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カテゴリ:医学関連
東北大学大学院高次機能障害学分野の内山信氏らは,レビー小体型認知症患者の中核症状の1つである幻視に似た症状(パレイドリア)を誘発する検査「パレイドリアテスト」の開発に成功した。 幻視は短い診察時間内に観察されることがまれなため,これまで見過ごされてきた。しかし,風景などの写真を患者に見せて,そこに何が見えるのかを説明してもらうパレイドリアテストを行うことで,アルツハイマー病(AD)との鑑別が可能となる。 例えば,花の写真を用いてパレイドリアテストを行うと,レビー小体型認知症患者から「花です。顔もあり,動物もいます」という答えが返ってくる。研究は,Brain 2012年5月30日オンライン版に掲載された。 パレイドリアの8割以上が人や動物 短い診察時間の中でレビー小体型認知症患者に特異的な幻視が見られるのはまれなため,これまで幻視を誘発するマーカーが求められていた。 内山氏らが開発したパレイドリアテストのパレイドリアとは,壁の染みや雲の形が人の顔や動物の姿に見える現象のことであり,幻視との関連性が指摘されている。 レビー小体型認知症患者にパレイドリアテストを行うことで,幻視と似たパレイドリアを直接誘発できるという。 このテストは,図のような植物などの画像をレビー小体型認知症患者に見せて,そこに何が見えるのかを説明してもらうという簡便な検査だ。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1205/1205085_fig.jpg パレイドリアが出現すると,図中の花の白丸部分やネクタイの赤丸部分に本物の人の顔や動物を見いだしたりする。 AD患者においても一部共通したパレイドリアが出現する。しかしAD患者では,花弁に人の顔を見いだすことはあっても,レビー小体型認知症患者のようにそこに動物を見いだすことはない。 なお,パレイドリアの80%以上は人や動物であった。 出現の一歩手前の状態も検出を示唆 内山氏らは,レビー小体型認知症患者(34例)およびAD患者(34例)にパレイドリアテストを実施した。 その結果,パレイドリアはレビー小体型認知症患者全例に誘発された一方,AD患者では4例のみであった。パレイドリアテストの感度は100%,特異度は88%と精度が極めて高く,ADとの鑑別診断能に優れることが分かった。 また,神経心理検査や面接法で「幻視なし」と判定されたレビー小体型認知症患者にパレイドリアテストを実施したところ,パレイドリアが誘発された。 同氏らは,この状態を幻視が出現する一歩手前の状態または幻視の発現にかかわる病態が検出されたものと考察。レビー小体型認知症の早期診断・治療や幻視の病態解明が可能になるのではないかとしている。 (MTproより) コメント:アルツハイマー病とレビー小体病の鑑別は、パーキンソン症状が合併しておれば容易ですが、認知症が主症状の場合は.臨床的な他の症状の合併を尋ねる必要があります。 幻視に似た症状(パレイドリア)を誘発する検査「パレイドリアテスト」を行うことで,アルツハイマー病(AD)との鑑別が可能となるということです。 パレイドリアテストのパレイドリアとは,壁の染みや雲の形が人の顔や動物の姿に見える現象のことであり,幻視との関連性が指摘されている。 レビー小体型認知症患者にパレイドリアテストを行うことで,幻視と似たパレイドリアを直接誘発できるという。 AD患者においても一部共通したパレイドリアが出現する。しかしAD患者では,花弁に人の顔を見いだすことはあっても,レビー小体型認知症患者のようにそこに動物を見いだすことはない。 パレイドリアの80%以上は人や動物であった。 また,神経心理検査や面接法で「幻視なし」と判定されたレビー小体型認知症患者にパレイドリアテストを実施したところ,パレイドリアが誘発された。 一般のクリニックではこのような検査は無理かと思いますが、興味ある研究です。
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Last updated
Jun 2, 2012 11:51:35 AM
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