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梅林庵

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2024年01月21日
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Sunday, January 21, 2024
 曇りのち晴れ。
 午前3時起床。ここ数日、入院のあれこれを纏めていましたが、今日の未明もそうしました。倦いて珈琲を淹れぼんやり。サンデーモーニングを見ていたら、中学の折の恩師Y先生からTEL。賀状に書いた病気のことを心配、連絡をくれたとのこと。曰く
 この頃、教え子たちが不如意、先に逝くケースもあり、かくいう私も古希となりガタが来た,妻もよろしくない,あっ,酒は飲んでいるけどね,君は仕事が忙しいはずだからくれぐれも体を労ってほしい。
  嬉しい声かけでした。
 午後一、古物商(リサイクル)の方がやって来ました。楽器、オーディオなどガラクタを断捨離するため、お願いしていたのでした。ヴァイオリンやチェロ(それぞれ入門用の安物)、何組もあるヴィンテージオーディオのうちから好みのものを残して全て、などでした。結構満足のいく金額になりました。安めの地中海クルーズ1名分程度でしょうか。これはアドリア海行きの虎の子としてへそくりします。エヘヘ。
 荷を積んだトラックを見送り,散歩しました。風呂を浴び,大相撲を観戦しながら燗酒を舐めました。午後9時前、バタンキュー。
 それでは、以下に入院のその後と退院、それに癌を告げられた際の心模様などを。
 正月三が日(術後6日目以降8日まで)
 元旦、早くに目が覚めました。というか、個室ですから24時間,いつ起きていつ寝てもいい環境です。夜昼おかまい無しの時を過ごせます。ただし、午前8時朝食、正午昼食、午後6時夕食は定時。サイクルが決まっています。写真はこの日の昼に出た御節です。



 こんな挨拶文が添えられていました。新年を病院で無聊の患者に対する心遣いではあります。



 さて、4階病棟の東に広く明るい食堂があります。其処に緑茶ほうじ茶の無料サービスあり。毎日、午前7時前後から日の出(おおよそ7時半)までぼんやり別府湾とその向こうの大分、コンビナートの灯りを眺めました。初日の出もそこからでした。眺めて感慨めいた思いにはなりませんでしたが。
 毎朝、太陽が顔を出したのを潮、部屋に戻りラジオを聴きながら新聞に目を通すのが日課。新聞はタブレットを使ってのこと。朝日毎日読売日経、それぞれ会員です。全紙面を読むことが出来ます。時間はたっぷりあるので、普段に増して精読。年末年始は特集記事も多く、何の通か判りませんが,通になった気分でした。
 入院中、部屋に備え付けのテレビがありましたが、一度もスイッチに触れませんでした。元旦のニューイヤー、2日3日の箱根、それぞれの駅伝も少しラジオで聴いただけでした。能登半島の地震、羽田の航空機事故が報に震えました。後者の生じた日、娘息子が羽田を利用して大分・佐伯へ帰省しました。事故はその日の夕刻でした。二人は午前の便だったので事なきでした。しかし、年始を実家で過ごした後、帰京の便への影響が心配でした。後日、案の定,遅れが生じたとのこと。
 妻は子ども二人を連れ,私を見舞うことを考えたそうですが、何せ拙宅から病院まで片道2時間は折角の帰省に無駄です。固辞し,楽しい時を過ごすよう言いました。そうしたようでした。加わらなくても、家族が団欒を過ごせば嬉しいのですが、LINEに添えられた料理のあれこれは目の毒でした。写真は娘が火鉢に焼いた餅です。これを雑煮に入れた由。いりこだしのそれ、食べたかったです。



