遙かなる時空の中で6 総評(ネタバレなし)
主に購入を迷われている方向けのネタバレなし感想です。7の体験版もプレイしたのですが、時代背景とヒロインがシリーズ初・黒龍の神子という点に惹かれて6を購入しました。結論から申し上げると、大変おすすめなので以下とても長いです!笑【世界観】ごく普通の女子高生だったヒロインは、祖母の見舞いに訪れた病院の屋上で不思議な声に誘われ、大正時代に似た異世界へ時空移動をしてしまう。帝都東京…新たな文化や思想と、古き伝承が共に息づく街では近年、怨霊と呼ばれる異形の存在が蔓延っていた。帝国軍は、対怨霊討伐組織『精鋭分隊』を組織し、日々治安を守らせていたが、帝都の乱れは悪化する一方。巷では終末の予言を怖れる声も増える中、遂に龍神のお告げが下り、神子が召喚される事になった。帝国軍が執り行った儀式により、召喚された存在こそがヒロイン、高塚梓(デフォルトネーム)。しかし異世界に降り立ち間もなく、ヒロインは謎の青年ダリウスに帝都の西『蠱惑の森』へとさらわれる。青年は自らを鬼の一族の長だと名乗り、ヒロインを自らの邸にかくまった。帝国軍と鬼の一族。二つの立場。その抗争にヒロインは巻き込まれていく…という事で、今作の舞台は大正です。具体的には大正12年の初夏〜秋にかけて物語が展開していきます。【キャラクター、グラフィック】・キャラデザ、グラフィック遙かシリーズでお馴染みの水野十子さん。スチル原画も担当されており、どのスチルも崩れはなくキャラの個性や魅力がしっかり伝わってくるものばかりでした。立ち絵はポーズや表情が豊富で個別ルート内でしか見られないものもあり、絆を深めていく実感が湧きました。一対一で会話している時はアップになったり、カットインの演出も印象に残っています。目パチ口パクあり。 遙かシリーズの既プレイタイトルは3のみですが、今作は見た目で興味の持てないキャラがいなかったですし、サブキャラも含めて全員魅力的に感じました。・ヒロインデフォ名、呼びあり、CVは戦闘中の掛け声のみあり、CVと顔グラはON/OFF選べます。年齢は16歳、ウェーブのかかった赤髪ボブに蝶の髪飾りが印象的。作品のメインBGMもタイトルは『黒蝶』。扱う武器やCVの甲斐あってか、プレイ前はカッコいい寄りのイメージでした。プレイしてみると、性格はクセのない素直な女の子。神子としての強さや勇ましさも感じますが、等身大の16歳らしさもあり。今作は寒くない程度のギャグシーンがチラホラあって、モノローグ=心の中のツッコミが現代の普通の女の子っぽくて面白かったです。笑また、選択肢にそぐわない行動をする事がほとんど無いので、その辺りのストレスが無かったのも好印象でした。ほとんどのタイトルでヒロインの顔グラやボイスはオフにしてしまうのですが、遙かは何故だか平気です。それだけヒロインも各ナンバリングの魅力の一つという事かなと思います。・その他UIなど蝶のモチーフ、帝都の背景、様々な場面で出てくる影絵が作品の雰囲気に合っていてとても素敵でした。【シナリオ、糖度】攻略対象は8人おり、加えてノーマルEDと大団円EDがあります。遙かは3以来という方が割といらっしゃるのではないかな?と思い書いてみますが、3のように周回で辿る運命をどんどん変えていくシステムとは全く違い、大筋のストーリーは同じです。その中でキャラの個別イベントや戦闘をこなしていき、結末が変わります。 序章、一〜五章、終章の計七章で展開。三章の途中でルート選択があり、以降はルートに入ったキャラの恋愛イベントしか発生不可になり、終章のみ完全個別。つまるところ序章〜五章はほぼ共通と言って差し支えなく、攻略キャラとのイベントの進み具合や、ルートによって差分が発生します。その為、3のイメージでいると金太郎飴に感じるかもしれません。しかし、同じイベントでも同行者によって台詞差分があったり、攻略しているキャラの立場によって同じ出来事も違った目線で見られますので、そこまで苦痛に感じなかったのと何より育成要素があるので、共通セーブは作らず毎回はじめからプレイしていました・遙かシリーズの伝統シリーズに明るい方なら、『黒龍の神子が主人公という事は、八葉はどうなるの?』