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神経内科医の徒然診療日記・コロナの時代

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takamatsu0224

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Oct 16, 2014
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カテゴリ:医学関連

 2014919日、アルツハイマー型認知症(AD)治療薬アリセプト(一般名:ドネペジル)について、レビー小体型認知症(DLB)の効能・効果が承認された。

横浜市立大学名誉教授の小阪 憲司氏と、関東中央病院 神経内科部長の織茂智之氏が講演した。


世界で初めてDLB例を報告し、DLB家族を支える会の顧問でもある小阪氏は、「DLBは最もBPSD(行動・心理症状)を起こしやすい認知症であり、患者さんの苦しみも強く介護者の苦労も多い」と述べ、患者さんや介護者のQOLを高めるため、早期診断・早期治療の重要性を強調した。DLBは誤診されやすく、診断にはDLBの特徴を知ることが必要である。 


レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症の違い


 剖検例の検討では、認知症例のうちDLB1240%を占める。わが国の久山町研究の剖検例ではDLB41.4%と報告されており、従来認識されているより患者数は多いと考えられる。
 織茂氏はまず、ADとは異なるDLBの特徴として、記憶障害の発症前に多くの身体症状が発現することを挙げた。90例のprobable DLB患者での検討では、記憶障害発症の9.3年前から便秘が、4.8年前からうつが、4.5年前からレム睡眠行動異常症が発現していたと報告されている。 


DLBの症状の特徴として、以下の5つが挙げられる。


1)幻視を主体とする幻覚


2)パーキンソン症状(手足が震える・四肢が硬くなる・動作が遅くなる・歩行障害)
 ADでは発現しないため、これらの症状が発現すればDLBを疑う。


3
)認知機能の変動が大きい


4)自律神経症状(血圧の変動・排尿障害・消化管運動障害・発汗障害など)
 消化管運動障害としては、便秘のほか、時にイレウスを起こす危険がある。発汗障害としては、発汗減少や発汗過多が起こり、うつ熱、体温が外気温に左右されやすいなどがある。


5
)レム睡眠行動異常症
 DLBでは病早期からみられるのに対し、ADではまれである。

早期診断する努力を!
 織茂氏は、DLBの臨床診断基準(CDLBガイドライン)における重要な点として、まず、必須症状である進行性認知機能障害について、病初期には記憶障害が必ずしも起こらないことを強調した。
 診断基準では、3つの中核症状(認知機能障害の変動・繰り返す幻視・特発性パーキンソン症状)のうち2つあればprobable DLBと診断される。


 また、中核症状が1つでも、レム睡眠行動異常症、抗精神病薬への重篤な過敏性などの示唆的所見が1つ以上あればprobable DLBと診断される。
 画像診断における特徴としては、脳MRI画像においてDLBでの海馬の萎縮はADほどではないという。また、MIBG心筋シンチグラフィにおいては、DLBは心臓が黒く写らないことからADとの鑑別が可能である。脳血流シンチグラフィやドパミントランスポーターシンチグラフィにおいても、ADとの違いが観察される。
 小阪氏は、DLBの診断のポイントとして、認知症の存在にとらわれすぎないこと、早期には認知症が目立たないことが多いこと、特有な幻視・レム睡眠行動異常症・パーキンソン症状に注目することを挙げた。そのうえで、軽度認知障害のレベルでDLBを発見する努力の必要性を指摘している。

レビー小体型認知症にはさまざまな治療が必要


 DLBでは、認知機能障害のほか、BPSD、パーキンソン症状、血圧変動や排尿障害などの自律神経症状など、さまざまな症状がみられることから、それぞれに対して治療を行う。
 そのうち、認知機能障害に対しては、ADと同様、アセチルコリンの減少を防ぐコリンエステラーゼ阻害薬が有効である。DLBでは、中隔核のアセチルコリン系の神経細胞数がADより減少しているという。
 織茂氏は、DLBではさまざまな症状に対して適切な治療が必要であるとし、また、薬剤治療を開始するときは、過敏性を考慮して少量から始めるよう注意を促した。


コメント;外来で患者さんを診察していると、パーキンソン病、認知症の患者さんが多く、受診されるので、初期からレビー小体型認知症(DLD)と診断するのは稀で、治療中にパーキンソン病に認知症、幻覚症状が出現してくる患者さんは比較的よく見られます。しかし、その中で、DLBと臨床診断するのは実際は難しいと思っています。幻覚もDLBに特有なものなら、そうかなとは考えますが、抗パ剤が結構、幻覚の原因になっているからです。DLB


アルツハイマー型認知症(AD)との鑑別は比較的し易いように思われます。








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Last updated  Oct 16, 2014 11:24:42 AM
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