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 月光院璋子の日記  beside you

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Sep 18, 2007
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カテゴリ:映画&DVD
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早朝にいきなり映画の話で恐縮なれど、
昨夜、何となく手が伸びないままになっていた映画『犬神家の一族』を観た。
市川崑監督の、無論、2006年版、つまり昨年上映の方。
監督も主演も同じということで一部では評判となった映画なれど、
何と同じかというと、いま40代以上の方たちはご存知だろうと思うけれど、
金田一探偵を石坂浩二が主演した30年前の角川映画で撮った『犬神家の一族』と同じということで、同じ原作の映画を同じ俳優たちで30年後に再び撮るという監督の意図は何なのか、
意図というよりは、≪思い≫といってもいいかもしれないけれど、その≪思い≫が気になって観たようなものかもしれません。

主演ばかりか他の多くの役で、
30年前の映画に出ていた俳優や女優たちが出演しているのを観て
途中で眩暈がしそうになったわたくし-----
警察署長は、加藤武さんだし、神社の神官が、今回も大滝秀治。
もう、クラクラしちゃいました。


出演の石坂浩二は、すでに還暦を迎えられたはずながら、
いつまでも老け込まない俳優というか、老け込まない殿方のタイプゆえ、
TVドラマでの水戸黄門は完全なミスキャストだと思った記憶があったけれども、
金田一耕介役は前作よりもずっと味が出て、今回の方が違和感がなかったですね。

けれど、ヒロイン球世(たまよ)役の松嶋菜々子は、一途な思いを胸に秘めた清楚なヒロインというイメージと、印象としては齟齬はないけれど---、ちょっとトウが立ちすぎているのではないかと思われたわたくし。
戦争に行った恋人を心の中で待ち続けながら、帰還したその輔清(すけきよ)を本物かどうかと疑い誰にも言わずに真実に迫ろうとする知的なところのある反面、頼りないお人形のような旧家の娘珠世を演じるには、三十路を過ぎている松島菜々子ではちょっと無理がある。
同じ珠世を、前作では、やはり同じ清純派イメージだった島田陽子が演じていましたけれど。

違和感というのは、そんなヒロインの相手役の恋人輔清(すけきよ--この漢字でいいのかしら)が、前作ではあおい輝彦だったのを、今回、尾上菊之助が演じているせいでしょう。
これでは、松島奈々子と恋人というよりは、姉と弟といったイメージで、違和感が拭えなかったわたくし。

けれど、いまだ幼顔が残る青年といった感じの尾上菊之助と母親役の藤純子、実の親子共演となっているところは、今度の映画の見ものの一つで、原作のテーマにその組み合わせの方がよりマッチしていると監督は考えられたのかもしれません。
前作で同じ輔清の母親役だった高峰三枝子の演技を思い出してしまいましたけれど、
高峰美枝子に劣らぬ迫真の演技だったなァと。

そこで、
前作と今作のそれぞれ三人の母親役を演じた女優たちを、
ちょっと思い出して比べてみることに。

莫大な、それこそ天文学的数字の財産を全部相続する者として指名されたヒロインは、財産を相続する条件として三人の婿候補の中から選ぶことを条件付けられるわけですが、その三人の婿よりもそれぞれの母親たちの性格描写の方がずっとはっきりしているのが、実はこの作品の面白さなわけで、ゆえに清楚な美人女優という評判の人気女優が演じるヒロインよりも、
じつは、三人の母親役を演じる熟年美人女優さんたちに目が行ってしまうわたくし。

長女(松子)高峰美枝子---- 生きていらしたら、今作に出演されたか疑問。
次女(竹子)三条美紀----今作では、藤純子の実母役として登場。
            老醜を晒してみせる女優魂の凄さはさすがでした!
三女(梅子)草笛光子----今作では、琴のお師匠さんとして出演していらっしゃる!

こうした女優さんの名前を見ても、
いまの20,30代の方たちにとっては、あるいは40代の方たちにとっても、
「それ、誰?」というくらい往年の女優さんかもしれません。
年齢的にいって、皆さんの祖母か曾祖母にあたる女優さんたち。

そんな彼女たちが演じる三人の母親たち、同時に遺言を残した男の娘たちでもある女性たち、彼女たちは、皆、父親が同じなれど、その父親の正妻の娘ではなく妾腹の子で、いまでいう婚外子。しかも惨めな生き方をした母親を見て育ち、(皆、父親である男性に愛されていなかった女性たちという設定ゆえ)父親の愛を知らない育ち方をした異母姉妹という複雑さ。

そうした複雑な生い立ちで財産はたっぷりある旧家の娘として育った女性たちが大人になり、
特に可もなく不可もなく愛もなくという相手と結婚して家庭を持ち、
それぞれがすでに年頃の息子を持つ母親となっており、しかもそれぞれ息子を溺愛している母親になっている。そこに、連続殺人事件が起こるのですから、さあ、大変---
この『犬神家の一族』という映画は、
そういう楽しみ方もできるわけで---

