして、綾一郎の手は、なにやらガサガサいう大量の紙束を、日の下(もと)につかみ出した。

 それこそが、綾一郎がこの日この時に見い出さなければ、永遠に陽の目を見ることのなかった宝の山であったのだ。

 ──これ、何や?
 綾一郎はそう訊いた。

 ──別に、何でもないっちゃ。
 豊は答え、取り返そうとした。

 リーチの長い腕が伸びてきて、綾一郎は箱を自分の後ろにして取り返されまいとした。
 綾一郎は傘踊りの名残で両手に包帯をしていたので、その怪我を慮って本気で取り返そうとするのをためらわれたことを、豊はこの場を借りて弁明するべきだろう。しかし実際のところそれを見つけてほしいと思う気持ちは、彼には微塵もなかったのだ。

 ダンボールのなかには、豊がこれまでに書き散らした、作文の紙束がてんこもりに入っていた。

 綾一郎は畳の端に座りこみ、午後のほとんどの時間を費やして豊が書いたものを読みふけった。
 彼は原稿を読み終えると、無理やり全人格を再評価させられたかのような厳かな顔をして豊をじっと見つめ、おもむろに口を開いた。

 ──これ、ごっつぅおもろいが。なんして皆に見せんだか?

 ──えや。ここで書いとるだけでええのだが。
 豊の言葉に、綾一郎がさらに言う。
 
 ──なんしてだ。そんなんつまらんが。なんも、ヘンなものではないんだも。つまり、詩だのとはちやうやろ?

 それでもやはり豊は綾一郎に他人には言わないと約束させた。
 綾一郎は交換条件として、これらの創作を絶対に捨てたりしないことを、豊の両指に無数に嵌められている月石(つきいし)の指輪に誓わせた。

 もちろん綾一郎はしゃべってしまったが、それで豊は自分の書いたものが老若男女を問わず、たいていの人に興味を持ってもらえることがわかることになった。



 本日の日記---------------------------------------------------------

 本日のイメージ写真はゆうじろうさんのご提供によるものです。
 ゆうじろうさんは現在、ご本人の言によると‘休養’でいらっしゃるようですが、この場をお借りして御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

 さて、本日の日記は昨日の鈴木姓の話題にちなんで──こういうの、ご存じですか?

 【自分の名字は何位かな?】

 ご自分の名字を入れて検索するだけ!

 全国名字ランキング

 名字を入れてクリックするだけで、順位と世帯数、類似した名字などが一発でわかります!

 意外におもしろいですよ~。

 ちなみに「山口姓」は14位、15万世帯を超える「山口さん」がいるらしい・・・。

 全国の山口さ~ん! 今日も元気にしてますか~?

 ところで、以前(二十年前くらい)にテレビ番組かなにかで「山口姓」が世帯数ではベスト10に入る(8位だったか)と聞いたことがありました。現在のところ14位に下がったということは、全国の山口家も少子化ということでしょうか(笑)。いや、笑い事ではないが・・・・・。

 この物語のなかのあまりいなさそうな名字を検索してみたら・・・・・19687位で60世帯しかいない名字でした! となると、この一族だけなんじゃないの!?(笑)。

 でも、14位からすると・・・なんだかうらやましい気も(笑)。

 皆さまの名字は何位でしたか?
 ぜひ、検索してみてください☆


 明日は●兄弟猫は逃げ抜いて●です。
 小夜の初めて作った物語です。
 タイムスリップして、楽しんでいってくださいね!


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最終更新日  2005年11月26日 04時58分07秒
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