カテゴリ:徒然
Sunday, June 13, 2021 オーディオの師匠は、梅雨に入って湿気の増すとタンノイの音が深くなる、この時期になると、そのようなことを口にします。その通りです。タンノイはスコットランドにあるスピーカーメーカーの社名です。大きな家具と見紛うばかりのものから小さいサイズのものまで、幾種類も製造販売しています。私が学生の頃は、アーデンという名の名機が一世を風靡。最上位機種のオートグラフは垂涎どころか遙か高嶺の花、夢のまた夢でした。40代になってなけなしを叩き、GRFメモリーTWWの中古を入手。1,000ラー近くの出費でした。荒ら家にあって、オーディオだけは満足のいくものをと師匠に相談。拙宅に鎮座となりました。 タンノイ社のスピーカーは、以前から派手さはないものの滋味のある上品さを醸すと言われてきました。コンサートホール2階席中央で聴くような感じという表現も聞いたことがあります。 さても今日は雨の日曜日。地区出合いの草刈りが中止となり、久しぶり、マッキントッシュに灯を入れ、タンノイをドライブ。 聴いたのはリヒテルの平均律。タッチが天国的なんです。 余談です。スビャストラフ・リヒテル、私が函館に暮らした折、彼がその港町へコンサートにやって来ました。時々ブログに書き込みをしてくれる人の中にYという男がいるのですが(酔散の同期生、大学オケでホルンを吹いていた)、彼からその音楽会に誘われました。しかし、チケット20ラーを惜しんで聴くこと能わず。今思うと痛恨の極みです。 この溝に彼の音楽が詰まっているのです。 続いてはグールドの12枚組。粉糠雨の降る窓外を眺めながらの昼下がり、妻は野暮用で出かけました。トラの頭を撫でながら音を大きくして三昧の時間が至福でした。 話は変わります。友人にHさんがいます。田宮次郎似の男前です。私の一つ年下です。長らく海外生活。東南アジアに進出企業の立ち上げが仕事だったと聞いています。3年前に帰国、再就職先の会社と弊社の間に取引があり、そこで面識を得ました。 商売の傍ら、趣味の話になって、彼のクラシック好きを知りました。留学から帰国後、大阪に住み、以来、再び海外生活の始まるまで、大阪フィルの定演を欠かさずとのことでした。朝比奈隆のブルックナーを語らせたら、1時間話すことを止めずの男です。以来、遇う度、クラシック談義に花が咲きました。 その彼がCDを貸してくれました。朝比奈・大阪フィルのモーツァルト・レクイエムです。とにかく凄い、を枕詞、是非とも一聴を、勧めてくれたのです。私、モーツァルトにはそれほど、いや寧ろ苦手の部類なのですが、聴いてみました。ソプラノとアルトが素晴らしい。合唱に迫力、うねるよう迫ります。オケの方は会場のせいもあるのでしょうけれど、打楽器が妙にドンドコ聞こえました。全体としては、宇野功芳が賞賛を約束しそう、濃い演奏です。 調べて非売品というか私家蔵版、プライベート録音のようです。Hさん、いいものを聴かせてもらいました。最後になりましたが、この演奏は1991年に大阪にあるいずみホールのライヴです。Hさんはその会場にいたそうです。羨ましいなぁ。 写真は、音楽とは関係ありません。音楽どころか、音を聞くことの出来なくなった父に差し向かう折のボードです。今日、ぶらりやって来て、話していきました。いよいよ筆談となりました。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[徒然] カテゴリの最新記事
|
|