再入院20日目・・・紹介先病院での診察
[2002/10/22(火)]紹介状を受け取り外出届を出して朝食後に病院を出発。もちろん母も一緒である。病院から病院へ向かうのは初めてのことである。最寄の駅まではタクシーを利用。初めて障害者割引を利用してみようと乗車時に運転手に障害者手帳を見せた。精算時に運賃の10%が割引になり、790円が710円になった。どうやら10円未満は切り捨てのようだ。JRの電車で隣県へ移動。ここでも障害者割引を利用した。介護人1人を含めて乗車券が半額になり、一人950円が470円になった。やはり10円未満は切り捨てである。一人で乗車する場合は距離が100kmを超えなければ割引にはならないそうである。降車した隣県の駅は4歳で手術をした病院に行くために降りる駅でもあり、妙な懐かしさを感じる。病院まではやはりタクシーを利用。もちろん障害者割引で。障害者手帳を提示したからか行き先が病院だったからなのか運転手がとても親切だった。大学病院に到着した。外見が古そうに見えたので嫌な予感がしていたのだが中に入ってみたら本当に古かった。綺麗な病院をイメージしていたのでちょっとがっかり・・・受付で紹介状を渡し心臓血管外科へしばらく待っていたら名前を呼ばれたので診察室に入ったら若い医師だったのでこんな若い人が主治医なのかと不安に思っていたら問診だけだった。あとからわかったのだがその若い医師は研修医だった。院内地図を渡され胸部レントゲンと心電図をとって心臓血管外科へ戻ると「教授診察なので・・・でお待ちください」と言われ大学病院ということをあらためて実感した。教授診察を待っている間母が隣の女性と話しだした。母よりも少し若い女性は私と同じ県に住んでいてやはり紹介を受けてこの病院に来たそうで、大動脈閉鎖不全のため手術して機械弁を入れるそうだ。その女性は私よりも診察が先で診察を終えられてからまた話を聞いたら11月中旬ぐらいに入院して手術することになったそうである。機械弁を入れている人にまだ会った事がなかったのでなんとなく親しみを感じた。また病院で会えるかもしれない。私の診察が一番最後のようで他に待っている人がいなくなった。古びた院内の風景は4歳の時に入院していた病院に似ていて同じ空気、同じ雰囲気を感じる。緊張と不安がつのる・・・その後しばらくしてやっと私の名前が呼ばれた。緊張しながら入った診察室は今までに見た診察室の中では一番広くて綺麗だった。広い木製のデスクに小柄で白髪のやさしそうな人が座っていた。この人が教授らしい。触診のあと教授からの話がはじまった。質問をされて受け答えをした後にいよいよ本題に入ろうとした頃先ほどの研修医が母の後ろを通ろうとして「すいません」と言った。すると母が突然席を立って診察室の外へ出て行ってしまいその後、戻ってくることはなかった。どうやら聞き間違えたらしい・・・心臓の絵が書いてある心疾患用の説明図を使っての病状の説明を受けた。私の心臓は大動脈弁を機械弁に置換しているのだがその大動脈弁で血液が逆流しているそうである。病名で言えば「大動脈閉鎖不全」である。とここまでは私も理解している内容だったがその後は初めて聞くことばかりだった・・・大動脈閉鎖不全の原因が感染性心内膜炎かもしれないということ・・・その感染が大動脈の基部にまで及んでいるかもしれないということ・・・もしそうであればホモグラフトという同種組織移植をしなければいけなくなるということ・・・そのホモグラフトは国内では手に入りにくく海外から輸入すると保険外のため高額だということ・・・また3度目の心臓手術なので癒着などにより手術が難しいということさらに15%の確立でペースメーカーを入れることになるかもしれないということ・・・唯一の救いは右腕と心臓の手術を別々にするということだけだった・・・早ければ明日にでも転院しすぐに右腕の手術をしてリハビリをしながら心臓の検査をしてその後、心臓の手術をすることになった。顔面蒼白で頭の中が真っ白の状態・・・診察室を出て母の顔を見たら目頭が熱くなり涙が溢れた。聞いたことを話すことができず席を立った母のことを責めるしかできなかった・・・次に血管外科で右腕を診てもたった。右上腕仮性動脈瘤ということで明日に転院できれば25日には手術できるそうである。現在の主治医宛ての手紙を受け取り会計で医療費を支払った。県外の病院のため一時払いが必要で地元の役所で手続きすれば後日、支払った分が戻ってくるそうである。大学病院を出たときにはとっくに昼が過ぎていたが早く病院に戻りたかったので食事をとらずにタクシーで真っ直ぐ駅に向かった。昼食は駅で弁当を買って帰りの電車の中で食べた。病院に戻ったのは夕方にはまだ早い時間帯婦長さんに手紙を渡したが既に電話でも連絡があったらしい。帰りの電車内で考えていたことを婦長さんに告げてみた。「今日、退院できませんか?」明日、転院することになると大学病院へ直接行くことになってしまう。どうしても一度自宅に戻りたかったのだ・・・主治医に確認して貰った結果今日の退院が認められ晴れて自宅に戻れることになった。その後すぐに荷物をまとめて病室で待機していたが請求書の発行や薬の処方にかなり時間がかかったので退院できたのは結局18時だった。会計が既に閉まっている時間だったので入院費の支払いは後日振込みで良いとのこと。また明日の15時までには向こうに入るということを大学病院に伝えてもらった。母の運転する車で自宅に戻った。久しぶりの自宅での夕食でついに右手で持った箸で食事をすることができた。一晩だけの自宅だけれど心が安らいで居心地がいい。今晩はいつもよりも眠れそうな気がする・・・