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カテゴリ: 視聴レポート
朝起きたら、雨だった。さすがに今日はドッグランには行けそうにないな、というわけで、オットとあかりは寝三昧。私はといえば、目が覚めてしまったので、久々にピアノの蓋をあけた。
最近、なかなかゆっくり弾く時間をつくれず、折角の音楽室もすっかり宝の持ち腐れに。いや、あかりがどうも音楽室(の床のカーペット?)がお気に入りのようで、安心して大騒ぎできる場所になってしまった。 そんな状態で以前練習していた曲たちがすぐに弾けるはずもなく、結局まずは全音のソナタアルバムをタラタラと弾き流すことから始めてみた。いやはや、当たり前のように弾けていたフレーズが、モタモタするほど腹立たしいことはないが、弾いていなかったのだもの、当然である。 そんなこんなで1時間半、久々にダラダラと弾いて弾いて弾いて。 あっ、もう昼だ!と2階の居間にあがってみたら、オットもあかりも起きていた。 慌てて食事の準備をして、食べるだけ食べると再び音楽室へフラフラと。なんだか食べられる時に食べておこうという野生動物なごとく、弾けるうちに弾いておこう的なノリではないか(本来、ピアノはこんな姿勢ではダメなのは分かっている)。 午後もずっとずっと弾き続け、3時間ほどが経過したところで、2階に上がってみると、あらまぁオットとあかりは爆睡中であった。そういえばこんなにゆっくりとした休日を過ごしたのは久しぶりではないだろうか。こんな時だからこそ、「そういえば、以前DVDを買ったまま、観ていなかったっけ」と棚の奥をゴソゴソ。 そう、観ていなかったDVDというのは、映画「ピアノの森」である。2007年に上映された時に映画館で観ることが出来なかったため、DVDが発売されたと同時に買ったものの、ずっとずっと観る機会を逸してきた。 今こそ観よう、ピアノの森。 ピアノの森 プレミアム・エディション(特典ディスク付2枚組) 「ピアノの森」は一色まこと原作の音楽漫画、子供の頃から将来はピアニストになるべく努力を重ねてきた雨宮修平と、幼い頃から自由奔放に森のピアノに親しんでいた一ノ瀬海の出逢いから話は展開する。映画では、彼らの出逢いからピアノコンクールへの出場、そして別れまでが描かれている。 原作をずっと読んできた私の感想としては、「なんともまぁ小綺麗にまとめた作品だ」という印象が強い。というのも、もともとこの原作は青年誌に連載されていることもあってか、海少年が住む環境について表現しづらい面もあったのだが、それが見事なまでにそぎ落とされている。そして、雨宮修平については原作における闘争心的(ライバル心)な表現が和らぎ、好少年が前面に出ているせいか、雨宮と海のやりとりが実に爽やかに感じられたりも。 それだけに、原作と比較してしまえばインパクト面は弱いのだが、心地よく観ることはできた。そして、これまた耳に温かく鳴り響くピアノの音色が、各場面をうまくもり立てている。 オリジナルテーマ曲の存在、これは実際に曲を聴くまでは「折角のクラシックな音楽映画にわざわざオリジナルテーマを設けなくてもよいのでは?」と思っていたものの、いざ聴いてみたら予想をはるかに超えてしみじみと心に染み入るものであった。しかも、他のクラシック楽曲たちのなかでも浮いた存在でない、というのが大きなポイントだったりもする。 それだけにエンディングに流れた松下奈緒さんの歌に「なぜ、ここでこれが?」。逆にインストゥルメンタルにしたほうが余韻も含めて良かったのではないかと、残念でならない。(私、松下奈緒さんが好きなだけに更に残念) 映画をもりたてている最も大きな存在といえば、なんと世界的ピアニストであり指揮者でもあるアシュケナージ氏がミュージックアドヴァイザーであること、更に作品内でもピアノの演奏を手がけている。また、毎年受講しているショパンピアノ講座の講師である下田幸二先生の教え子さんたちもこの映画のピアノ演奏を担当しているという。 ついついピアノの音色に耳を傾けたくなってしまうのは、これまた仕方がないのか。そして、のだめカンタービレ以来、「ピアノ、もっと弾かなくちゃ」という気分にさせられたのは久々なこと。 DVDを観た後、再び1時間ほどピアノに向かったところで、「あっ、夕食つくらなちゃ」 私がピアノと格闘している中、オットとあかりは雨上がりの夕暮れ散歩を楽しんできたらしい。音楽室の扉を開けて「外が夕焼け空だよ」と声をかけられ、屋上にあがってみれば空がほんのりと紅色に染まっていた。 そんな空の下で風に吹かれていると、沸騰しかけていた私の頭がスーッと冷えていくのがわかる。
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