カテゴリ:グルメ
Thursday, March 5, 2020 午前4時起床。晴れ。北風強し。日中、12℃位までしか上がりませんでした。寒い。 午前、書斎にぼんやりしていて、TELあり。Jさんからでした。おっ、猪を獲ったのかな、内臓を貰えるぞ。そう思いながら電話に出ました。彼曰く 「猪獲れた、雌、小さいよ、如何」 勿論二つ返事。Jさんの塒(ねぐら)は山あい、天下の清流番匠川沿いにあります。着込んで長靴を履きました。ツーシーター4駆ミッションをとばしました。20分で到着。写真は軒下に掛けた表札です。こんなのは見たことない。 電話で話した時、腹だけは出して頂戴、そうお願いしてありました。訪ねてみると、Jさんは皮を剥いでくれている途中でした。内臓を出して、肉の方は丸のまま(皮付き)と思っていました。 「こうしてお湯を掛け、こさいでいくと簡単に剥げるんだ」 Jさんのところにはこれ専用の大きな給湯ボイラーがありました。そこからのホースが手元に伸び、ジャージャー。猪の皮膚、表面が煮えていきます。それを改良したステンレス製草取り鎌で剥ぎ取っていくのでした。面白いように剥けていきました。湯温は64℃以上でOKだそう。熱湯ではありませんでした。両前足の前、首の下にある凹みは、罠に掛かって暴れるのを仕留めるため、心臓を狙って差し込んだナイフの跡です。 皮剥に30分。それが終わると、4本の足先と首を離し、腹を出しました。落とした足先はまさに豚足でした。鋼の入った骨すき包丁でくるり足首付近の皮と筋を切り、軽く折ると直ぐに離れました。慣れたものです。首を切るときも、その手筈。まるで蒲鉾や長いソーセージを切るが如く、易々テキパキでした。肌出しは喉から尻まで一気にサーッ。喉笛と肛門を切り離し、あっという間、臓物が出て来ました。Jさん、腹の空洞になった肉の方は、ステンレスの水槽にドボン。冷やしました。 「折角だから内臓を洗ってみようか」 肺、心臓、胃、肝臓を分離、心臓と肝臓には切れ込みを入れ、中の血を洗いました。胃は切り開いて内容物を流しました。 「これ、糠だよ。罠に使うんだ」 なるほど。おびき寄せに使うんだな。次いで腸間膜から大腸を引き離していきました。小腸とつながる部位でカット。肛門側に水道ホースを当てました。すると、見る間に水道水が大腸の中へ入っていきました。溜まる消化物は小腸から離したところに次から次、出ていきました。驚いたのは中が水道水だけになると、大腸が白っぽいビニールのよう、半透明になりました。うんこの詰まってグロテスクのイメージを持っていましたが、腸は本来、綺麗な臓器なんだ。 始末のついて 「折角だから骨抜きも見る?」 私が家に戻り、骨付きの肉塊と格闘するのを案じたJさんの心使いでした。 塒の一間に解体台がありました。Jさん、手袋をピタッとくる実験用に替えました(彼は某試験研究施設に勤務なんです)。台の上を除菌スプレーで消毒。取り付きました。先ず、片側の後ろ足を外します。骨の形状と関節がどこにあるか、包丁の先がそれを知っているかのようでした。 続いて、背骨と肋骨を巻く軟骨を一気、背骨の両側に沿って頭から尻の方向へサーッ、包丁で切れ目を入れました。次いで両方の肋を外側に開くよう押し広げたらポキポキポキ、両者固定されていたところが外れました。写真はその肋骨を肉から外していく様子です。一本一本、骨の両側に沿って肋骨の方からサーッ。切れ目を入れていきます。次いで肋骨の端を持って、肉から切り離していきます。サッササッサ。手際がよかったです。 片方の肋骨を外し終えると、背骨に沿って半身を切り離します。ロースの部位は頭の方が大きく、後ろに行くに従い細くなっていました。 前足に取り付きました。 「三味線撥を外すのが難しいんだ」 ん?三味線の撥(ばち)?肉の中からそれを切り出して納得。肩甲骨がその通り、三味線の撥の形をしていました。 片方を終えるのに僅か10分余り。凄いなぁ。次の写真は半身をフックに吊すの図です。子猪だから迫力ないね、Jさんは言いますが、これだけで10Kg近くありそうです。 結局、内臓を洗ってもらい、骨も抜いてもらいました。重い枝肉2枚と綺麗になった臓物は、持ち帰っての作業が楽ちんです。Jさん、有り難うございました。勿論、抜いた骨も頂きました。ガラスープをとって料理に使おう。写真は家に戻って、切り分ける前の猪肉です。どうですか、この感じ。魚屋が鮮度のいい魚を朝獲れと自慢しますが、今朝まで生きていた猪ですから、これも朝獲れ。格が違います。素晴らしい。 今日食べる部分を残し、500g~1Kg、小分けして冷凍庫に入れました。酒保に酒が唸るのも快感ですが、冷凍庫に猪肉の満杯も、これはこれで気分のいいものです。 さてと、臓物を処理しないといけません。それぞれ鍋に分けて下茹でしました。 それを打ち上げ、一口サイズに切り分けました。味付けは妻にしてもらいます。次の写真はボイル後の心臓と肝臓です。後者、締まって質感あり。素人目にも健康そのもののような感じでした。酒を飲んでいないからだろうな。 さてと、一応の始末がついたので走ろうか。着替えてランシューズを履きました。亮さんやKAZUさんの暮らす釧路は大雪とのニュースでした。風の強いものの春めく里山に、列島の長さを今更ながら、でした。写真は元越山の稜線です。杉山は夕日に映えて赤みがかっていますが、雑木は春の芽吹きが直ぐそこを見て取れました。 西側の山を振り返ると、花粉なのかそれともただの春霞なのか、太陽光線の光と影を映していました。春先、よく目にする光景です。日の長じ、佐伯市の花「ヤマザクラ」がそこここの山あいに開花もあと少しです。 おっ、テンテン、久しぶりだな。飛びかかってきました。私の手を甘噛み、甘えました。おーよしよし、猪の匂いがするのか。ところでおまえ、また一回りおおきくなったんじゃないの?50Kgは優にありそうです。 次の写真は家に戻って覗いた菜園です。2月25日に蒔いた大根が芽を出しました。3月3日に蒔いた大根と菠薐草も楽しみです。それにしても石の多い畑だな。 走っている最中、妻がイノホルに味付けをしてくれました。風呂から上がり、そのあとを引き取って、肋肉を炒めました。居酒屋に出るスペアリブは骨付きですが、こちらは骨なし。しかも切れていない。若い雌猪かつ妊娠経験の無い所謂「カラメン」です。オリーブオイルを引き、岩塩と胡椒を振りました。 クーッ!堪りません。猪肉は焼酎で流すと決まっていますが、この当てだけは赤ワインで。いい夜が更けました。 今日の一句 猪を捌く包丁春を知り 今日のラン 6km 今日の酒 麦焼酎お湯割り1 赤ワイングラス3 ウイスキー1ショット 今日の写真はいよいよ盛りの馬酔木です。空の青がコントラスト、いい感じでした。重ねてです、ドカ雪の釧路が信じられない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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