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GANのひとりごと。

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November 2, 2006
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カテゴリ:ハロプロ
彼女との思い出を整理するためにもこちらにも上げておきます…。


「大きな愛でもてなして」



「ただいま~!!」

「パパ~!!」

娘の梨沙子が、飼い主を待っていた犬のように勢い良く抱き付いてきた。

「おう、り~!元気してたか?」

「うん!!」

愛くるしい笑顔で大きく頷くと…

「ママ~!!パパ帰ってきた…」

言い終わる前に妻のなつみもやってきた。

「ガンちゃん、おかえり!」

「ただいま」

「ごめんね、疲れてるのに…。」

「別にいいよ、り~となちみの顔見たらそんなのどっか行っちゃったよ(笑)」

梨沙子の頭を撫でながら答える。
顔をくしゃくしゃにして嬉しがる我が娘。(小学3年生)

「さ、上がって。り~もホラっ!」



現在私は仙台に単身赴任中で、東京で暮らす妻と娘とは離れ離れの生活を送っている。
今日は土曜日だというのに商談のため、休日出勤…。
妻から「土曜日は帰ってきてね!」と強く言われていたので、
仕事を片付けて新幹線に飛び乗ったのだった…。

前夜は前夜で愛と激しい夜を過ごしたばかり…、疲れてない訳がないのだ。



「なぁ、めぐ?今日はいつにも増して積極的だなぁ(笑)なんかあったのか?」

「別に。そんな気分なだけよ。」

「…なら、いいんだけど…。」

たぶん、バカ上司にまたネチネチやられたんだろう。
それにしてもこのままでは身体が持たん…。

「ねぇ、ガンちゃん?今度さぁ、温泉旅行行かない?」

「それもいいなぁ…。考えとくわ。」

「約束よ、や・く・そ・く!(はぁと」

「はいはい(苦笑)」

「好き…。(チュッ」



そんな感じで遅くまでデートして、朝から仕事。
正直、披露困憊だったのだ。

いや、愛人作っといて言うのもなんだが、家族は心の底から愛している。
梨沙子の顔を見るだけでとても満たされた気分になる。なのに…。



「パパお誕生日おめでと~う!!」

リビングにはケーキとたくさんの愛妻料理。

「あ、ありg…」

不覚にも涙してしまった…。仕事に(愛に)忙殺されて正直自分の誕生日など忘れていた。

「パパどうしたの?」

娘が寄ってきて問いかける。妻も「ガンちゃん?」と。

あぁ、私はなんて罪深き人間なのだろう!こんなにも愛すべき家族が居るといるのに…。

「最近歳のせいか涙もろくなっちゃって…。」

「今日のパパ変ね?」

と梨沙子と二人して笑う妻。

「ねぇ、パパの好きないちごケーキだよ!」

梨沙子が言う。

「覚えててくれたのか?」

「そうだよ!えっへん!」

会話を笑顔で聴きながら妻はロウソクに火を点けている。

「さ、電気消して!」

♪ハッピバースデ~パ~パ~!


仙台に戻ったら愛にありのままを打ち明けよう…。やっぱり家族がいちばん大切だと。

そして、思いっきりロウソクの火を吹き消した…。



「家族団らん」


ロウソクの火を吹き消すと梨沙子が横に来て言った。

「はい!パパ、お誕生日のプレゼント!」

後ろに隠し持っていた物を手渡す娘。きれいにラッピングしてあるが明らかに軽い。

「ん?何だろなぁ?開けていいの?」

「うん!早く早くぅ!」

「どれどれ」

開けると出てきたのは黄色のネクタイ。

「り~が選んだんだよ!」

梨沙子が誇らしげに言う。

「サンキュー!り~!でも似合うかな?」

ネクタイをあてて二人の反応をうかがう…。

「ばっちり!」

二人が言う。黄色なんて絶対に自分では買わない色だ。

「パパいっつも似たようなネクタイばっかしてるしね!たまには違う色もいいでしょ?」

妻が突っ込む。

「そうだな、それもいいかもな…。ありがとな、り~!」

笑顔でうなづく娘を私は思いっきり抱きしめた。

「パパ苦しいよ…。」

「あ、ごめんごめん。」

「もう!」という仕草をする梨沙子。だが顔は笑っている…。

「あれっ、なちみからは無いの?」

いちおう聞いてみた。

「もちろん!」

妻が手招きをする。

「チュッ!」

いきなり頬にキスをしてきた!

