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2015年10月14日
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やさしい少女エバに引きとられたトムは、幸せなときを過ごしますが、それもつかのま恐ろしいグリーに売られて悲しい運命に……。(内容紹介より)

ストウ『アンクル・トムの小屋』(河出文庫、丸谷才一訳)
ストウ・アンクルトムの小屋.jpg

◎敬愛する丸谷才一の訳書

なにしろ敬愛する丸谷才一の訳書です。古書店を探し回って、やっとゲットしました。むかし児童書で読んでおり、ものがたりの概要は知っていました。興味があったのは、丸谷才一がどんな名訳をしているかについてでした。

ストウ『アンクル・トムの小屋』(ジュニア版世界文学の玉手箱10、河出文庫、丸谷才一訳)の冒頭には、アンクル・トムは登場していません。本書は40章の構成になっています。第3章までは、記憶にはない物語がつづられていました。

ジョージとエライザは、黒人奴隷同士の夫婦です。2人の間には、ハリーという息子がいます。夫婦は別々の主人に雇われています。エライザとハリーは、奴隷にもやさしいシェルビー氏に雇われています。いっぽうジョージは奴隷をモノとしか考えない、工場主のもとで虐げられています。

ある日、エライザはシェルビー氏と奴隷商人・ヘイリーとのやりとりを耳に入れてしまいます。シェルビー氏は事業に失敗し、最も信頼のおけるアンクル・トムと幼いハリーを売らなければならなくなります。

エライザはハリーを連れて、カナダへと逃亡をはかります。別れのあいさつのためトムを訪れたエライザーは事情を話し、トムも身売りされることを告げます。トムの妻クローはトムに、エライザたちといっしょに逃げることを薦めます。しかしトムは、次のように答えます。

――「いや、わたしは行かない。エライザは行かせよう。それはエライザの権利だからな。でも、わたしが売られなければ、みんなが苦しむことになるらしい。それなら、わたしが売られることにしよう。わたしはがまん強い男だから、がまんできると思う」(本文P55)

◎2組の奴隷家族の物語

『アンクル・トムの小屋』は、心優しいシェルビー家から売られていくトムと、逃亡するエライザとハリー親子の物語です。エライザ親子はヘイリーの執拗な追跡を逃れて、上院議員バード氏夫妻に保護されます。バード一家はシェルビー家族と同様に、温かく2人に接します。

いっぽう足枷をつけられ、船で輸送されたトムは、道中で溺死しかけたエバという少女を救出します。娘を助けてもらった父親シン・クレアは、その場でヘイリーからトムを買い求めます。シン・クレアも心優しい人でした。しかし妻のマリーは、夫とは真逆の考えをもっていました。

シン・クレアは病弱な妻・マリーに代わって家事を仕切ってもらうために、いとこで独身のオフィリアという中年女性を家に迎えています。彼女も奴隷に対しては、ていねいに接する温かい心の持ち主です。オフィリアは、こんなふうに考えています。

――わたしたちとおなじ血で、神さまは黒人たちを作ったのだ(本文P185)

◎シン・クレア家の不幸

シン・クレア家で、トムは幸せな毎日を過ごします。もちろん妻のクローや息子たちのことは、ひとときも忘れることはありません。そんなシン・クレア家に、相次いで不幸が訪れます。幼いエバが結核で亡くなり、シン・クレア氏も事故で世を去ります。トムはマリー夫人によって、冷酷な主人・レグリーのもとに売られてしまいます。

そこは奴隷にとって、地獄の農園でした。トムは衰弱した女性の奴隷をかばって、リンチを受けます。

トムはキャシーというレグリーの奥さんから、みんなを開放するにはレグリーを殺害することだ、と持ちかけられます。レグリーは大量の酒を飲まされて、泥酔しています。玄関には斧が用意されています。キャシーの計略に対して、トムはこういって拒みます。

――いや、いけない。善というのは、けっして悪からは生まれないものなんですよ。そんなことをするくらいなら、右手を切り落としたほうがましだ。(本文P325)

トムの死期が迫っています。そこへシェルビー家の若旦那・ジョージがトムを買い求めるためにやってきます。しかしトムは若旦那に見守られながら、天国へと行ってしまいます。

本書の最終2章は、「39:事件の結果」と「40:解放者」となっています。読者は残酷な運命の先に、心温まる後日談に触れることになります。感動をありがとう、と結ばせていただきます。丸谷才一の翻訳を、堪能しました。
(山本藤光:2013.11.21初稿、2015.10.13改稿)





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最終更新日  2017年10月30日 07時19分22秒
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