とか、『血縁者or幼馴染や、一緒に時空移動する攻略キャラはいるの?』という疑問がまず浮かぶかもしれません。ぼかしますが、今作もちゃんと『遙か』です。・糖度清いイメージの強いネオロマ、今作のレーディングはC。ですが、武器マークなので不要不急な微エロの心配はほぼありません。一部リップ音のあるイベントや、札育成のご褒美ボイスはありますが、過激な性描写が苦手な方も安心してプレイできます。キャラによって甘さの差はあるものの、さすが息の長いシリーズだけあって、どのキャラのシナリオにも乙女的な萌えのツボがしっかり詰まっていました。ヒロインとの絆の深め方や結末は十人十色ですので、誰かしら沼れるキャラが見つかると思います。おまけのスチルコメント& 札入手履歴の音声は必聴ものです。【攻略】攻略制限は特にありませんが、大団円EDのみ、8人全員+ノーマルED全てを迎えないと大団円行きの選択肢が出ない仕様になっている模様です。・攻略推奨順私は虎→有馬→ルード→秋兵→コハク→ノーマル→九段→村雨→ダリウス→大団円の順で攻略しました。大筋のストーリーが一本道なので1周目が一番面白いと知り、初見の印象で最も気になった虎から攻略。九段、村雨、ダリウスは後半を推奨されている攻略サイト様が多かったので後半に。また、軍サイドと鬼サイドは交互の方がダレにくいと思い、そのようにプレイしました。前述の通り1周目が一番楽しめたので、気になるキャラが後半推奨でも凸して問題ないとは思いますが、強いて言うならば鬼サイドの誰かから始めるのがよろしいかと思います。・後半推奨の3人について※微バレ?九段は星の一族ですので、対になる白龍の神子、千代にも焦点が当たる点。村雨は、8人の中で唯一軍にも鬼の邸にも身を置いていない点。ダリウスは、序章の語りが彼から始まるメインヒーロー的位置付けや、今作のヒロインが黒龍の神子である点。この辺りの掘り下げや活かし方が他5人のシナリオと異なるので、後半を推してる方が多いのかなと思います。ダリウスは前半でも良かったかもしれませんが、推奨通りプレイして綺麗にまとまったと感じました。・おすすめ攻略順まとめ鬼サイド(ルードor虎orコハク)↓軍サイド(有馬or秋兵)↓以下、鬼と軍を交互↓九段の前にノーマル↓九段or村雨↓ダリウス↓大団円・攻略法などまず、誕生日によってヒロインの五行が決定しますが初回設定のおすすめは『水』です。勿論ご自分の誕生日でも構いませんが、手持ちの札が少なくシステムに不慣れな初見プレイでも後半戦が比較的楽になります。恋愛の進行は人物情報をチェックし、同行者指定や日時限定もあるのでこまめな確認と、どの場面でも使えるクイックセーブは随時行っておくのがおすすめ。選択肢は未読埋めを兼ねてクイックセーブ&ロードを駆使して一番絆の上がるものを選んでもいいのですが(具体的な数値は会話ログで確認可)同行して戦闘ノルマをこなし、着実にイベントを進めていけば必要最低限の数値は稼げると思います。比較的分かりやすいのでご心配ないとは思いますが、お馴染みの『恋愛失敗』選択肢も分かりやすいとはいえ多々ありますので、選択肢が出たらとりあえずクイックセーブが安全です。イベントの同行者差分や選択肢は回顧録から回収可能なので、本編攻略中に無理してセーブ&ロードしまくらなくても後からじっくり読めます。なので、恋愛失敗にさえならなければ心のままに選ぶのも一興。特に初見プレイ時はその方が楽しいですよね。【システム】・基本システム諸々充実していて申し分ありません。クイックセーブ枠が14個もあるので、直近以前の選択肢や日時に戻りたい時便利でした。通常のセーブはルート選択場面と、個別ルート中キャラのフェイス付きセーブデータが残したかったのでそれ位しか使いませんでした。削除や場所の入れ替えでセーブデータを整理できるのも便利。・戦闘、育成要素ストーリーだけサクサク進めたい方には一度勝利した戦闘を飛ばせる戦闘スキップ機能もあります。私は戦闘も育成要素も楽しみたかったので、序盤の強制戦闘にしか使いませんでした。