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ガムザッティの感動おすそわけブログ

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gamzatti@ Re[1]:「ムー」「ムー一族」(05/28) ひよこさんへ 訂正ありがとうございました…
ひよこ@ Re:「ムー」「ムー一族」(05/28) ジュリーのポスターに向かってジュリーっ…

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gamzatti

gamzatti

2010.03.01
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2/27、
私はとても晴れ晴れした気持ちで会場を後にした。
来てよかった。

まずはグルナーラの荒井祐子。
やはり荒井さんのグルナーラはひと味もふた味も違う!
パシャとのやりとりでは、
パシャの手から逃れて「助けて!」と叫ぶも、誰も救ってくれない。
それを何度も繰り返して絶望する過程がせつなかった。

遅沢コンラッドも、すらりとした長身が栄えて、カッコよかった。
若くても頭領としての風格が出ている。

その遅沢コンラッドに仕える橋本アリ。
この二人の関係が、とてもしっくりとなじんでいた。
初演のときの橋本は、まだ余裕がなくて形だけ追っていた部分があったけれど、
いまやコンラッドへの心酔が手に取るようにわかる。
だから、
グラン・パ・ド・トロワの意味を、私は改めて味わうことができた。

コンラッドの思い人であるメドーラを迎える喜び。
迎えたメドーラを、コンラッドのほうへと送る喜び。
アリは恋する二人を傍らで心から祝福している。
それが伝わった。
東野メドーラもまた二人の間を行き来しながら、
アリに支えられるときとコンラッドに抱き寄せられるときと、
まったく異なる表情を示すのだ。
アリに対しては、主人たる慈愛をもって向かい、凛として。
コンラッドをみつめる瞳は恋心にうるんで。
3人のバランスが抜群で、見ていて心が温かくなった。

橋本は、アリのソロを、ものすごく丁寧に踊っていた。
爆発的な迫力はなかったかもしれないが、完成度が高く、
アリの律儀さや忠誠といったものも感じられてよかった。

橋本アリは、一幕より二幕がよい。
ラストシーンも迫真の演技だ。
「ロミオとジュリエット」のマキューシオに続き、
彼は倒れて死ぬところが本当にうまい。
思わず、コンラッドとともに涙してしまった。

そして、ランケデムの浅田良和である。
伊坂が憎たらしいランケデムをこれでもかというほどに演じていたのに比べると、
浅田はまだシャイというか、はじけ方で伊坂ランケデムの勝ち。
しかし、
ジャンプの滞空時間は長く、キレ味もあって、
バレエそのものには魅力を感じた。
これからどんどん重要な役を踊るだろうから、
そこで演技や表現力も磨いていってほしい。

この日のメインクルーたちは、みなよくやった。
荒井を除けば若手ばかりで、
まだ荒削りだったり小粒だったりするかもしれない。
でも、その伸びやかさ、ひたむきさは伝わり、気持ちのよい舞台だった。
拍手もよく沸き起こった。

25日は、本当にいろいろな意味で不安を抱えて
大げさでなく本当に疲弊しきって帰宅したのけれど、
これでまた、元気になった。

今回は3階の中央席ということもあって、
初めて遠くから舞台を見たのだが、
一枚の名画を見るがごとき、崇高な舞台装置のトーンに
改めてヨランダの手腕を感じた。
音楽も、今日のほうがよかったかな?
指揮は両日とも福田一雄氏。
いつもホルンの出来に戦々恐々だが、今回は両日とも気にならなかった。

私は初日しか熊川の舞台は見ないので、
その後の彼のパフォーマンスは知らない。
でも、
きっと立て直してくるだろうと信ずる。
物語に、音楽にのめりこんで、
もっとアリらしく踊ってくれることだろう。

ただ、
ジャンプに関しては、その後高橋大輔の映像を見て、
自分はものすごい高望みをしていたのでは?と反省した。

高橋の今回のバンクーバーオリンピックでの四回転(転倒)と、
前十字靭帯を切る前の、完璧な四回転の映像とを横に並べて見比べると、
明らかに高さが違う。
彼も「前跳べたのだから、そこまで戻せる」と思っているが、
そしてきっと跳べるようにはなるだろうが、
その跳び方は、決して「前と同じ」ではないのではないか。

かつては自分の体に無理をさせれば怪我をする、なんて知らなかったからこそ
思いっきり何も考えずに、ものすごい力で氷を蹴ることができたのだ。
いわば「無知」と「無知の知」の差であって、
今の高橋は、もちろん四回転を成功させることもあるが、
もっと柔軟に、体に負担のない跳び方を選択している。

橋本もそうである。
ジャンプが柔らかくなった。悪い意味ではない。
しかし、自分の限界を超えてやろうとする大ジャンプではない。
大きく跳ぶにしても、緻密に計算した、思惑どおりの跳躍である。

その点が、
演技も何のその、ジャンプ一直線の浅田との違いだ。
常に「もっと上を」を目指している。
自分の通常の限界を超えるということは、
観客の想定の高さをも大きく上回ることになるので、
観客はときに「あっ」と声をだすほど驚嘆するのである。
この浅田のようながむしゃらさは、
若さもあろうが、怪我のあとさきの違いのように思えた。

若い高橋や橋本でさえ、ジャンプの質に変化があるとするなら、
38歳の熊川に、変化がないはずがない。
復帰直後の「第九」さらには「白鳥の湖」があまりによかったので、
私は「元通り」を当然のように期待してしまった。
なぜなら、
彼はこれまで、私たちの予想をはるかに超えて、
その都度200%の成功を収め続けてきてくれたから。

その熊川が、
また一つ、大きなハードルを迎えようとしているのかもしれない。
どう乗り越えていくか。
私は最後まで見守るつもり。
そして、
また200%成功しちゃって、
私は心から「まいりました」と叫び、
カーテンコールでは幕が開いたと同時に立ち上がって、
いつまでも、いつまでも拍手を続ける!

彼にとっての200%の形は、いろいろあると思っている。
今までもそうだったし。
私は熊川からの「ノックアウト」を、
いつもいつも待ち続けている。





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Last updated  2012.06.18 22:05:07
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