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カテゴリ:眼差し
ネットニュースで「新・世界七不思議」という見出しを見たとき、 なんのことかしら---と思いましたが、 ユネスコで選ばれる「世界遺産」とは別の遺跡や名所の選出らしく、 世界各地の遺跡や名所の中で、 特に≪ユニークな建造物≫を後世に伝えることを目的として、 スイスの財団「新・世界七不思議財団」がインターネットなどを通じ世界中に投票を募ったものとか。今般、約1億票もの投票があり、今回その中から選ばれたそうです。 ≪ユニークな建造物≫というところが、≪世界遺産≫とは違うようですが----、 ≪ユニーク≫といっても、その定義が何なのか曖昧かなと。 目的は≪後世に伝える≫ですから、 遺跡として保存するということでもないらしい。 ただ、こういう建造物があったと伝えるなら、 写真やヴィデオでもいいのかも。 スイスの財団が何を目的にこうしたことを始められたのかは不明なれど、 国連の予算などから補助金が拠出されるユネスコの「世界遺産」のように、 いまや各国が選出に当たってしのぎを削るようになった遺跡の選出と違って、 国境を越えた民間人による自由な投票で決めるといったところに 何がしかの意義を求めた活動なのかもしれません。 で、インターネットで選ばれた≪ユニークな建造物≫が、 ほとんど「世界遺産」と重なっているのは、イマイチ面白みにかけるなあと。 冒頭の万里の長城もタージマハルやコロッセウムもポピュラーな歴史的文化的名所ゆえ、 ≪新≫と銘打つ意味は薄く、≪ユニーク≫というイメージではなかっただけに、 どこがどうユニークなのか調べてみようかなと。 ●まずは、ヨルダンのペトラの遺跡。 ぺトラは知っていても、そこがナバテア人の王都だということまでは案外知られていないかなと。わたくしも恥ずかしながら「ああ、そうだったかな」といった程度です。 ペトラは、ヨルダン随一の観光地。日本で言えば奈良や京都。インディジョーンズのシリーズ映画『最後の聖戦』でラストのクライマックスは、確かこのぺトラだったと思いますが、険しい山々に守られた奥地に建立された都の不思議。 あの切り立った岩の奥地にどうやってあれほどの都市を建立したのかと最初は驚かされますけれど、2000年以上も昔の都ながら、灌漑施設もあったというのですから、かなり文化レベルは高かった。砂漠地帯にも関わらず、水に不自由はしていなかったことは、≪ユニーク≫といえば、ユニークな史跡だけど、それは灌漑や貯水の施設を完備していたからこそで、古代の技術の高さにこそ驚かされます。日本で灌漑施設が整備されるようになったのは、いつ頃だったかを思えば、恐れ入りましたと言うしかないわたくし。 ●つぎは、インドのタージマハル これも「世界遺産」にすでに選ばれている歴史的文化的遺跡たる建造物。 ムガール帝国の皇帝が亡くなった愛妃のために作った巨大なお墓。 かなり有名な建築物ですが、作らせた権力者の名前は分かっていても、では実際に誰が作ったのかが分からないところが≪ユニーク≫といえばユニークかもしれません。そういったら、他にもかなりユニークなのはありそうですけれど。 それに、この建造物の美しさを≪ユニーク≫と言っていいのかどうか--- その愛の形は≪ユニーク≫かもしれないけれど、 権力のある者が美姫や愛妃のために壮大な宮殿や墳墓を建造するというのは、 決して≪ユニーク≫なことではないですよね。 個人的には、アルハンブラ宮殿の方が好き。(笑) 他に5つあるのですけれど、 かように、この「新・世界七不思議」の建造物の選出は、 どこが≪ユニーク≫なのかを考えさせるところが、≪ユニーク≫かなと。 ペルー・マチュピチュの遺跡。 思わず、映画『アポカリプト』を思い出してしまいました。 冒頭の「万里の長城」を始め、ペルーの遺跡やローマのコロッセウム、リオのあの山の上のキリスト像など、見慣れてしまっているせいか、≪新≫と言われても、呻ってしまいます。 あと一つは、失念。(汗) いずれにしても、どこが≪新≫か不明。 投票者はよほど勉強して「新しさ」を発見されたのかなあ----と思いましたが、 こういうサイトをご覧になられると、こっちの方がずっと七不思議かなと。 目的不明のこうしたネットでの投票イヴェント、 こんなイヴェントでお金を使う財団の意図の方が不思議。 インターネット社会ならではの罪のない遊びならいいけれど、 サミットで過激な抗議を展開する世界中から集まる市民活動家たちや市民団体とは 無縁のものであってほしいなあと。 こうした文化遺産の多くは、政治によって生まれ政治によって滅んだものであることを思うとき、そうしたものとは無縁であってもらいたいと思うわたくし。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jul 12, 2007 03:41:25 AM
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