既読スキップやオート戦闘をオンにすると戦闘開始・勝利後の台詞以外は全てカットされます。キャラ同士の掛け合い、特殊札特有の台詞、庇ってくれた時、絆の高低差分、回復、瀕死、死亡(?)etc戦闘中にも特有の台詞が多々あるので、周回を重ねると毎回はしんどいですが、イベント戦闘は既読スキップを切るという及第点で進めました。豆辞典に載る単語を言う場合もあり…やり込み派の方は戦闘中既読スキップは切り、オートにせず戦ってみると良さそうです。敵の強さ…1周目はエンディングまで『弱い』でクリア。以降は札の育成具合に合わせて調整しながら進め、3〜4周目辺りから『強い』でプレイしていました。手に入る陰の気や経験値、絆の上昇価が大きいなど、敵を強く設定するメリットが多い為です。同行者の属性によって劣勢と感じた時などは、戦闘中でもやり直しボタンを押せば敵の強さを変えられるので、ゲームオーバーにならずに済みます。キャラがやられてしまうと、勝利しても経験値や絆が入手できず勿体ないので、3人とも生還で勝利できるように微調整していました。引き継ぎ…1周目をクリアしてはじめからを選ぶと、ヒロインの札は全五行を貰えます。ヒロイン・攻略キャラ札のレベルと陰の気は引き継ぎが可能で、エンディングを迎えたキャラは次周はじめからを選ぶと特殊札が入手できます。共通セーブからクリアした場合も、次にはじめからを選んだ時にまとめて手に入る仕様のようです怨霊札集め…周回していると弱い怨霊札は自然に溜まっていきますが、コンプとなるとなかなか骨が折れます。特定のイベントや場所にしか現れない怨霊が厄介。お目当ての札がある時は、戦闘やり直しを駆使して集めるのが良いと思います。【BGMなど】メインテーマの黒蝶がとても気に入っていますが、他に特筆するとすれば、過剰に大正浪漫を意識し過ぎていないのが良い塩梅でした。EDのキャラソンは…そうですね、スタッフロールが短めなので難しいでしょうが、個別歌唱パートがあったら更に良かったかも。ネオロマは個人のキャラソンが出るから仕方ないかな?そもそもがファンタジーですし大正(仮)ではありますが、キャラデザはともかく、時代考証の甘さを感じずにプレイできたのも良かったです。【総評】黒龍の神子ヒロインや札での戦闘システムなど、新しい挑戦的要素もありながらネオロマ・遙かというブランドイメージを裏切らない良作。丸々10周はじめからプレイして、80時間以上楽しめました。Switch版はFDもセットなのでお買い得と思います。遙かシリーズが初めて、という方にも勿論おすすめできます。攻略キャラがほとんど年上なので、大人、年上キャラが好きな方。眼鏡キャラ不在は惜しいですが、鉄板の属性は概ね揃ってると思います。大正モノ(軍服、ハイカラなど)が好きな方。育成や作業が好きな方。遙かシリーズプレイ経験ありなら、鬼の一族キャラや敵役が好きだった方は特におすすめ。キャラ(札)を育て、五行を考えながら戦ったり、協力技を出したり、庇われたりすると、あ〜これこれ、と遙からしさを味わいながらも新しい要素を楽しめると思います。お気に入りは虎と村雨。どちらもなかなかの年齢差。虎は『こんな粗暴なキャラが遙かに…?!』と驚いて、初めに攻略したらすっかりハマってしまいました。村雨はもう言う事なしの歳の差枠(倍以上!)で、終始大人の余裕と、その反面諸々葛藤する姿にやられっぱなしでした。とはいえ、今作はサブキャラも含めてみんな愛しいです。何なら憑闇や四神も。笑FDはキャラによって評判がマチマチなので、あくまでもオマケとして楽しめたらいいなと。新キャラに眼鏡いるけど、攻略対象になってないのがな…勿論フルプライスの価値ありですが、パケ版は高騰しているのでDL版がいいと思います。時々セールで半額になったりするので、この内容が5000円以下は凄い。個別感想はネタバレありですが、頭に発売前公式が発表した各ルートのテーマを載せてあります。その次に、私が思ったキャラの属性やシナリオのテーマを3行でまとめ、その下からつらつらと感想を書いてありますので、気になる方はよろしければ薄目で開いていただき、何かしらのご参考になれば幸いです。