「なちみぃ!」

困り顔でそう言う私に妻はおどけた顔で答える。
「あ・と・で」と目が言っていた…。

「パパ顔真っ赤だよ!」

はにかみ顔の梨沙子。

「り~はしてくれないの?」

ふざけて私は言った…。

「ぶちゅぅ~っ!」

梨沙子は「特別だよ」と私にキスをした…。



「さ、料理冷めちゃうから食べて!」

と妻が促す。

「は~い!(二人)」

妻が私にビールを注いでると…。

「り~もパパにしてあげる!」

なんと気の利く娘だろう…。

「おっとっとっと…!」

娘についでもらったビールはまた格別の味だ!どんな薬より効く気がする…。

「ねぇ、パパ?ビールって美味しいの?」

「すんげぇ美味いんだぞ!」

「り~も飲みたい!」

「お、り~も飲みたいか?」

「ガンちゃん、ダメよ!」

と言う妻。

「まぁまぁ…、今日くらい良いじゃないか。」

と娘にグラスを渡す私。

「苦~い!」

不味そうな顔で娘が言う。

「大丈夫!あと何年かしたらり~も飲めるようになるよ!パパは中学生の時から飲んでたからな…」

「ホント?」

「あぁ。だってパパの子だからな!」



実は私たち夫婦には他人には言えない秘密がある。
梨沙子は私たちの本当の娘ではない。施設から引き取った子なのだ。

私が先天性の無精子症であるために子供を授かれないのである。
もちろん娘はそんな事は知る由も無い。まだ赤ん坊の頃の話だから…。



久しぶりの家族団らんはとても楽しい時間だった…。
妻の手料理は最高に美味いし、何より美味しそうに食べる娘の顔を見てるだけで幸せだ。
口の周りを生クリームだらけにする梨沙子の顔なんて最高だ。

「そろそろお風呂行ってちょうだい!」

妻が「もう、こんな時間よ!」とでも言いたげに促す。

「久しぶりにり~も一緒に入るか?」

「うん!!いっぱいゴシゴシやるぅ~!」


風呂の中で娘とたくさんの会話をした…。学校での事、なつみとの二人での生活など…。


いつまで梨沙子は一緒に風呂に入ってくれるんだろうか?
そう考えると妹の結婚式で泣いていた父の気持ちが分かったような気がした…。



あっという間に寝る時間がやってきた。

「今日はパパと一緒に寝るぅ!」

「じゃ、ママはどうすんだい?」

と娘に聞くと…

「う~ん?パパとママと一緒に寝る!」

「だってよ、なちみ?」

「り~?パパのいびきうるさいわよ!それでもいいの?」

「パパと寝るったら寝るんだもん!」

「じゃ、お布団引くから歯磨きしてらっしゃい!」

「はぁ~い!」

妻が「今日はお預けね…。」と耳打ちする。

「しょうがないよ…。」

と答える私に、抱き付いてきてキスをする妻…。

「私だって寂しかったんだから…。」

「ごめんな、なちみ…。」



3人で1枚の布団に川の字で寝る。真ん中に梨沙子。
ちょっと窮屈だけど、たまにはこれもいいもんだ。
家族のぬくもりを直に感じられる…。
幸せな気分に浸りながら眠りについた…。





