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カテゴリ:日々の読書(ミステリー)
桜庭一樹のGOSICKシリーズの外伝に当たるGOSICKs (ゴシックエス)。本作はその最終巻に当たるものだ。舞台はヨーロッパの架空の小国ソヴェールの聖マルグリット学園。主人公は極東の島国からの留学生である九城一弥と謎に包まれた美少女ヴィクトリカ。描かれているのは、学園をあげてリビングチェスに興じる冬の1日の出来事。 挿入されるのは、ヴィクトリカの思い出話。異母兄となるグレヴィールのあのドリルのような尖がったヘンな髪形、彼の部下であるイアンとエヴァンの二人がいつも手をつないでいること。その原因は全部ヴィクトリカにあったんだね(笑)。 全編を通じて、どこかコミカルな雰囲気が感じ取れる。しかし、その反面、不安な空気も漂わせている。 <たとえば、この学園に学ぶ貴族の子弟たちが一斉に家に呼び戻されているという事実。逆に、都会からとつぜんこの村にやってきた資産家の親子。そして、なぜかそわそわしながらわたしの様子を確認しにきた兄貴。つまりは嵐が近づいている近日中に、そう・・・・・・>(pp177-178) 桜庭一樹の作品にはどこか異形を抱えた美少女が登場することが多い。このシリーズの主人公、灰色狼の末裔たるヴィクトリカは最高のキャラだろう。もっとも桜庭作品には時折ヘンな個所がある。本書でヘンと思ったのは、第一話「白の女王は君臨する」に出てきた鏡文字のトリック。後ろ向きに書いたために、ダイイングメッセージのpがqになった(p63)とのことだが、自分で実験してみるといい。絶対に鏡文字にはならないんじゃないかな。しかし、そんなヘンな部分も含めて、ヴィクトリカはとっても可愛らしいのだ。 ※初出は、「風竜胆の書評」です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 19, 2018 10:32:24 AM
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