リーマン、メリルで大騒ぎしていたら、
今度は保険最大手のAIGである。
そういえばマンチェスター・ユナイテッドのユニフォームのロゴはAIGだが、どうなるんだろ。
外資金融に勤める人にちょっと聞いてみたところ、
世の中では、証券会社は潰して保険会社は救われたのは、
保険が一般の顧客を多く相手にしているからだとかいわれているが、実際は違うのだそうである。
それだけでは救う理由に当たらず、
いわゆる、クレジット・デリバティブと呼ばれる金融派生商品があって、
まぁ最近は俺なんかもそういうCDSが組み込まれたローンとか債券とかについて仕事することも多いが、
結局はある会社のクレジットリスク、平たく言うとつぶれるかどうか、っていうのを、ヘッジするために、
CDSの売り手が買い手に、会社がつぶれた場合とかに、お金を払ってくれるというものである。
保証に近い。
たとえばヘッジファンドが転換社債(CB)を買うときの手法に、
コンバーティブル・アービトラージという方法があるが、
これはCBを、倒産リスク、金利リスク、株価変動リスク、ボラティリティの複合体であるとみて、
そのうちのボラティリティだけを安価で手に入れるため、
その会社のCDSを買ってクレジットリスク(倒産リスク)を外したり、
金利スワップ取引をして金利リスクを外したり、
空売りをして株価変動リスクを外したりすることができる。
そんなこんなで、みんなでいろんなリスクを分散しあったり、他人に持ってもらったりしてもらっているのだが、
そういったリスクの最終的な受け皿が保険会社だったりするのだそうである。
だから、たとえばリーマンみたいな投資銀行がCDSを売ったりしても、同じようなものを買ってはずしているのだが、
最終的には保険会社に行きつくらしい。
そういう意味で、こうした大きな保険会社をつぶすと、マジでシステミックリスクが起きてしまうのだそうである。
だから、つぶせない、救うしかないっていうことで一応理屈は立つらしい。
しかし、市場主義の権化みたいなアメリカで、投資銀行ゴールドマンのCEOをやっていたポールソンが、
今やこうした国の力で救済したりつぶしたりっていう判断をしているのを見ると、非常に皮肉だなぁと思う。
うーん、ファシズムだなぁ。
かっこいいなぁ。
やはり男はファシズムにあこがれるなぁ。
国家が管理する市場とか経済というものは、それ自体非常に統制がとれていて合理的である。
日本の1940年代以降やナチスドイツなどによって
国家社会主義という魔法の杖の威力と魅惑については十分に知っていたが、
現代のアメリカを見るにつけ、未だその伝説が跋扈していることを思い知らされる。
市場だなんだといきがったところで、結局は国にケツ持ってもらうのである。