はてなのゆりさん

　

３５年前につくった 絵本らしくない絵本

げんぱつのえほん（１） の続きです。　



1976年１０月　発行

絵と文　清水ゆり子




プルトニウムは、 アルファ線 を 出して

　　まわりの細胞を片っぱしから喰いつぶします。





原子炉の中で 燃えないウラン２３８が

中性子を吸収し、プルトニウムが つくられます。

半減期 は ２万４０００年です。

放射性毒物からでる放射線の強さは、時間がたつに

つれて減っていきます。　放射線が半分になる時間を

半減期といい、プルトニウムの半減期は２万4000年です。

金属状のかたまりにすると、ソフトボールくらいの大きさで

１０ｋｇほどあり、この大きさにすると爆発します。

細かい粉末になったプルトニウムが、肺などに吸い込まれると

大変です。 その近くの細胞が くり返し 放射線を受け、高い

割合でガンになるからです。　これは、プルトニウムが

とても やっかいな アルファ線 を 出すためです。

アルファ線は、ものを通りぬける力（透過力）が弱いため

体組織中では、１００分の数ｍｍしか進みません。ですから

体の外からあびた場合には、表面の皮膚に吸収されて

ひどいやけどをおこします。 体の中では、周りの細胞を

集中的に破壊して、ガンや遺伝子障害をひきおこします。

そのため、生物にとって 最もやっかいな 放射線で、

粉末状で まんべんなく行き渡った場合には、

たった耳かき一杯で、数千人を肺がんにする

といわれるほど 強い毒性を 持っています。







サイクルになっていない 核燃料サイクル

鉱山で掘り出された天然ウランは精錬されて、濃縮工場

で濃縮されます。 つぎに、加工工場で燃料棒に加工され

原子力発電所に送られます。　原子力発電所で燃やされた

使用済みの燃料は、寿命の短い放射性毒物が消えるのを

待つため、発電所のプールに半年ほど 寝かされます。

そして、１００トンもある鉄と水とに囲まれた容器に

入れられて 再処理工場に運ばれます。　

再処理工場では、使用済み燃料の中から

燃え残りのウランと プルトニウムと 死の灰とを

より分けるのです。 取り出されたウランは、再び

濃縮工場へ送られ、プルトニウムは、倉庫などに

保管され、死の灰は ためておかれます。

プルトニウムを 燃料とする 【夢の高速増殖炉】の

計画もありますが、失敗続きで、夢の また夢で、

核燃料サイクルとは いえないのが 実状です。







あてのない廃棄物の処理

　　　　‥‥あとは、野となれ 山となれ

再処理工場でより分けられた死の灰は、ステンレス製の

タンクに入れて、ためておかれます。 これは今のところ

処理するあてがないからです。 死の灰は放射能のために

高熱を出すので、いつも水で冷やしていなければなりません。

腐食性も強く、また、水素や その他のガスを発生するため、

爆発する恐れもあります。 その上、寿命の長いものが多く

原子力発電所から出る廃棄物は５００年から１０００年は

厳重に 管理して いなければなりません。　でも、

それほど長い間 腐食しない容器はないのです。

学者さんたちの中には、死の灰を 『ロケットに積んで

太陽に ぶちこんだらどうか』 とか 『南極の氷の上に そおっと

置いてくれば、自らの出す熱で 下に沈んでいき、そのあと

また ふたが出来るだろう』 とか 『日本海溝のような深い

海の底に投げ込んで、地球の内部へ沈み込む造山帯の

流れにのせてしまえば、数億年間は 地球の表面には

出てこないだろう』 などと、大まじめに考えている

人たちもいますが、どれも 実現不可能か、

危険なことばかりです。







放射能の汚染に加えて、原爆の恐怖も‥

天然ウランには、燃えるウラン２３７が０.７パーセントしか

含まれていません。これでは、軽水炉を動かすことが

出来ませんので、ウラン２３５の割合を３パーセント

位までに高めた 濃縮ウランを用います。

濃縮ウランをつくれる国は、現在（1976年当時）

アメリカ、ソ連、イギリス、フランス、中国だけです。　

ウラン濃縮の技術は、原爆をつくるのをきっかけとして

大がかりに研究されるようになったということです。

ウラン２３５を１００パーセントに濃縮したものが

広島に 落とされた 原子爆弾です。

１９７４年には、インドがプルトニウムを原料とする

原爆の実験をしました。　プルトニウムがあれば

どの国でも原爆をつくれます。　そのため 原爆の

製造を目的として、原子炉を購入する国が続出して

います。　国家にせよ、個人のテロにせよ、原爆が

使われることにでもなれば大変です。

原発が増えれば それだけ プルトニウムも蓄積され

原爆が 増えることにもつながり、私たちは 原発に

よる放射能汚染だけでなく、原爆の脅威にも

おののいていなければならなくなります。







需要は横ばい‥ それなのに

　　強行される 発電所の建設

１９７３年の石油ショックをピークに、電力の需要は

低下ないしは横ばいです。それなのに、政府と電力会社

は、全国の猛烈な反対運動を無視して、原発を主軸に

大掛かりな 発電所の増設計画を進めています。

原発の稼働率は、事故や故障続きのため下がる一方で

どれも採算ベースを下回っています。 その赤字の埋め

合わせは、たびたびの電気料金値上げでされています。

また、ウランの値上がりには目をみはるものがあります。

ウラン供給国の間で、価格カルテルをめざす動きもあり、

他にも、問題点は山積みされていて、どれを見ても、

私たちの未来に利益をもたらすとは考えられません。

それなのに、全国各地で原発の建設が強行されています。

莫大な設備投資をすることによって景気を刺激し、

各産業に大量の電力を使わせることをねらっている

といえますが、私たちが、便利な生活のみを追い、

事実を知ろうとしないでいることもまた、人類

破滅への道を歩ませる大きな要因になって

いると いえるのではないでしょうか。






１９８８年７月発行

こんな原発！とめたいね より


耳かき一杯で 数万人を殺せるプルトニウム

プルトニウムを原料として使おうという計画があります。

新型転換炉≪ふげん≫では、ウランにプルトニウムを

混ぜて燃やします。 高速増殖炉≪もんじゅ≫も

住民の反対を 押し切って 建設中です。

たった１ｇで数万人を殺したり、肺ガンや骨肉腫にしたり

できるほど毒性の強いプルトニウムを燃やすのですから

危険も大きく、汚染もひどいものです。

プルトニウムの半減期は、実に２万４０００年です。

ソフトボールほどの大きさで １０ｋｇ位あり、この

大きさにすると爆発します。プルトニウムさえあれば

簡単に原爆をつくることが出来るため、核武装

への道にも つながるものです。

　




１９８８年１２月 発行

原発いらないニコニコかるた より

プルトニウム 耳かき 一杯で 数万人！




原発を運転すると、必ずつくられる プルトニウムは

１ｇで４０億人分以上の ≪許容量≫に あたる猛毒の

物質です。　１００万ＫＷの原発を 一年間 動かして

１７０ｋｇつくられるとすると、何百兆人分の許容量？





【原発の絵本シリーズ】

東電、作業員に 汚染を伝えなかった～！？