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2015年05月13日
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ライン河畔の貧しい音楽一家に生れた主人公ジャン・クリストフは、人間として、芸術家として、不屈の気魄をもって、生涯、真実を追求しつづける。この、傷つきつつも闘うことを決してやめない人間像は、時代と国境をこえて、人びとに勇気と指針を与えてきた。偉大なヒューマニスト作家ロマン・ローランの不朽の名作。(アマゾン内容紹介より)

ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』(全4巻、岩波文庫、豊島与志雄訳)
ロラン・ロマン:ジャンクリストフ.jpg

◎ベートーヴェンがモデル

ロマン・ロラン『ベートーヴェンの生涯』(岩波文庫)を先に読んでいるせいでしょうか。一般的にいわれているように、主人公のジャン・クリストフの個性が、ずっとベートーヴェンと重なりつづけました。『ジャン・クリストフ』(全4巻、岩波文庫、豊島与志雄訳)の第1部は、ベートーヴェンの生い立ちとほとんど同じ展開になります。2つを重ねてみたいと思います。

【『ジャン・クリストフ』第1部】
クリストフは、音楽家の家庭に生まれます。父は宮廷オーケストラの一員で、飲んだくれです。クリストフに、英才教育をほどこします。家計を支えてきた祖父が死に、父が失職し、家計は苦しくなります。クリストフは11歳のときにオーケストラの一員として働きます。やがて父が死にます。

【ベートーヴェン】
宮廷歌手の家庭に生まれます。父は宮廷歌手で、飲んだくれです。ベートーヴェンに、天才教育をほどこします。家計を支えてきた祖父が死に、生活は困窮します。ベートーヴェンは7歳のときに演奏会に参加します。やがて母が死に、父も死にます。

第1部は「あけぼの」「朝」「青年」という、3つの章で構成されています。クリストフの家族は、おおよそ前記のとおりです。祖父は宮廷指揮者でした。クリストフに古いピアノをあたえ、やさしい眼差しで彼を見守りつづけます。母は心の清らかな人ですが、病弱で人前にでることを嫌います。父がクリストフに英才教育をほどこすのは、お金のためです。したがって指導は、曲を会得することに専念されます。

クリストフは、新しい曲を創りだしたいと思っています。しかし父には反抗できず、いやいやピアノのまえに座らざるをえません。父の英才教育を受けたクリストフは、たちまち才能を開花させます。貧困生活のなかで、彼は偉大な音楽家になる夢をふくらませます。一家は彼の稼ぎで安定してきます。

父の死。祖父の死。友情と裏切り。初恋の人の死。初体験。世の中への絶望。第1部の終わりでは、彼は堕落への道をたどりかけます。そんなときに、伯父ゴットフリートがあらわれて、彼の心をひらきます。クリストフはさまざまな体験をしながら、青年へと成長します。

◎永い眠りにつくまで

第2部は「反抗」「広場の市」という、2つの章で構成されています。クルストフはこれまで愛してきた、ドイツの作曲家たちに欺瞞を感じます。そしてドイツ社会にたいしても同様の嫌悪感をおぼえるようになります。そうした彼に、公衆はそっぽを向きはじめます。クリストフは幼いころから、自尊心が強く繊細な心のもちぬしでした。感情が表にではじめ、彼は宮廷を追われます。

クリストフは理想をもとめて、パリへと向かいます。しかしそこも理想とはかけはなれた、混濁した社会でした。職もなく、孤独な彼はどん底生活を余儀なくされます。そんなときに、詩人オリヴィエ・ジャンナンと出会います。

第3部は「家の中」「アントワネット」「女友だち」という、構成になっています。クリストフはオリヴィエと自分とに、接点があったことを知ります。2人の友情のきずなは、よりかたいものとなります。クリストフはオリヴィエを通じて、すこしずつフランス社会に溶けこんでゆきます。

やがてオリヴィエは恋をし、結婚します。しかし長男を産んだあと、結婚生活は破綻します。クリストフも大使館員の妻グラチャを愛するようになります。

第4部は「燃えるいばら」「新しい日」という、構成になっています。クリストフとオリヴィエの友情はつづいています。しかしメーデーの混乱のなかで、オリヴィエは警官に刺殺されてしまします。クリストフも警官に襲われますが、逆に剣を奪って警官を殺します。

クリストフは、スイスに亡命して、友人の医師にかくまわれます。やがて彼は、友人の妻アンナと深い仲になります。クリストフは苦悩のすえ、アンナと別れる決意をします。失意のクリストフは神の存在を見出します。その後、クリストフは大作曲家となります。

物語はさらに、佳境へと進みます。親友オリヴィエには、男の遺児がいます。そして偶然再会したグラチアにも、女の遺児がいます。クリストフは2人を添いとげさせ、永い眠りにつきます。

ジャン・クリストフは幼いころの気質を、生涯ひきずりました。第1部での彼は生まじめすぎて、真の友人ができませんでした。自己顕示欲が強く、それでいて人から愛されることを熱望していました。そんなクリストフが成長の過程で、自らの気質に挑戦しつづけます。死。孤独。愛。別離。孤独。この循環はクリストフの内面に、「強さ」というかすかな生きざまを生成してゆくのです。壮大なドラマでした。ありきたりですが、ベートーヴェンの「運命」が聴こえてきました。
(標茶六三:2014.11.06初稿、2015.05.12改稿)






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最終更新日  2015年11月02日 06時20分00秒
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