 さてもの年始、私の過ごし方は以上ですが、病院スタッフはその間も毎日部屋を覗いてくれました。ドクターも連日、午前に顔を見せてくれ、世間話も交えた会話をしてくれました。看護師は交代で休みを取っているようでしたが、主治医が顔を見せなかった日はありませんでした。頭の下がる思いです。
1月4日(入院9日目)
 病院はこの日が診療開始日。新たに入院してくる患者もいて、病棟も賑やかになりました。手術日、膀胱側の尿道と「ペ○ス」側の尿道、それを縫合(つなぎ合わせた)したのですが、この日はそれがきちんとくっついて、腹腔内に尿漏れのないか否かを検査する日でした。午前、1階の手術室に向かいました。狭い手術台に横となりました。この台に上がるのは3回目。慣れたものです。尿道カテーテルに造影剤を注ぎ入れますよ,そう説明がありました。管を通じ「ペ○ス」を通り、膀胱にそれを注入するのだそうです。尿意を催すけれど我慢してください,そう言われました。入れ始めると確かに強い尿意がありました。膀胱内に満タンとなった造影剤をカメラ撮影。縫合の後がきちんと繋がっていれば,繋ぎ目からの漏れがありません。それのあると、もう少し時間を掛けて縫合部分がきちんとくっつくのを待たないといけません。撮影後
「はい、Tさん、きちんとくっついていますよ。大丈夫です。カテーテルを抜きますよ」
 そう言われ,目の前がパッと明るくなりました。よし、これで開放される。退院も早いな。引き抜かれる際、ちょっとだけ尿道の奥に疼痛がありましたが,それもあっという間。これで身体に刺さった管は全て外れました。爽快の気分です。早速シャワーを浴びました。
 しかし、その後がいけません。折角の開放感が一瞬で萎みました。失禁が止まらないのです。紙おむつとその内側に尿取りパッドをしました。すぐに尿取りパッドが漏れた尿で重くなります。カテーテルの取れて以降、キャパ200ccのパッドを一日に5~6枚使いました。夜、横になっていると,膀胱内に溜まった量で尿意を催しますが、身体を起こすといけません。シャーッ、漏れるのを感じます。時とところを選ばないから難儀です。暫くこれを手放せません。



(退院)
 1月5日(入院11日目)病棟廊下を散歩していて,主治医に行き遇わせました。
「Tさん、如何ですか。仕事が気になるんでしょう?退院はいつにしますか。」
 そう切り出されました。
私「なんとか早くなりませんかね」
ドクター「はい、判りました。明日退院にしましょう。問題は失禁です。骨盤底筋体操を心がけて下さいね」
 骨盤底筋とは、骨盤の底にある筋肉群で、排尿、排便などに大きく関係する。これらの筋力が弱まると,尿道を締める力が弱くなるため,頻尿や尿漏れなどが生じる。骨盤底筋体操で筋力を高めると,排尿の問題を改善することが出来る、とパンフにありました。オナラや尿を我慢する筋肉です。尿切りや肛門を締めるのに使うところです。それを意識的、1日数回に分け合計10分程度、締めるよう繰り返すトレーニングです。これを続けると1~3ヶ月で尿漏れが改善するとのことでした。面倒くさいけれど,いつまでも垂れ流しでは按配が悪い。努めなければ。
 ということで1月6日(土)退院しました。病院の玄関を出て,駐車場に止めてあったマイカーのハンドルを握ったとき,人心地のついた気持ちになりました。エンジンをかける前、暫く運転席に座って病院の建物を眺めました。この12日間をここで過ごしたんだな,感慨じみた気持ちと,それがあっという間に終わったな、年末年始の正月気分を味合わず,ぽっかり穴の開いて今年が始まったような妙な気持ちでした。
 高速道路を2時間掛けて家に戻りました。途中の運転、眠気の差していけませんでした。玄関を入ると,息子の上京した後でしたが,娘は明日まで在宅。顔を見ることができてよかったです。
 とまあ、以上が一連の前立腺癌発見と入退院の顛末でした。入院に要した費用は差額ベッド代(個室使用料)を含め、500ラー(ラーは岐阜県多治見市のごく一部に使われる仮想通貨単位、1ラー=600円)でした。
(癌の宣告について)
 退院してこの方、健康診断でボーダーラインを超えた数値の出て後、あれこれの検査を経て前立腺癌の確定、入院・手術、一連を書いてきました。その内容は、事実関係を時系列で纏めたものであり、癌宣告を受けた際の自身の気持ち、受け止め方、揺れの有無などについては記していません。ということで、大げさですが,この歳になっての死生観じみたものも含め,つらつら書いてみます。とりとめのない内容となります。
 いきなりですが,若い頃、死は恐ろしいものでした。自分の存在が無になる,それでいて世の中は続いていく,このギャップに慄(おのの)いていました。それが次第、友人知人、同僚先輩後輩、家族、身の回りの誰彼が世を去り、自身も50台を経て還暦、体力の衰え、酒に弱くなったこともあり、次第と何気なく死を受容するような感じを覚えるようになりました。これは老いと共に遺伝子の一部がそう思わせるような働きかけを始めているのかもしれない、勝手にそんなことを思ったりもしました。
 それはそれとして、日本人の平均寿命から自身の年齢を引くと残された年月は幾許(いくばく)かを漠然,考えるようにもなりました。さらに単なる余命に加え,健康寿命のことを思うと、折に触れ、上の諦観じみた思いとは別、なんだか焦燥感に似た思いが過りました。
 いえ、悲観的なニュアンスではありません。それはそれで仕方のないこと、生を受けた者は必ず死ななければならない、そう決まっているので、還暦を祝う慶びに似た感じ、あれこれあってもこの歳まで生きた,生かされてきた,有り難い、後はボーナスだな、これから死ぬまでの間をそんな朧気な感じで捉えている心持ちです。まさに歳をとったという子でしょう。
 60台になって、そんな思いでぼんやり暮らしていたので、宣告というか、病名を告げられたとき、嗚呼私も患者の仲間入りか,2人に1人は癌になるご時世、特別なことではない、それが正直な感想でした。入院・手術もどこか醒めた感じ。なるようにしかならぬ、半分他人事のような気持ちでした。ツルゲーネフ「父と子」のバザーロフ然りだな、ちょっと悦に入った気分でもありました。勿論、難儀な部位だったり、各所に転移していたりというのではなく、早期発見、しかも治癒率の高い前立腺癌であったことも,悲観的な気持ちにならずの一因ではありますが。
 さて、それはそれとして、病気のことをして夫婦の会話もその辺りが話題となること多しでした。
 話が跳びます。私、毛が三本足りません。人のことを思いやるという心遣いに疎い、常々そう思っています。家族に対しても「まあなるようにしかならん」ということで、結婚以来、深い愛情には無縁、結構ドライな夫であり,父親でした。
 そんな私です。例えば,道中の交通事故が心配だ、見舞いなんぞに来なくてよい、退院の際も迎えは要らない,自分で運転して戻る、というような目先のことから、もしも死んだら墓は不要、灰は適当,父の山に撒いてくれればよい、一部、ほんの僅かだけ、母校の大学キャンパスの隅にサッ、小袋一袋分を人に見られないよう撒いて頂戴、そんな話をいい加減,笑い話のよう、つらつらしたところ
「あなた、自分のことばかり考えて,先に死んだら私たちはどうなるの。もう少し家族のことを考えてよ」
 叱られました。確かにその通りです。一応相槌を打ちました。でも、よく言うじゃないですか。「男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く。」心の中では心配なしと思っています。結局のところ、人は死ぬまでなんとか生きていかないといけないんです。
 ということで,仕方がない,なるようにしかならん、それが人生と思い定めています。私にとって宗教は至って無縁。死は一切の無なのです。
 話が大げさになってきました。戻ります。入院手術のため、少し休暇を取る旨、会社へ伝えました。途端,病如何、部下たちに問われました。癌だよと伝えたら、ほとんどの者が厳しい闘病とその先の死をイメージするのでしょう、もう私が死ぬ身であるようなレッテルを貼った目つきに見えました。見舞いの言葉にもそれを感じました。いえ、私自身、イメージとして癌は死に至る病、そういう固定観念を拭えずにいましたから、仕方ありません。部下の数人を若いうちにその病気で失いもしましたし。確かに癌は未だ医学が克服できない病ですから。それはそれとして、自身が罹患して、先に書いたよう,仕方のないこと,平気前進しかないとの思いである自分が、そのような目で見られることには、なんだか滑稽感を覚えました。纏めとして、それが私の毛の三本足りないせいだからかもしれません。
今日の写真は鷹です。散歩の途中、架線に留まっていました。



