大郷町で自然農法に取り組んでいる大江田さんの畑を見学してきました。宮城県Eネット協議会と自然農法研究会(名称は不正確です)主催の視察研修会があって、それに参加した訳です。県内から25名の参加者があって皆さん感激しておられたようでした。勿論私もです。何しろ、農薬や肥料は使わず、耕すこともせず、水もかけず、雑草は取らず、全くの自然体で野菜を育てているのです。驚いたのは畑の土は非常に軟らかく鍬の柄が1mも何の抵抗もなくスーと入っていくことです。普通の畑は、せいぜい20cmくらいしか入りません。歩いてみるとフワフワした感じで雲の上を歩いているような感じです。(ちょっと大袈裟かも)その「からくり」はEM菌にあったのです。70cm以上深く掘った後、EM希釈液を入れて6ヶ月放置しておくと、このような土になるのだそうです。この作業は最初だけで後は永久放置にするということです。雑草を取らないのは虫に食料供給するためだそうです。雑草がないと虫は野菜を食べてしまうのです。実際、雑草の少ないところでは野菜の食害が多く見られました。それと雑草がマルチと同じ効果となり土を守る訳です。しかも密植栽培でキャベツのすぐ傍に大根や菜っ葉類を植えるなど効率的な農法になっています。大江田さんは野菜を山菜感覚で作っているというのです。考えてみると山菜は雑草の中に逞しく育っていますし、肥料も農薬も必要ありません。まして水もかけませんし、耕すこともありません。それが本来の野菜だというのが大江田さんの哲学でした。今までの常識を180度ひっくり返す農法だと思います。本当に驚きでした。しかも立派な野菜が育つというのです。実際におみやげで野菜を頂いてきましたが、とても無農薬無肥料で作った野菜とは思われません。家に帰ってから頂いた「ごぼう」と人参でキンピラを作って食べたのですが非常に美味でした。
大江田さんは自分の畑に何ともユーモラスな「山楽耕」という看板をぶら下げています。茶目っ気のある方です。
大江田さんが最後の挨拶で語ったことが非常に印象的でした。「何かを求めている人は自然と寄ってくるものです」「自然農法は人間の生き方そのものです。つまり自然体が一番大事なのです。」「私はお金に縛られない社会を作ることが理想だと思っています。現代はお金中心になっているから人心の荒廃や環境の破壊があるのです」「見えない世界に真実があるのです。だから見えない土を掘ってみることが大事なのです。」「まず常識を疑ってみることが大事です。非常識がところ変わると常識になることもあるのです」これは大江田語録と言っても良いでしょう。
実際、大江田さんはお金を受け取ることを拒否します。野菜も無料で人にあげるのです。高級料亭から食材を売って欲しいと要望があるそうですが全て断っています。当日は25名が全員お昼までご馳走になったのですが会費を取ろうしません。人に与えることは自分に与えることと同じであるという考えなのです。それでも自主的に一人500円の会費を納めてきましたが、それも全部慈善団体に寄付するそうです。「神は遠くあらずして近くにおわします」ということでしょうか。私も自然農法に挑戦してみる気持になりました。何年もかかるかもしれませんが急ぐ必要はありません。のんびり挑戦しましょう。
写真は雑草の中で逞しく成長しているキャベツです。すぐ傍には「こまつな」が育っています。