あの時が・・・アートはいく83句
あの時きみとわたしは些細なことで喧嘩して別れた。まさかあれっきりになるとは・・・私は若くきみも若く私は下宿代が払えないで友人の家に引っ越した。三ヵ月後にきみの部屋に行くときみも引っ越していた。学生だったら、構内で会ったり、講義を受けているきみの教室に行けたが卒業していてはそれができなかった。それでも、街の通りや喫茶店でひょっこりきみに会うと思っていたが、もう、二度ときみと会うことはなかった。学生時代にはありふれた現実が、社会人になると現実ではなくなった。ふと、あの頃のことを思い出すと苦笑いする。きみはおげんきですか。社会に出たら、あなたは野垂れ死にする。ときみは笑いながら言ったがわたしはまあ、野垂れ死にしないでなんとか生きている