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2015年06月22日
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連合赤軍があさま山荘にたてこもり、宮の森シャンツェに3本の日の丸が揚がった年は、今太閤が列島改造を叫び、ニクソンが突如北京に赴いた年でもあった。高度成長期の生真面目さとエンタテインメント志向の萌芽が交錯する奇妙な季節。3億円事件を知らない世代に熱い時代の息吹を伝える、新感覚の文化評論。(「BOOK」データベースより)

坪内祐三『一九七二』(文春文庫)
つぼ坪内祐三・一九七二.jpg

◎「節目」の年を深堀する
 
 私が坪内祐三を認めたのは、2003年に発行された『一九七二』(初出2003年文藝春秋、文春文庫)からでした。表題の「一九七二」は、一九七二年のことです。本書は、1972年にまつわる事件や社会事象を題材にした評論集です。雑誌「諸君!」に約3年間、連載されていました。

 1972年当時の坪内祐三は、中学1年生でした。本書では意図的に、14歳の視点は抑制されています。当時の新聞や週刊誌の記事をたどり、いまの目線で事件に迫ってみせます。ちょうど30年目にタイムカプセルを開けた、45歳の思考で当時を振り返っているのです。

 横井正一が、「恥ずかしながら」といって帰国します。連合赤軍事件が昼夜を問わず、テレビで実況されつづけています。雑誌「ぴあ」が創刊され、ローリング・ストーンズが入国拒否されています。本書には、32の事件や社会事象がとりあげられています。

――(註:連合赤軍事件は)何人もの作家たちがこの出来事を作品化しようと試み、失敗している。小説家の三田誠広は十数年前、この事件をモデルに『漂流記1972』(河出書房新社)と題するパロディ小説を発表した。(本文P82より)

 この作品は私も読みましたが、薄っぺらで軽薄な内容でした。やがて文庫化されてのですが、話題にもならずに消えてしまっています。あさま山荘のことなら、大泉康雄『あさま山荘銃撃戦の深層』(上下巻、講談社文庫)と『あさま山荘籠城』(祥伝社文庫)が秀逸です。

『一九七二』には、作家や評論家、雑誌記者なども多数登場します。それらの人を坪内祐三は、ばったばったと切り捨ててみせます。坪内祐三は当時の識者のコメントを引用し、それらを切捨てながら当時の深層に迫ってみせます。

 私よりも一回りも若い坪内祐三の1972年に、自分のそのときを重ねてみました。私は入社3年目のサラリーマンでした。「ぴあ」もローリング・ストーンズも、私の当時とは重なりません。本書を読んで、時代とともに歩いていないサラリーマンだった、と痛感させられました。
 
 そして自分の14歳のときを、検証してみたくなりました。私の中1時代は、どんな事件が世の中を騒がせていたのでしょうか。そんな気持ちににさせてくれた1冊でした。誰にでも「節目」の年は存在します。そんな1年にフォーカスをあてて、深堀してみることは大切なことだと思います。
 
◎『考える人』もお薦めである

 坪内祐三を「文庫で読む500+α」の「知・教養・古典ジャンル」の一人に選ぶことは、以前からきめていました。実は『一九七二』にしようか、『考える人』(新潮文庫)にしょうかと迷いました。自分史に関心をもってもらいたかったので、『一九七二』は貴重なナビゲーターになってくれると思って選びました。

 しかし『考える人』も捨てがたい著作です。本書は季刊誌「考える人」(新潮社)に連載されていたものを、まとめた著作です。季刊誌「考える人」は私の蔵書のなかでは特等席においてあります。特につぎの2冊は宝物のように愛しています。
『考える人』2011年夏号:梅棹忠夫・「文明」を探検した人
『考える人』2014年春号:海外児童文学ふたたび
 
 坪内祐三『考える人』は、小林秀雄、幸田文、植草甚一など16人の「考える」ノウハウに迫った見事な評論集です。読書人にとって評論家の文章にふれるのは、考えを深めるための一助となります。そんな意味で『一九七二』と同様に、『考える人』にも注目していただきたいと思います。
(山本藤光:2010.08.11初稿、2015.06.21改稿)





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最終更新日  2017年10月11日 05時05分34秒
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