カテゴリ:俳句ちら読み 逍遥遊
『プレバト』(大阪MBS制作、TBS系全国ネット)25日放送。
今回の兼題は「ふるさと」。 評者で俳人の夏井いつき氏によると、「凡人」が安易に使って良い俳句が出来たと思い込みがちな、実際は星の数ほど凡作がゴロゴロ転がっている凡庸で陳腐な(臭い)「凡人ワード」が少なからずあるという。 その代表格が「無人駅」、「木漏れ日」、「小さい手」などだという。 なるほどなと思う。いかにも平凡そのものである。実作者であれば、なるべく避けて通りたいのが人情であろう。 しかし、これらをあえて使ってワンランク上の表現を目指すという、一種の酔狂で偏奇な、意地悪でさえある趣向の企画が、結果としては毎回なかなか面白い。今回もまさにドツボにはまった「ふるさと」である。これをどう料理するか。案の定、出演者3人ともだいぶ苦吟した模様。 千原ジュニア 故郷の苜蓿の香の濃かりけり これはもう「秀句」を通り越して、「名句」と言うべきではないか。 俳句の世界で「名句」というのは、歴史をも踏まえた、めったなことでは用いてはならない最高の賛辞である。 千原ジュニアって人は、本当にすごいな。怖いぐらいである。 すでに一流俳人・千原浩史でもあると言えるだろう。尊敬している。 苜蓿は、植物のウマゴヤシの漢語で、俗にシロツメグサ(クローバー)をも意味するという。ここでは後者のクローバーのこと。 作者の故郷・京都福知山市近郊の、作物を植え付けする前の春まだ浅き田畑一面に、肥料にするための可憐なシロツメグサの花が咲いている。そこには、ある種の田舎臭いような何とも言えない匂いが漂っている。 わが栃木・宇都宮近郊にも、昔はこんな光景が当たり前にあったことを、ありありと思い出した。 夏井氏が「福知山に(この句の)句碑を建ててもらいたい」と絶賛したほどの傑作。 「苜蓿」という聞きなれない単語が、日本文芸に永遠に銘記された。 犬山紙子 生家のこでまり甘やかな退屈 前半の映像と、後半の心理が一対になっていて、破調と下の句の表現が、現代詩的な抒情を醸している。 エッセイストとしてキレのいい批評性を発揮している作者らしい、陰翳のある表現がいい。 FUJIWARA 藤本敏史 ふるさとや乗ってゆくかと春の雲 夏井氏が、原作「『乗りますか』ふるさと経由春の雲」を添削。フジモン持ち味のファンタスティックな文意がすっきりと明瞭になった。 醜聞(スキャンダル)による半年間の謹慎の「長期休暇」明けの一首。「もうホンマの廃人(俳人)ですわ」などと言って笑わせてくれた。 個人的には大ファンなので、復帰を祝福したい。芸は身を助く。禊は済んだと思うので、ますますのご活躍を祈念します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年04月27日 07時38分04秒
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