とうとう胃カメラ検査当日になってしまった。通勤ラッシュの電車のなかで、やっぱり私は顔面蒼白であった。ほんと、小心者で困ったものだ。態度はデカイが気は小さいのだ。
神奈川の某駅から歩いて約5,6分、その間、私は携帯電話付属のミュージックプレイヤーでひたすらショパンの「バラード第4番」に耳を傾けながら、なんとか心落ち着けようと必死だった。それでも足どりは重い。
心落ち着けるならば、ショパンのバラード4番ではなくて、同じくショパンのノクターン16番あたりがピッタリなはずなのに、何故か無性にバラード4番が聴きたくてたまらない。多分、無理に気持ちを落ち着ける方向に持って行くよりも、バラード4番のクライマックスの激情を今の自分の感情にそのままぶつけてすっきりさせたかったのかもしれない。
ここで今更解説する必要もないだろうが、ショパンのエチュード第4番 ヘ短調 Op.52といえば、穏やかな冒頭から主題が現れ、それが様々な形に変化していき、まるでエチュードOp.25-12のような激情な形が登場、その後ふっと静寂を向かえると、再び大うねりのような激しいコーダで終曲・・・といった感情の起伏に富んだ名曲中の名曲である(と私は信じている)。
一生かかっても私にはこの曲を弾ききるほどの技量は望めないかもしれないが、それでもいつかはやっぱりこの曲にチャレンジしたい、そう考えながら歩いていると、いつの間にか病院に着いていた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
まずは、胃カメラを受けるうえでの説明を軽く聞いたうえで血圧を測り、いよいよベッドへ。
まずは点滴を血管に入れるのだが、実はこの私、病院泣かせの超極細血管持ちである。しかも、グイッと拳をにぎりしめても血管が浮き出てくれないため、看護婦さんは毎度困っているのだ。結局、手の甲にブチッとさされる羽目となるのだが(まぁ毎度のことだ)、これが結構痛い。さぁ、そしていよいよベッドごと移動し、胃カメラの検査場所へ。
(怖いよ、怖いよ、やっぱりやめたいよ)
心の声が脈拍となって現れたか、先生に「だいぶ緊張されてますね。大丈夫ですよ。リラックスして」と言われても、そう簡単にはリラックスできそうにない。そうして、点滴に鎮静剤、そして続いて鎮痛剤が注入されても、まだ意識がはっきりしている。げげっ、私にはこの手の麻酔が効かないのだろうか、と考えているうちに意識が朦朧とし始めた。
しかし、私は完全には眠りにはつかなかった。先生が胃カメラを挿入したのも、なにやら胃に何かが入っているように感じるのも、おぼろげながら覚えているのだ。といっても、痛みも吐き気も全くしない。
えっ、こんなに楽でいいの??
ぼんやりとした意識のなかで自分はとことん驚いていた。
検査が終了し、ベッドが検査室から仮眠場所へと移されるのも、なんとなくウトウトしながら感じていたが、まぁとりあえずここはのんびり寝ておこう。するとほどなく、私より先に胃カメラ検査を終えたご婦人の意識が戻ったのか、「えっ、もう終わったのですか?全然気付きませんでした。」と驚きの声を発している。
結局、麻酔の効きが浅かった私は、どっぷり熟睡することもなく、ぼんやりと考えていた。
いやぁ、あの恐怖の日々は一体なんだったのか・・・と。
確かに今回訪れた病院の院長は、内視鏡検査歴も非常に長く、大のベテランである。つまり、私の不安を2重3重にも解消してくれた場所であったということだ。
また何かあったら、ここに来よう、そうしっかり胸に刻みつけた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
で、かんじんの結果であるが、食堂・十二指腸共に正常、但し、胃に出血の痕と、少々のびらんがあった。
これか、私を苦しめていたのは!!
とりあえず薬で治るが、ストレスというものを本気で考えないと、結局はまた同じ目に遭うぞ、と怒られてしまった。
しかし、ストレスのない生活って一体・・・
結構、プラス思考なつもりなのだけど、割とくよくよ考えすぎなところはある・・・かな?
だいたい、悩まされる事柄が多すぎるのだ。何のしがらみもない世界なんてだいたいこの社会には無いのだろうが。
というわけで、血液や尿検査の結果については、また来週にでも病院に出向くことにはなりそうだ。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
皆様にはご心配おかけしてしまったのだが、無事にこうして胃カメラは終了。大騒ぎした割には、割とあっさり目な幕引きであるが、地獄の苦しみがなかっただけ、良しとしよう。
まぁ、しばらくは胃に優しい食事でもしていこうと考えている。って、胃に優しい食事って、なんだなんだ?
お粥くらいしか思いつかない自分が情けない。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
おっと、「胃カメラお疲れ様!」といわんばかりに、ちょうどタワーレコードから、タイミング良くペライアの「ショパンエチュード集」、そしてシフラの「Les Rendez-vous de Senlis」(たけみちゃんお薦め盤)のCDが届いた。さぁ、これは明日にでもゆっくり聴くことにしよう。
今日は身も心もすっかり疲れてしまったのでこのへんで・・・
----------------------------------------------------
【本日のピアノ練習メモ】
●ブラームス51練習曲 #07~#10,#16abc
#07(3度を4-1,5-1指で)#08(アルペジオ)#09(指広げ)#10(5指押さえ指均一)
#16a(4指押さえ指均一),#16b(3指押さえ指均一),#16c(2指押さえ指均一)
●全24調4オクターブスケール
●クラーマー=ビューロー60練習曲 #27
#27:両手レガート練習。本日もテンポ86のメトロノーム練習
●バッハ フランス組曲第1番 メヌエットI,II,ジーグ
メヌエットI:弾きこみ段階。
メヌエットII:弾きこみ段階。
ジーグ:どうも拍感がいまひとつ定まっていない。付点の扱いが曖昧になりがち。
●ショパン 24の前奏曲 Op.28 #16 #17
#16:だんだんこの曲をこのまま練習に組み込んでいて良いのか、自信がなくなってきた今日このごろ。
#17:弾きこみ段階。もうちょっと歌わせたいところだが・・・
----------------------------------------------------
本日のおさらい
●クラーマー=ビューロー60練習曲 #10(両手),#8,#22(左手),#16(3-4-5指強化),#19(右分散音型),#20(左分散音型)
●バッハ フランス組曲第1番 アルマンド,クーラント,サラバンド
●ショパン 24の前奏曲 Op.28-1,5
----------------------------------------------------
本日の語呂合わせ練習(水曜日編)
●シューマン アラベスク Op.18