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カテゴリ:TVドラマ
フジテレビ系の金曜プレステージで10日に放映された、浅見光彦シリーズ第47弾となる「平城山を越えた女」。かって奈良新薬師寺にあったという香薬師の仏像。何度も盗難にあり、昭和18年に3度目の盗難に遭ってから、その行方は知れないという。このドラマは、その香薬師に魅せられて過ちを犯した人々にまつわる因縁を描いたものだ。
光彦が取材のために訪れた京都大覚寺。そこに、行方不明になった娘を探している、野平隆夫という男が現れる。野平は、光彦に何かあれば連絡して欲しいと、名刺を渡して立ち去った。光彦は大覚寺で意気投合した阿部美果という女性編集者と、大和路を歩いている時に、仏谷というところで女性の転落死現場に出くわす。その死んだ女性も野平という姓であった。ところが警察が野平に確認したところ、娘は元気だという。光彦と美果が勤務先に野平を訪ねるが、その男は大覚寺で名刺をくれた人物は別人だった。 舞台は最初京都から始まるが、すぐ奈良に飛び新薬師寺、浄瑠璃寺、大和路、仏谷の阿弥陀磨崖仏、猿沢の池など、見どころを次々に登場させ、いやがおうでも旅情を高めてくれる。これがこのドラマの最高の見どころだ。物凄く綺麗に撮影されていることもあり、行ったことのある場所は懐かしいし、行ったことがない場所は行きたくなってくる。 ストーリーの方も、美しい仏像に魅せられ道を外した人間の因縁の物語に、娘を捨てた父、父親に捨てられた娘の愛憎を絡めて、視ごたえのあるドラマに仕上がっていたと思う。古美術に魅せられた人間は、あのような行動をとってしまうものか。血の繋がりは、恩讐を超え得るものか。色々と考えさせられる内容だ。 もちろん、今回もあのいつもの場面が登場する。さんざん所轄の警察から容疑者扱いされていた光彦だが、刑事局長の弟だと分かったとたんに、掌を返したように、ペコペコされる。このドラマは、ややはり、これが一番の見どころかもしれない(笑)。 ※本記事は、「本の宇宙」に掲載したものの写しです。
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Last updated
May 12, 2013 10:09:55 AM
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