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カテゴリ:★★★★★な本
愛しぬくことも愛されぬくこともできなかった日々を、今日も思っている。大切な何かのために懸命に生きる人たちの、6つの物語。 【目次】 器を探して/犬の散歩/守護神/鐘の音/ジェネレーションX/風に舞いあがるビニールシート <感想> ★★★★★ 本書は第135回直木賞を受賞した『風に舞いあがるビニールシート』を含む、 6編が収められた森絵都さんの作品集です。 児童文学から徐々に作品の幅 を広げてきた森さんですが、本書に納められた作品は、いずれも大人が主人 公。『いつかパラソルの下で』を踏襲した作品です。 しかし、その作風は様々。 仕事と恋愛の狭間で揺れる独身女性が主人公の「器をさがして」 迷いながら も自分の信念を貫こうとする主婦を描く「犬の散歩」は、昨今の女性作家によ って最も描かれているジャンルですが、大学の二部に通う30代の男性と学 内で伝説と化している社会人女子学生を描く「守護神」 二人の営業マンが 主人公の「ジェネレーションX」は、男性読者を意識した作品だと思います。 やりたいことはたくさんあるけど、仕事に振り回されて・・・という方にオススメ です。 私はかなり沁みました(笑) さらに特筆すべきなのは「鐘の音」。 かつて仏像修復師を目指していた初老の男性がその時代を振返るという設定で すが、純粋すぎるが故に挫折してしまう主人公の内面を緻密に描く一方で、と もすれば偶像崇拝の対象にしかなりえない仏像の美や神秘性を官能に置き換え て大胆に描いています。 おぉぉぉ~と唸るぐらい巧い作品です。 さて、受賞作の「風に舞いあがるビニールシート 」は、難民問題を扱う国連の 組織に勤務する男女の物語です。 この作品に関しては、私の拙い感想や余計 なあらすじは蛇足以外の何ものにもなりえません。 あえて言うならパーフェ クトな短編小説とだけ申し添えておきます。 本書は、それぞれの物語に様々な年代の主人公を配していますが、どの作品も 力強いあたたかさがテーマになっていて読後感は最高です。 個人的には今日現在、今年のベスト1 すべての方にオススメです♪♪♪ おかげさまで、パソコン 復活しました エアスプレーでキーボード挟まっていたモノを除去しました。 ノートパソコンをお使いの方は、一本常備しておくといいかも・・・ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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