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2015年12月20日
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夕闇のせまるオックスフォード。なかなか来ないウッドストック行きのバスにしびれを切らして、二人の娘がヒッチハイクを始めた。「明日の朝には笑い話になるわ」と言いながら。―その晩、ウッドストツクの酒場の中庭で、ヒッチハイクをした娘の一人が死体となって発見された。もう一人の娘はどこに消えたのか、なぜ乗名り出ないのか? 次々と生じる謎にとりくむテレズ・バレイ警察のモース主任警部の推理が導き出した解答とは…。魅力的な謎、天才肌の探偵、論理のアクロバットが華麗な謎解きの世界を構築する、現代本格ミステリの最高傑作。(「BOOK」データベースより)

コリン・デクスター『ウッドストック行最終バス』(ハヤカワ文庫HM、大庭忠男訳)
デクスター・ウッドストック行最終バス.jpg

◎「モース警部シリーズ」の第1作

コリン・デクスターの処女作『ウッドストック行最終バス』(ハヤカワ文庫、大庭忠男訳)を本格ミステリーとして推薦します。本作は1957年に発表されており、著者27歳のときの作品となります。デクスターはイギリスの本格派ミステリー作家として、不動の地位をしめています。本書は「モース警部シリーズ」の記念すべき第1作となります。

その後デクスターは『キドリントンから消えた娘』(ハヤカワ文庫)を発表し、シリーズは長編13冊を数えます。本シリーズの特徴は文庫解説で新保博久が書いていますが、再読できる本格ミステリーという点にあります。最近のミステリーは、ネタバレされると、読む気力が失せてしまうものばかりです。ところが「モース警部シリーズ」は、現に私自身も再読しています。

同じイギリスのミステリ作家・ウィングフィールド(「標茶六三の文庫で読む400+α」推薦作『クリスマスのフロスト』創元推理文庫)の「フロストシリーズ」も再読しています。両者の共通点は、型破りな刑事のキャラクターにあります。

「モース警部シリーズ」で描かれているのは、現代のように科学捜査が発達していない時代です。したがって、主人公のモース主任警部は仮説を立て、その検証を足でおこなう活動が中心となります。モース警部の趣味は、クロスワードパズルを解くこととクラッシク音楽を聴くことです。彼の捜査はまさに、その世界(閃き、熟考、古風)と重なるような手順でおこなわれます。

モースは部下でもある、ルイス部長刑事と捜査をともにします。本書の読みどころは、モースとルイスの絶妙な掛け合いにあります。2人の仮説、推理、論理の展開が、実に細やかに描かれています。

◎消えた片割れ

深夜オックスフォードで2人の女性が、ウッドストック行きの最終バスを待っています。バスはなかなかやってきません。しびれを切らした2人は、ヒッチハイクをすることにしました。

翌日、ウッドストックのパブ「ブラック・プリンス」の中庭で、若い美しい女性の死体が発見されます。死体は乳房があらわになっていることから、性的暴行されたと推理されます。

事件を担当するのは、モースとルイスのコンビです。被害者の身元はオックスフォードからやってきた、シルビア・ケイであることが判明します。

シルビアは何の目的で、どうやってウッドストックへやってきたのかが、第1の謎になります。目撃証言もなく、事件は暗礁にのりあげます。

モースは被害女性の母親から、事情聴取をします。次にバス会社やタクシー会社にも問い合わせます。ヒッチハイクをしてウッドストックに来たのか否かは、この時点では定かではありません。モースはテレビ出演して、目撃情報を求めます。暴行死亡事件は、大々的に報道されます。

オックスフォートのバス停で、シルビアを見たという目撃証言が得られます。メーベル・ジャーマン夫人はシルビアには連れの女性がいて、2人はヒッチハイクをしたと証言します。しかしいっしょにヒッチハイクをした、もう一人の女性は名乗り出てきません。また2人を拾ったであろう運転手も、名乗り出てきません。

モースは懸命に、仮説を立てます。モースの捜査は変わった手法でなされます。

――ある証拠を切り口に推論を広げ、常人では思い付かないような仮説を立てていくのである。おまけにその仮説は間違っている事が多く、間違えたら再びゼロから推理を組み立てる、というパターンが作中、幾度となく繰り返されるのだ。謎解きミステリの論理性を突き詰めた究極の存在が、モース警部というキャラクターなのである。(早川書房編集部編『海外ミステリハンドブック』ハヤカワ文庫P78)

両警部はシルビアが勤めていた、生命保険会社の同僚から聞き取りをおこないます。ジャーマン夫人に、同僚女性らの面通しを依頼します。しかしバス停で見かけた、もう一人の女性は判明しません。

捜査は少しずつ進展します。シルビアと会う約束だったという、ジョニー・サンダースを突きとめます。大学勤務のバーナード・クローサーから、2人のヒッチハイク女性を乗せたとの手紙が届きます。同僚のジェニファー・コルビーには、ヒッチハイクの片割れ女性だとの嫌疑をふくらませます。

モースは仮説を組み立て、それがことごとく崩れ去る日々を過ごします。そんなときモースは、ジェニファー・コルビーと共同生活をしている、スウ・ウィドウスンの魅力のとりこになります。彼女はモースが足の治療で通う、病院の看護師です。スウには婚約者がいます。しかしモースとスウは、ひと時の逢瀬を楽しみます。

◎伏線がたくさん

新たな事件がおきます。バーナード・クローサー夫人が、遺書を残して自殺するのです。バーナード・クローサーは大学勤務で、2人のヒッチハイク女性を拾った人です。夫人はシルビアを殺害したのは自分である、との遺書を残していました。妻を追いかけるように、夫のバーナードも病死します。彼は私がシルビア殺しの犯人である、とのメッセージを残します。

ここから先は、触れない方がいいと思います。唐突に浮上した2人の犯人。2人とも死んでしまいました。

本書にはたくさんの伏線がはられています。じっくりと読み進めてください。最初のページから、油断なりません。種明かしは最後のページでなされます。

重厚な本格ものとして、自信をもって推薦させていただきます。
(山本藤光:2011.06.22初稿、2015.12.19改稿)





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最終更新日  2017年11月15日 08時37分23秒
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