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こんばんは。 既に報道されているところですが、長野電鉄屋代線(須坂-屋代間)の廃止が、屋代線活性化協議会の席上で、委員による投票という形で決定されました。 屋代線の問題は、地方鉄道を取り巻くさまざまな状況、そして現在の地方鉄道支援制度が十分機能していないことを、如実に示していると思います。 地方鉄道の活性化を議論するはずの活性化協議会が、いきなり存廃判断の場になってしまったことも問題です。そして、鉄道への財政支援が、「赤字を次の世代に残さない」という、一見理論的で実は感情論としか言いようのない議論にすり替えられてしまい、これが地域住民の世論の中心になってしまったことも、残念でなりません。国の補助金や支援が手厚過ぎるために、負担が見えにくくなってしまっている道路整備と、冷静に比較する必要があったはずです。 屋代線廃止の報道の中でも、毎日新聞のこの記事が、かなり真相を言い当てている気がします。やる気のない鉄道事業者。それが地元の有力企業で、行政も正面切って反発できない。負担だけが行政に覆いかぶさる雰囲気に、次第に腰が引けてくる。活性化策を途中放棄した上での多数決。これだけでも、地方鉄道を巡るさまざまな問題が、見えてきます。 http://mainichi.jp/area/nagano/news/20110203ddlk20020089000c.html 一方で、鉄道事業者だけを責めるわけにはいかない事情もあります。屋代線には、現在の人の流れと路線がかみ合っていないという指摘がなされてきました。これは見方を変えれば、人の流れを作ってこなかった、すなわち行政によるまちのグランドデザインが、できていなかったことを示しているのではないでしょうか。 例えば、ロードサイド店やバイパス沿いのトラックターミナルなどは、勝手に民間事業者が建設しているのではなく、土地利用を誘導する行政の「線引き」が行われています。では鉄道沿線に、人が出かけるような施設を建てたり誘導してきたりしたか?恐らくそれをやってこないで、せっかくの貴重なまちづくりの装置である鉄道を、活用してこなかった。その現状に、鉄道事業者が嫌気がさしたとも言えるのではないでしょうか。 屋代線の今までの動き、そして廃止後の状況まで、しっかり検証する必要があると思います。最後に、信濃毎日新聞の記事を紹介します。沿線住民の声として、鉄道存続は時代に逆行していると紹介しています。各沿線の個別具体の事象に対する判断はあると思いますが、一般論として考えた場合、鉄道存続=公共交通による地域活性化が、なぜ時代に逆行しているのか、問いかけてみたい気がします。そしてもう一点。79歳の高齢者が「自分は運転できるから(廃止は)影響ない」と答えている部分があります。79歳、個人差はありますが、そろそろ自動車運転から引退することを考える年齢ではないでしょうか。そして免許なき後の移動手段の保障を、この記者は本気で考えているのでしょうか。 http://www.shinmai.co.jp/news/20110203/KT110202SJI090018000022.htm
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Last updated
2011/02/09 12:12:11 AM
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