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2015年08月05日
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ケチで冷酷で人間嫌いのがりがり亡者スクルージ老人は、クリスマス・イブの夜、相棒だった老マーレイの亡霊と対面し、翌日からは彼の予言どおりに第一、第二、第三の幽霊に伴われて知人の家を訪問する。炉辺でクリスマスを祝う、貧しいけれど心暖かい人々や、自分の将来の姿を見せられて、さすがのスクルージも心を入れかえた…。文豪が贈る愛と感動のクリスマス・プレゼント。(「BOOK」データベースより)

ディケンズ『クリスマス・キャロル』(新潮文庫、村岡花子訳)
ディケンズ・クリスマス・キャロル.jpg

◎スクルージは夢を見ます

私の読んだ新潮文庫は、『クリスマス・カロル』(平成19年103刷、村岡花子訳)というタイトルになっています。しかし最近の同文庫は、「クリスマス・キャロル」と改められています。

ディケンズには、紹介したい作品がたくさんあります。『デイヴィッド・コパフィールド』(全4巻、新潮文庫、初出1870年)『大いなる遺産』(上下巻、新潮文庫、初出1860年)『二都物語』(上下巻、新潮文庫、初出1859年)などです。でもディケンズへの入り口として、『クリスマス・キャロル』(初出1843年)を選ぶことにしました。

前掲の4作品では『クリスマス・キャロル』が31歳のときに書かれた、最も若いころの作品です。家計の足しにと、読者受けする作品を書こうとの意図がありました。作品のヒントとなったのは、次のとおりです。

――集会に参加したディケンズは、犯罪や貧困といった社会問題を解決する手段は教育であると講演した。このとき、クリスマス・イヴに夢を見たスクルージが、その夢を見たことで、それまでの自分の生き方を悔い、改心するという着想を得た。(日本イギリス文学・文化研究所編『イギリス文学ガイド』荒地出版社)

クリスマス・イヴにスクルージは、甥フレッドから「クリスマスおめでとう」と声をかけられますが無視します。貧しいこどもたちのために、と寄付を求めてきた紳士を追い帰します。その晩、強欲でケチで冷淡で人間嫌いなスクルージは夢を見ます。夢の中には7年前に死んだ、共同経営者のマーレイの幽霊が現れます。

マーレイは物欲にとらわれた人間が、いかに悲惨な目に遭うかを語り、過去・現在・未来へと誘う3人の精霊の出現を預言して消えます。

「過去」の幽霊は、スクルージの幼いころを再現してみせます。
彼は読書好きで、将来を夢見る男の子でした。奉公先でも雇主に感謝の気持ちを持っていました。それがやがて、金の亡者となって、恋人に去られた場面までを案内されます。

「現在」の精霊は、スクルージが安月給で雇っているボブ・クラチット一家のクリスマスを見せます。そこには足の悪い子・ティムがいます。スクルージは精霊に、ティムの行く末を質問します。精霊からは、残酷な答えが返ってきます。それはスクルージが昼間、発したセリフと寸分たがわぬものでした。またスクルージは世界中を案内されて、がんばっている人たちの姿を見ます。

「未来」の精霊は、悲しむ人が誰もいないスクルージの死ざまを見せます。

ここまで見せられると、どんな頑固な人でも改心すると思います。スクルージは精霊たちとの旅をつうじて、自分自身の本質を取り戻します。

クリスマスの朝、スクルージは

クリスマスの朝、改心したスクルージがいます。彼はボブ・クラチットに大きな七面鳥を贈ります。寄付金を集めにきた紳士に応えます。甥フレッドのクリスマスパーティの招待を受けます。そしてボブ・クラチットに昇給を伝えます。

単純なSFのような物語は、当初おとなに向けて書かれました。しかし物語のわかりやすさや教義性から、次第にこども向けとして出版されるようになります。ディケンズは繊細に、食卓の風景や店先を描いています。

スクルージが精霊たちに伴われて、過去、現在、未来を旅する場面は、まるで映像を見ているような鮮やかな描写がなされています。『クリスマス・キャロル』は、岩波少年文庫になっていますし、DVDでも観ることができます。

人生を巻き戻しできたらな、というのは万人の夢でしょう。そんな夢をディケンズは、さりげなく叶えてくれました。物語はクリスマス・イヴから翌朝までの2日間のできごとですが、スクルージは無限の旅をしています。

岩波少年文庫『クリスマス・キャロル』は、孫へのクリスマス・プレゼントに最適な1冊です。
(山本藤光:2012.11.19初稿、2015.08.04改稿)





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最終更新日  2017年11月15日 08時25分40秒
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