別の一枚をトリミングしてみました。精悍の姿です。それはそれとして遅ればせながら一富士二鷹三茄子です。何かいいことがあるといいのですが。








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Last updated  2024年01月22日 06時12分10秒
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禁玉減酒@ Re:先を越されました(06/18) New! 株主総会、お疲れさまでした。 やれやれで…
シミ君@ Re:河川敷の草刈り、昼ビー、通夜、ホッケ、トラ、鹿が出た(06/17) New! こんにちは。 トラ君が顔を突っ込んだの…
nkucchan@ Re:河川敷の草刈り、昼ビー、通夜、ホッケ、トラ、鹿が出た(06/17) New! 寝てるトラの、爪が出てる手がカワイイ(笑)
一人親方杣夫@ Re[1]:唐牛と同窓会(06/15) 亮おじさんさんへ おはようございます。 …
一人親方杣夫@ Re[1]:唐牛と同窓会(06/15) nkucchanさんへ おはようございます。 は…
一人親方杣夫@ Re[1]:唐牛と同窓会(06/15) シミ君さんへ おはようございます。 知…
一人親方杣夫@ Re[1]:今回も2日纏めて(咳、花金)(06/14) シミ君さんへ おはようございます。 そ…
一人親方杣夫@ Re[1]:今回も2日纏めて(咳、花金)(06/14) 亮おじさんさんへ おはようございます。 …
一人親方杣夫@ Re[1]:今回も2日纏めて(咳、花金)(06/14) nkucchanさんへ おはようございます。 …

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