「さよなら…、めぐ。」


昼休み、「今日会える?」とめぐにメールした。

速攻で「OK!」と返事。

「じゃ19:00に駅で。」

と返し、強引に仕事を切り上げめぐのもとへ向かった…。

ちょっと遅れて駅にたどり着くと小柄な女性がケータイ片手に寒そうに立っているのが見えた…。

「めぐだ!」

小走りで彼女のもとへ向かう。

「ごめん、待った?」

「ううん、さっき来たとこ。」

「仕事が終わんなくてさ…。」

「ホントに?(笑)」

なんて会話もそこそこに、いつものパスタ屋に晩飯へ。

私はいつものようにビールとなすとベーコン(塩味)を注文した。
めぐはカルボナーラと白ワイン。

「ねぇ、今日もね…」

いつものように愚痴のオンパレード。普段と変わらないデートだ、ここまでは…。



今日は水曜日。仙台に帰って来たはいいが、仕事に終われデートどころではなかった…。決心が揺らぐ前に言ってしまわないとズルズル行ってしまうそんな気がしたので…。


「ガンちゃん、この後は?」

「ちょっと飲みに行かないか?」

「いいけど…。」


パスタ屋を後にし、国分町の馴染みのバーへ向かう。
風が冷たい…。「寒いね…。」とつぶやき、めぐは私に寄り添ってきた。
仙台は秋を通り越し、もう冬と言ってもいいくらい朝晩は冷え込むようになった…。

「ガンちゃん…、寒いよ…ホテルにしない?」

ちょっと酔っているのか直球だ。

「…後でな。」

「…うん。」


店に着くと私たちは奥のテーブル席に座った。水曜日という事もあり、店はがらがらだ。
「勝手に頼んでいい?」

「何たくらんでるの?(笑)」

そんなやり取りの後、私はウイスキーのロックとカルーアを注文した。

「言わなくては…。」グイっと酒をひっかけ私は切り出した。

「なぁ、めぐ?大事な話があるんだ…。」

「なに?」

「…もうオレたち終わりにしよう…。」

「えっ?」

突然のことに驚くめぐ。

「…オレ、やっぱり家族が1番大事なんだ。自分勝手なのは百も承知してる。
ただ、家族を捨ててまでめぐと一緒にって訳にはいかないんだ…。」

大粒の涙を流すめぐ…。かける言葉が見つからない…。
女を振るなんて人生で初めての経験だ、もっぱら振られる専門だったから…。

「…ひどいよ…。」

激しく嗚咽しながら一言搾り出すようにめぐは言った…。


ひとしきり泣いた後、めぐが言った。

「わかってる…、こんな日が来るってことも予想してた…。けど、ガンちゃんが好きなんだもん…。」

「…ごめん。」

「私じゃダメなんだよね?こんなに好きなのに…。」

「…ごめん。」

結局、気の利いた言葉も出ないまま店を出た。

「ねぇ?最期に抱いてって言っても無理だよね?」

「悪いけど…。」

会話も無く歩く二人。


「お願い、最後のわがまま聞いて!…キスして…。」

私はめぐを抱きしめ耳元で言った。

「もう行くよ、今までありがとう…。」

めぐは「行かないで!」と哀願したが、私は後ろを振り返ることなく別れた。
涙でメガネを濡らしながら…。





一年後…。

めぐと別れた後、メグミルク社には断りの連絡を入れた。
そして、東京へ戻れるよう根回しした結果、予定よりも早く戻れることになった。
今は家族3人楽しく過ごしている。何事もなかったように…。


めぐいや、村上が結婚すると風の噂で知った。彼女が幸せであればそれでいい…。
きっと彼女との日々は、暗い学生時代を送った私への神様からの贈り物だったのだろう。そう、一足遅い青春ってことにしておこう…。

今日は休日。3人でとある公園に来ている。
私が小学生時代よく遊んだ思い出の場所だ…。梨沙子はなつみと楽しそうに駆け回っている。

「パパ~、こっちこっち~!」

「今行くから待ってろ~!」


梨沙子を追いかけながら、私は幸せを噛み締めていた…。



「さよなら、」






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Last updated  November 5, 2006 05:32:51 PM
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