どっぷりレビュー

仲のよすぎる兄弟というのは何か裏を感じさせるものがあります。兄は家具職人。弟はカーレーサー。趣味も性格も違う兄弟が愛したのは同じ一人の女性。

兄とその女性は愛し合い結婚する。弟は自分の思いを封印し、ただ彼女の傍にいることを望む。三人の同居生活が始まる。兄と彼女は弟の思いを知らない。

出だしはラブロマンス色濃厚です。兄弟が交通事故で生死をさまよい、弟だけが目覚めた後の展開はミステリー色が一気に強まります。そして結末まで目が離せなくなります。

ビョンホン氏の弟役というのも新鮮でした。ドラマではお兄さん役ばかり観てきたもので。今回は弟と弟の体に憑依した兄の魂を演じ分けるという難しい役どころです。

彼の場合、難しい役であればあるほど役者魂に火がつくというのか、観ている方の見応えも格段に違ってきます。そういう意味では満足のいく作品のひとつです。

とくに唸ったのは事故後。奇跡的に意識を取り戻した弟が長い間寝たきりの末、はじめて床に足を下ろす瞬間。冷ややかな床の感触を足の裏で確かめるように。力をふりしぼって立とうとするが体はガクガクしていうことをきかない。そして倒れこむ。指先が引っかかるような足の運び。手すりに手を置く仕草。うまいなぁーと思いました。

ベットシーンはちょいと長いですね。ほとんどキスばっかしてるんですけど、ビョンホン氏の背中からお尻にかけて弾力のある筋肉がうかがえます。が、いかんせんカメラが遠い。そこまでするなら全体像なくてええやん。ラブシーンは必要だったと思いますが、も少しコンパクトに戸惑ってたら可愛かったかも。

原題は『中毒』。女は怖いというか母は強いというか。それに比べたら弟の愛なんて純なものか。

純愛中毒OST
純愛中毒