―もう一度の春―
もういちど、 春に会えたら
夏の花を植えて、待ったりはしない
わたしはすぐに、クローカスを咲かす
葉のない、ピンクのメジリオン
冷たい葉脈のスノードロップ、もっとすてきな
しろか空いろヴァイオレット
葉にくるまったプリムローズ、なんでも
おくれず、すぐに咲くものを
もういちど、春に会えたら
わたしは昼の小鳥を聞こう
巣づくり、つがい、さえずる小鳥を
相手のいな、ナイチンゲールを待たず
元気な牛の啼声を聞こう
まっ白な子供を連れた雌牛も、
藪の中に、吹く風のすべてに
歌の調べを見出だそう
もしも、もういちど、春に会えたら―
ああ、わたしの過去を突き刺す言葉
過去がみな、「もしも」で終わるなんて―
もしか、もういちど、春に会えたら
今日という、その日を笑おう、束の間の今日を
何も、もう、待ったりせずに、
短い命の、今日を生きよう
今日こそ楽しみ、そして歌おう
(Christina Rossetti)
※(純愛の詩人・クリスティ―ナ・ロセッティ・岡田忠軒・南雲堂)より