今回の『犬神家の一族』で、
そんな熟年となった犬神家の娘たちを演じているのが、

次女を、松坂慶子
三女を、萬田久子

20代、30代の方たちにとっては、母親の世代の女優さんたちゆえ、
イマイチ、ピンとこないかもしれませんけれど、
美人女優として華のあった女優さんと人気のあった女優さんです。

松坂慶子さん、お太りになられたなあというか、貫禄がお付きになったなあと。
あの、映画『蒲田行進曲』や『火宅の人』『椿姫』の松坂慶子を知っている一人としては、
思わず唸らされてしまいます。
ジャズメンのご主人との結婚されてから何年になるでしょう。
結婚生活での幸せ太りを経て、主婦そして母親業で、否が応でも貫禄が付いたということなのでしょうか。いつでしたか、TVドラマの『人間の証明』で彼女を見たとき、なかなか凄みのアルいい味を出しておられましたけれど。
萬田久子さんは、今回はミスキャストだったような気がいたしました。
彼女も母親役が板に付いたがゆえの、そういう役柄を求められる一人になったということなのでしょうか。ダイエットゆえに若い頃と変わらない体型だそうですが、それはそれで違和感があったわたくし----

市川崑監督には申し訳ないのだけれど、
今回のリメイクでおやりになりたかったことの一つに日本の風景の中から失われた美を、自然の美、因果応報の宿業の中で壊れ行く美、日本家屋の美、日本の若い女性の清楚な美、母親の愚かな子供への盲愛の中にさえ破局に至って初めて昇華する美など、もし映像で復元したいという思いを抱かれたとするなら、キャスティングで損なわれた面が随分あったような感じがします。キャスティング、前作で三国連太郎(の写真)が演じた役を、財産を残し遺言を残した佐平役ですけれど、それを仲代達也(の写真)が演じていたのもイマイチでした。


それにしても、
日本ではどうして、女優に、彼女の≪旬≫な時代にしか、
女性としての生と性、愛、あるいは恋を演じさせないのかしら。
40代になるや母親の役しか回ってこないといってもいい状況が、いまなお続いているのではないかしら。クラブの年配のママの役とか、酒場の年老いた女の役だとか、先生の役だとか、出演者の奥さんの役とか、会社の上司の役とかを除けば、ほとんどは母親役。
青春映画や恋愛映画でヒロイン役で世の殿方のみか女性たちをも魅了したような女優に対しても、それは代わらない。それって、ちょっと残念---

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(藤純子さんは、彼女のお母様でもあるゆえ、母親役が多いのもうなづけますけれど---)


確かに、昔、角川映画の『犬神家の一族』を見たとき、わたくしも母親役の三人の女優さんたちに思いを馳せるということは難しかったものです。どうしても自分と年代が近い女優に目が行ってしまうのは、若さゆえに仕方がなかったかなと。
それでも、角川映画の『犬神』を再見したときには、母親や祖母の年代の高峰美枝子さんら女優陣に目が行くようになったのは、三十代になったときでした。

女性の一生を考えるよすがとして、
彼女たちが当時50代だったのか60代だったのか定かではないけれど、
そうした年代の女優さんたちの美というものに目が向き始めたのは、女性の≪花の命≫について考え始めていたからだろうと思います。

いくつになっても、女性もまた、
知らない方から見れば、ただの≪おばさん≫であっても、
40代で母であり妻であり主婦あるいは仕事を持つ女性であったとしても、
50代で母であり妻であり主婦あるいは仕事を持つ女性であったとしても、
60代で母でもあり祖母となり妻であり主婦あるいは仕事を持つ女性であったとしても、
70代であろうと、80代であろうと、90代であろうと、
それぞれの年代に応じた花の命の咲かせ方というのがあり、
実際に多くの女性たちが、いくつになっても咲かせている花があって、
それは、20代、30代の女性たちと変わらないのです。
咲かせ方が違うだけであって、≪花の命≫は同じ---
無論、華のある花もあれば、地味で目立たない花もあろうけれど。

だから、わたくしは観たいなあと。
40代の女優が、50代の女優が、60代の女優がヒロインとなって、
恋に身を焼く姿や恋に泣く姿や愛に準じる姿をスクリーンで観せてくれないかしら。
日本の映画で、ソフィア・ローレンが演じた『ひまわり』のような映画を、
60代になった女優さんが演じて見せてくれないかなあと。
そんな映画が作られる日を心待ちにしているわたくし。

そんな映画をぜひ観たいという方も、そんな映画は観たくないという方も、
こちら(↓)をクリックしてくださると嬉しいです。
有難うございます。

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★2006年版の『犬神家の一族』のご紹介


★1976年版の『犬神家の一族』のご紹介







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Last updated  Sep 18, 2007 09:16:58 AM
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