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カテゴリ:営業マン必読小説:どん底塾の3人
■小説「どん底塾の3人」042:なぜ失敗したのか
午後8時になって、「どん底」は平穏を取り戻した。亀さんの指示で、ビールの栓が抜かれる。 「では、今回の実践研修の総括をしよう。まずは、加納からだ。特製名刺の威力を、報告してくれ」 「実は企業に対しては、こんな名刺を用意しました。予想していなかったのですが、これが効果的でした」 大河内と海老原が、特製名刺をのぞきこむ。2人とも意外だ、という顔をしている。亀さんが2人に投げかける。 「おまえたちが、初対面の企業の窓口だったとして、いきなりこんな名刺を出されたら、どう思う?」 「信用します。それに、研修中と書いてあるので、助けてあげたいとも思うでしょう」 海老原は、加納のアイデアに驚きを隠せない。大河内が続ける。 「これは、いいアイデアだと思います。実際の仕事にも、使えそうです」 「大河内は、『アポ取り』から仕事をスタートさせた。これは本業の仕事の第1歩だよな。ところで、おまえは『アポ取り』が好きか?」 「好きな人は、いませんよ」 「大河内は、本業で1日何件くらいの『アポ取り』をしている?」 「15件から20件くらいです」 「おまえは相撲が好きか?」 「嫌いじゃないですが……」 「では教えよう。嫌な『アポ取り』を、ゲームにしてしまう。毎朝、15人の客のリストを作成し、成功したら白星。失敗したら黒星をつけるんだ。もちろん、目標は勝ち越しとなる」 「野球に見立てても、いいんですね。打率3割を目指す」 「海老原の意見の方が、まともかもしれん。『アポ取り』で5割は、超難関だからな。まあ、3割くらいの方が常識的だろう」 遊び心。大河内の胸のなかを、さわやかな風が吹いた。 「さて海老原だが、今回の失敗は、前回の学習効果を、活用していないからだ。前回は断わられた先に、再度アプローチをかけている。今回やってもらいたかったのは、そのケースとは逆のアプローチだった。何のことかわかるか?」 海老原には、亀さんの言っていることが理解できない。前回の逆のアプローチとは何か。いくら考えてもわからなかった。 ※ダントツ営業の知恵 ゲーム感覚で、仕事を楽しむ工夫をすること。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年03月25日 03時37分31秒
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