奥飛騨温泉 タルマ物語
遠い昔,この地を訪れたやんごとなきお方(家柄や身分の高い人)の中にとても美しい姫がおられました。その姫は、このタルマの地でとても美味しい氷を見つけ、やんごとなきお方に差し上げましたところ、とてもおよろこびになられました。姫はその水を「タルマ水」と名づけずうっと守るようになりました。いつしか人々はその姫を「タルマ姫」と呼ぶようになりました。そのうち、源平の戦いに敗れた平家の落人が、この地にも落ちのびてきました。その中にとても傷ついた若者がいました。「タルマ姫」は、この水で一生懸命に看病しました。元気になった若者は、姫に恋焦がれ、やがて二人は結ばれました。そして、その後は二人仲良くこのタルマ水を大切に守り続けました。二人の縁を繋いだこのタルマ水は、縁結びの神々が出雲からの往還に立寄られ、お飲みになられたことから、『縁結びの水』と呼ばれるようになりました。あわせて、この新平湯の出湯は、『縁結びの湯』とも呼ばれるようになりました。また、この若者の子孫により、今日、岐阜県の重要無形文化財となっている「鶏芸の舞」が、当地に伝承されています。